メタバースで製造現場の労働災害を疑似体験する「メタバース安全体感教育」が開発

株式会社バーチャルキャストおよびそのグループ会社の株式会社インフィニットループは、株式会社明電舎およびその子会社の明電システムソリューション株式会社と共同で、製造現場などにおける労働者の危険の感受性を高め、労災防止につなげるための教育をメタバース上で展開できる「メタバース安全体感教育」を開発したと発表した。

■リモートで受講できるコロナ禍の安全体感教育、撹拌機での切創体感など様々な労働災害をメタバースで再現

出典元:プレスリリース
社会インフラ・産業システムに特化した重電メーカーの明電グループは、2008年からグループ従業員を対象に、危険感受性を高めるための教育として安全体感教育を展開し、2016年からは社外にも、工場・建設現場などにて実施する出張教育を有償で提供してきた。これまで延べ27,000名以上が受講し、好評を得ているという。座学だけではなく、VRを用いて労働災害を疑似体験できる取り組みが特長で、高い学習効果が期待できる安全教育として展開されてきたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、リアル環境での集合教育の実施が難しくなり、非接触型の安全体感教育へのニーズが高まっていたとのことだ。

今回開発した「メタバース安全体感教育」は、バーチャルキャストが運営するメタバースコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」と明電舎の教育ノウハウを融合させた明電グループ初のメタバース上の非接触型安全体感教育だ。本教育プログラムは、講師と受講者がそれぞれアバターとなって実施するもので、バーチャルキャスト内に構築したメタバース(仮想空間)上において、リアルで開催する安全体感教育に近い教育環境を再現する。アプリをインストールしたパソコン、ヘッドマウントディスプレイ、コントローラーがあれば、場所を問わず教育を受けることできるため、移動やコロナ感染のリスクなどを考慮することなく、安全体感教育を実施することができる。

初回コンテンツとして開発した「運転中の撹拌機で切創体感」は、2022年度から明電舎の社内教育で活用を開始している。撹拌機は、素材の混合に広く使われる機械であり、様々な業界で使用されている。撹拌機に材料を投入する作業において、ミスにより中に落としてしまったものを稼働したまま拾うという不安全行動を体感する。このように、メタバース環境において、リアルでは再現できない危険な状況を安全に疑似体験することができる。

バーチャルキャストは短期間でのコンテンツ開発が可能となっており、今後は「プレス挟まれ体感」、「火災体感」、「回転機巻き込まれ体感」などのコンテンツ拡充を計画しているほか、過去に明電グループ内で発生した災害や事故の事例を語り継ぎ、学ぶための「安全伝承館での学習体感」などもメタバース上で提供を予定している。また、将来的な外販も視野に入れて更なる開発に取り組むとのことだ。

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