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健診データのNFT化によるスマートコントラクトの実証実験が実施

ヒューマンズデータ株式会社は、健康データのセキュアな状態での取引・利活用を目指し、特定非営利活動法人 医療福祉クラウド協会およびラブロック株式会社と連携し、健康データのNFT化によるスマートコントラクトに関する実証実験を行ったと発表した。

■実証実験の背景・目的

少子高齢化は、現在日本を含む先進国で喫緊の課題であり、深刻な社会医療財政の悪化の要因となっている。また個々人にとっても独居高齢化に伴う健康不安に直面している。今、「健康でより長く生きる」という健康寿命は、社会課題の重要なテーマとなっており、そのためにDX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとしたIT技術による技術革新が、医療の分野でも注目されているという。こうした社会課題を解決するために、AI等の最新技術を使った予防医学研究、高度な保険商品開発、健康保険組合が推進する数値に裏付けされた実効性ある健康増進活動、健康維持増進と介護予防を中心とするヘルスケアサービス等の今後が期待されているとのことだ。一方、医療データが標準化されておらず、また改ざん不能で確実な信頼性が高い経年データが十分整備されていないことから、医療データの相互運用性、医療データを活用した便益の還元を大きく阻害しているという。

ヒューマンズデータは、医療データの利活用に向け、フォーマットの統一はもとより「① 安心確実な手段で標準化された信頼性の高い医療情報のやり取りができる」ことと、「② 被験者の主体的な意思のもとで医療情報の利活用を行える、安心・確実な手段で標準化された信頼性が高いデータのやり取りができる(スマートコントラクト)」ことが必要だと考えているという。それを実現するためのテクノロジーとしてブロックチェーンおよびNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)技術を活用し、医療分野に関する高信頼データ取引システムおよび高信頼データ取引法に関する特許を取得した。

今回、医療データの利活用に向けた実証実験の第1弾として医療福祉クラウド協会とラブロックと連携し、被保険者の医療データをNFT化し、ブロックチェーンに保存する事でNFT化およびポイント換算によるスマートコントラクトに関する実証実験を行った。

■実証実験の概要

2022年4月、ヒューマンズデータは、取得している特許内容をベースとし、医療福祉クラウド協会とラブロックと連携し、実験に同意を得た被験者10名が、開発された専用の実証実験アプリケーションを通じて健康データを入力した。入力されたデータは医療情報関連の標準規格データベースであるHL7 FHIR(以下、FHIR)に格納され、ブロックチェーンに登録される。ブロックチェーンに登録された被験者の健康データは、開発されたNFT化システムにより1日1回NFT化され、ブロックチェーンに登録されたデータのハッシュ値と登録先URLの組をさらに3つ束ねたものを、NFTとしてブロックチェーンに登録した。

アプリケーションデータ入力画面
出典元:プレスリリース
NFT化された健診データ
出典元:プレスリリース
NFT化された医療データは、Token Taxonomy Framework(TTF)および医療情報NFT定義に準拠したデータ形式でブロックチェーンに格納することで、本質的にブロックチェーンの実装に影響されない形で格納され、改ざんなどの影響を受けた状態では正しくデータの取引を行う事ができない設計となっている。本実証実験ではデモ的に被験者の健康NFT1件あたり1ポイントとして、ポイントを消費して取引が行われる実験を行った。取引結果はNFTに記録され、正しくデータのやり取りが記録されている事が確認できたとのことだ。

NFTポイントを利用したポイント交換手続き
出典元:プレスリリース

■実証実験の結果

今回の実証実験の結果、10名の被験者から合計90件のNFTが生成され、健康データについて仮に設定したポイント同等物と取引が確実に行われることを確認。また、実証実験の結果、ブロックチェーンにFHIRデータベースに保存された健康データのハッシュ値などを持たせることにより、万が一データが改ざんされても、その検知ができることを証明した。またNFT化においては、ブロックチェーンの業界プレイヤー等が集うInter Work Allianceが策定するTTFに準拠し、将来異なるブロックチェーン間でもデータの相互運用を可能とし、医療データをNFTとして技術的に取り扱うことができることを証明したとのことだ。

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