オタフクソースとIHI、AIを活用したレシピ検索システムを共同開発

株式会社IHIは、オタフクソース株式会社と、ソースの新規開発において、既存の製品および試作品(液体調味料)から目標とする味に近いものを抽出するシステムを共同開発したと発表した。

オタフクソースが製品の味をつくる際の開発起点はさまざまだが、目標とする味のサンプルがある場合は、まずサンプルの理化学分析や官能評価を行い、その結果を1万5千以上ある製品や試作品のデータと照合し、近いものを探す。それを基準にして幾度も試作を繰り返しながら、目標の味に近づけていく。製品や試作品に関するデータへの知識の深さや量は開発経験により異なり、熟練の開発者ほど短時間で近い味を見つけ出し、目標の味を完成するまでの試作を少ない回数で行うことができる。また、官能評価は人が行うことであり、味覚がベースとなるため個人差がある。試作や味の評価は属人化しており、熟練開発者の技能の伝承には長い年月を要しているという。

そこで、IHIとオタフクソースでは、製品や試作品の理化学分析値、味や風味などの特徴を表すキーワード、そして分光スペクトルのデータにより味をデジタル化し、AIに学習させることで、目標の味に近いものを抽出するシステムを、2019年より共同開発してきた。IHIで分光スペクトル計測方法を構築し、オタフクソースの持つデータや製品開発における知見をもとに製品や試作品の評価に適したAIアルゴリズムを開発し、システムとしてまとめた。

オタフクソースは、製品や試作品のレシピを、データとして集約・一元化し、味を定量的・客観的な分析により標準化するだけでなく、瞬時の検索や、試作にかかる時間を短縮することで開発の効率向上が期待できるという。

なお、分光スペクトルによる分析、および製品開発におけるAIの使用はオタフクソースでは初の試みだ。また、IHIとオタフクソースは共同開発した本装置および技術について、特許を共同出願しているとのことだ。

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