ダッソー・システムズら欧州3社、ガラスびん軽量化のバーチャル試験を合同で開始

ダッソー・システムズ、Ardagh Group、EXXERGYの3社は、ガラス業界における持続可能なソリューションの実現に向けた協業を発表した。

3社は革新的なテクノロジーを活用し、ガラスびんの強度向上と大幅な軽量化を両立させる新しいコーティング技術を開発する。本技術の確立に向けて、2022年1月から、ジョニーウォーカーのボトルを使ったバーチャル試験を実施する。

ガラスびんの強度・軽量化をバーチャルツインを使って検証する試験は、現物を使う試験と比較して、時間とコストを大幅に削減できるとともに、原材料や消費エネルギーの節減にも寄与するという点で、科学的な裏付けのある持続可能なイノベーションへの道を拓くという。バーチャルツインとは、ある製品またはプロセスをリアルタイムで再現すること、あるいは再現されたものを指す。既に多くの産業界において、製品やプロセスのモデリング(3次元化、立体化)、ビジュアライゼーション(高度な視覚化)、特性やふるまいの予測などの目的で、実際のテストに先駆けてバーチャルツインを使った試験が行われている。今回の試験は、ガラスボトル表面の微小なひび割れを軽減する新しい外部コーティング材の研究開発の中で行われる。コーティング材の使用はガラスびんの大幅な軽量化と強度の両立に役立つ。さらに、今回研究中の軽量ガラスびんは、100%のリサイクル性の達成をめざしているという。今回のバーチャル試験が成功した場合には、2022年夏に現物のテストが行われるとのことだ。

Ardagh Groupは持続可能なパッケージ・ソリューションを開発する大手グローバル・サプライヤーだ。今回の協業では、国際コンサルティング会社のEXXERGYと共に、ディアジオ社向けのコーティング技術の研究開発を行う。また、ダッソー・システムズは今回の協業において、コーティング材のナノスケール・バーチャルツインの構築、ガラス表面に生じる相互作用のシミュレーション、有効性のテストなどに、同社のBIOVIAアプリケーションを使った委託研究サービスを提供している。

Ardagh Groupの最高サステナビリティ責任者(CSO)であるジョン・サドリアー氏は、次のように述べている。「当社は、他社に先駆けてガラスの軽量化に取り組んできました。無限にリサイクルできる持続可能な缶やガラスの容器を提供する大手グローバル・サプライヤーとして、当社には世界が直面するサステナビリティの問題に対処する責任があります。お客様やパートナー企業と共に、デジタル化の可能性を探求し、今までにない革新的な軽量化ソリューションを積極的に実現させていきたいと考えています」

ガラスびんの軽量化は、ガラス業界全体の二酸化炭素排出量削減に向けた解決策の1つであり、びんの製造過程と輸送工程の双方で排出量を削減できる。今回の協業プロジェクトが成功すれば、ガラス業界がサステナビリティ目標を実現する上でバーチャルツイン・テクノロジーが有効であることが立証され、業界全体での脱炭素化に寄与するとのことだ。

ダッソー・システムズのインダストリー&マーケティング、サステナビリティ担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるフローレンス・ベルゼレン氏は、次のように述べている。「生産や消費の方法を改める緊急性がますます高まってきています。あらゆることを見直し、かつてないほど大胆な環境への取り組みを考え出さなければなりません。ダッソー・システムズのバーチャルツインを活用することで、企業は他と根本的に異なる、環境配慮型の、新しい素材・製品・プロセスを記録的な速さで設計してシミュレーションすることが可能です。開発初期の段階から正しい設計ができるだけでなく、環境への影響も考慮することができます」

ディアジオ社の購買責任者(Head of Procurement – Grain to Glass Sustainability)であるルーシー・フィッシュウィック氏は、次のように述べている。「サステナビリティ、特に環境配慮型のパッケージは当社の主要な優先事項になっています。ディアジオ社の持続可能なソリューション・プラットフォームの原理を活用し、気候変動による影響への科学的解決策を生み出すイノベーションや連携を促進する、この先駆的な試験に携われることを大変嬉しく思います。当社は、Society 2030戦略において、2050年までに事業活動全体から排出される二酸化炭素量を実質ゼロにする取り組みを行っており、今回の試みが成功すれば、その達成に大きく近づくことになります」

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