「フリーランスコンサルタント向けの案件紹介サービス~カオスマップ2024年版~」を公開

現役コンサルタントのための総合メディア「CASE SEARCH for コンサル」は、「フリーランスコンサルタント向けの案件紹介サービスのカオスマップ2024年版」を公開した。
本カオスマップでは、国内51のサービスを対象に調査を行い、それらを「案件紹介の方法」と「案件の領域・テーマ」という2つの軸で整理している。

■カオスマップ作成の目的・背景

昨今、コンサルティング業界の拡大に伴い、コンサルティングファームから独立し、「フリーランスコンサルタント」という働き方を選択するプロフェッショナル人材が増加している。

フリーランスコンサルタントは、一般的に報酬やワークライフバランスの面で優れているため、コンサルティングファームで経験を積んだコンサルタントが独立を選ぶケースが増えている。
また、コンサルティングサービスを活用する事業会社にとっても、フリーランスコンサルタントを起用することで、コスト削減や優秀な人材によるスポット支援などのメリットを得ることができる。さらに、小規模なコンサルティングファームなども、人材や専門性の不足を補うためにフリーランスコンサルタントを活用している。

コンサルタントとクライアントの双方にメリットがある「フリーランスコンサルタント」だが、近年の急激な増加には、コンサルティング案件とフリーランスコンサルタントをつなぐ「案件紹介サービス」が普及したことで、独立後の案件探しが容易になったという背景がある。

現在、このような案件紹介サービスが数多く立ち上がっている中で、フリーランスコンサルタントや、フリーランスコンサルタントを活用したい企業が、自身や自社にマッチしたサービスを見つける一助となることを目的として、カオスマップを作成した。

■カオスマップの解説

カオスマップでは、国内の51の「フリーランスコンサルタント向け案件紹介サービス」を調査し、「案件紹介の方法」および「案件の領域・テーマ」の2軸で整理した。

<案件の紹介方法>

出典元:プレスリリース

<案件の領域・テーマ>

出典元:プレスリリース
カオスマップのポイントとしては、以下となる。
・「総合型×エージェント型」が最も多い。
・取り扱い案件数の多い総合型では、「プラットフォーム型」で案件を紹介するサービスが複数存在する。
・「ハイブリッド型」は、サービス運営元が上場企業などの大手であるケースが多い。

■海外におけるフリーランスコンサルタント市場の動向

海外においてはフリーランスコンサルタントの活用がより進んでいる。今回カオスマップの作成と合わせて、海外のフリーコンサル市場の動向を調査した。

1. 世界的なフリーランスコンサルタントの増加
フリーランスコンサルタントのマッチングプラットフォーム最大手の1つであるCatalant社(米国)によると、同社のプラットフォームには8,000人以上の一流コンサルティングファーム出身者が登録しており、すでに16,000件以上のコンサルティングプロジェクトが遂行されたとのことだ。

また、ODGERS CONNECTおよび Source Global Researchの調査によると、2016年に英国のコンサルタントが提供した業務総額97億5,000万ポンドのうち、ほぼ5分の1(約20億ポンド)が独立したコンサルタントによるものであると推定されている。プロフェッショナルギグエコノミーが拡大した現在では、その割合がさらに高くなっている可能性がある。

このように世界的に、フリーランスコンサルタントは増加し、コンサルティングサービスの重要な担い手として拡大している。

2. フリーランスコンサルタントプラットフォームの浸透
Catalantをはじめ、malt strategyやBusiness Talent Group、MOVEMEON、WEEMなど、欧米において数多くのフリーランスコンサルタントプラットフォームが登場・普及している。

Catalantは、自社のプラットフォームを通じてコンサルティングサービスを利用することで、従来のコンサルティング会社と比較してコストを40-60%削減できるとしており、すでにフォーチュン500企業の30%以上や大手PEファンドなどが顧客となっている。

Malt Strategyは15,000人を超える一流コンサルタントのグローバルネットワークを築いており、独DAX40や仏CAC40の約50%の企業とプロジェクトの実施経験があるとしている。

3. 大手ファームもフリーランスコンサルタントの囲い込みを始めている
大手コンサルティングファームでも、フリーランスコンサルタントの囲い込みが始まりつつある。

米国のデロイトは、「Deloitte Open Talent」と呼ばれる、フリーランスコンサルタントにDeloitteのプロジェクトを紹介するためのプロフェッショナルコミュニティを立ち上げている。また、米国のPwCも、「Talent Exchange」と呼ばれる、フリーランスコンサルタントにPwCのプロジェクトを紹介するプラットフォームを提供している。

■日本のフリーランスコンサルタント市場の見通し

海外の市場動向を踏まえ、日本のフリーランスコンサルタント市場の今後について、5つの見通しを整理した。

1. 今後も国内フリーランスコンサルタント市場は拡大する
国内のコンサルティング市場は着実に成長を続けており、それに伴い、フリーランスコンサルタントに対する需要も今後さらに高まっていくと予想される。大手コンサルティングファームに在籍するコンサルタントの中には、独立してフリーランスとして活躍することを選ぶ人が増えつつある。この流れが加速すれば、フリーランスコンサルタント市場はより一層の拡大が見込まれるだろう。

2. 案件紹介サービスの統廃合が進む
現在、国内には多数の案件紹介サービスが存在しているが、今後、市場の成熟に伴い、統廃合が進むことで、より大規模で競争力のあるプラットフォームが登場する可能性がある。海外では、クラウドソーシング大手のmaltがフリーランスコンサルタントプラットフォームのCoMatchを買収するなど、隣接業界の大企業による買収事例もある。このような動きは、国内市場でも起こり得るだろう。

統廃合や買収を通じて、サービスの規模拡大や機能強化が進むことで、フリーランスコンサルタントと企業のマッチングがより効率的になることが期待できる。

3. 海外サービスとの提携が進む
コンサルティングプロジェクトでは、海外のマーケットに関する情報や知見が必要となることもある。そのため、国内のフリーコンサル向けの案件紹介サービスと海外プラットフォームとの間で提携が進む可能性がある。

4. コンサルティングファームと案件紹介サービス事業者の提携が進む
フリーランスコンサルタントの活躍の場が広がるにつれ、優秀な外部人材プールへのアクセスがコンサルティングファームの競争力の1つとなる可能性がある。こうした中、コンサルティングファームと案件紹介サービス事業者との提携が今後加速する可能性がある。海外でもCatalantなどがすでにコンサルティングファームとの提携を始めている。

提携により、ファームは必要な時に必要なスキルを持ったコンサルタントを機動的に確保できるようになる一方、サービス事業者にとっては、大手ファームの案件を獲得できるチャンスが広がる。

また、米国ではデロイトやPwCといった大手ファームが自前でフリーランスコンサルタント向けの案件紹介サービスを運営する動きも見られる。今後、日本でもこのようなファーム主導の取り組みが出てくる可能性があるだろう。

5. コンサルタント個人がレビューで信頼を獲得する時代に
将来的に、フリーランスコンサルタントは、クライアントからのレビューを自身のサービス品質の信頼性を担保するためのアセットとして活用していく可能性がある。すでに海外のフリーランスコンサルタントプラットフォームでは、コンサルタント個人のプロフィールにレビュー評価が表示される仕組みがある。

米国ではB2Bサービスのオンラインレビュープラットフォームの活用が進んでおり、今後、個人レベルでのレビュープラットフォームへと進化していく可能性がある。日本でも、フリーランスコンサルタントの増加に伴い、個人のレピュテーションが可視化されていく可能性があるだろう。
本カオスマップはCASE SEARCH for コンサルが独自に作成したものであり、内容の網羅性・正確性・最新性を完全に担保するものではない。
本カオスマップに掲載された商標及びロゴマーク等に関する権利は、それぞれの権利所有者に帰属している。
本カオスマップに掲載されたロゴマーク等の使用に関し、問題等がある場合は、CASE SEARCH for コンサルへ。
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