東芝とDeNAライフサイエンス、ゲノムデータを含む ヘルスデータの利活用に関する協業検討を開始

株式会社DeNAライフサイエンスは、株式会社東芝と、両社がそれぞれ蓄積してきたゲノムデータを含むヘルスデータの利活用の協業に向けた検討を開始したと発表した。

■背景と目的

ライフサイエンス・ヘルスケア企業において、健康診断やレセプト(診療報酬明細書)データなど、実世界から得られるリアルワールドデータ(RWD)の収集・利活用は、研究開発の効率化やコスト削減につながることが期待されている。東芝が保有するゲノムデータに結びついた健康診断結果・問診結果・レセプトデータ、および、DeNAライフサイエンスが保有するゲノムデータに結びついた生活習慣アンケートデータを、両社それぞれが保有するヘルスケアサービスなどと相補的に連結し、製薬・食品・健康分野などでの利活用の可能性を検討するとのことだ。

■協業内容

東芝は企業コホートという形で、1万人超えのゲノムデータおよび過去10年以上の従業員の健康診断、問診結果およびレセプトデータを蓄積している。さらに、産業分野で培ってきたビッグデータ解析技術を応用し、将来の生活習慣病の発症リスクの予測に関するAI「生活習慣病発症リスク予測AI」の開発実績を有している。DeNAライフサイエンスは遺伝子検査サービス「MYCODE」を展開し、約12万人の会員が利用している。「MYCODE」は、研究参加同意があった会員とオンラインでリコンタクト(サービス参加者への再コンタクト)が可能なパネルを持ち、ゲノムデータと生活習慣に関するアンケート回答などを元に企業やアカデミアと共同研究をするプロジェクト「MYCODE Research」でも成果を上げているという。両社がそれぞれ保有するヘルスデータを基盤として、互いのデータを統合した仕組みを構築し、それを利活用するサービスの提案を検討する。

両社は具体的に以下の4テーマに関して検討を進める。

・創薬プロセスの支援
独自の遺伝的背景を有する集団を見出し、病気のタイプに合わせた創薬標的の探索や、既存薬剤の再活用(リパーパシング)などへのデータ利活用の可能性を調査すること。

・薬剤上市後の分析支援
薬剤の副作用や合併症等の発症メカニズム、および個人差を見出すため、ヘルスデータの複合的分析を見据えたデータ利活用の可能性を調査すること。

・健康増進を支援するサービス開発
ヘルスデータを組み合わせて解析し、糖尿病や心血管疾患などの生活習慣病予防のための行動変容プログラムを構築すること。

・リコンタクトパネル参加型の臨床試験・研究の運営
データベースの構築に参加した人から研究への参加の同意を取得し、食品・化粧品・製薬メーカーなどの臨床研究を受託し被験者募集やデータ収集を共同で実施すること。
出典元:プレスリリース

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