スキルアップ研究所、「企業研修によるリスキリングの実態調査」の結果を発表
2024/5/20
研修期間は3ヶ月未満が過半数、企業研修の満足度は7割
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調査結果全文はこちら:https://reskill.gakken.jp/3530
◼️調査背景
実際、多くの企業が将来を見据え、DXの推進やイノベーション創出に向けて、社員のリスキリングを奨励するようになってきた。既存事業の変革とともに、従業員の能力向上が重視されつつあると言える。
そこで今回、企業研修におけるリスキリングの実態を、その内容、期間、社員の満足度などの観点から調査し、企業側と従業員側の双方から、リスキリングの現状と課題を明らかにした。
◼️調査結果
・ITリテラシー・DXとコミュニケーションスキルが多数
・研修期間は3ヶ月未満が過半数
・7割以上がリスキリング研修に満足
・評価との連動・費用の支援が必要
ITリテラシー・DXとコミュニケーションスキルが多数
従来の企業研修のメインであった「コミュニケーションスキル」に加えて、DX社会に適応するためのITリテラシー・DXが企業研修として浸透していることがわかる。その他にも「ChatGPT」などの登場により、急激に身近になった生成AIを用いた「汎用的なAIスキル」(9票)も企業研修に取り入れられ始めていることがわかった。
3ヶ月未満の研修が過半数
「1ヶ月未満」と「1ヶ月以上3ヶ月未満」を合わせた3ヶ月未満の回答が過半数となった。
また、1年未満との回答が全体の9割近くを占めた。これらのことから、企業研修におけるリスキリングは比較的短い期間で行われていることがわかる。
7割以上がリスキリング研修に満足
また、「少し不満がある」と「非常に不満」を足し合わせた割合が1割以下となっており、リスキリング研修の満足度は決して低くないことがわかった。
評価との連動・費用の支援が必要
また、環境づくりのための1番目に必要な施策として「仕事量の調節によりスキル習得を優先できる制度の整備」の声が多く挙げられた。
これらの結果から、「経営トップによるリスキリングの重要性の発信」や「職場の同僚や上司のリスキリングへの理解や励まし」といった職場内での企業研修・リスキリングに対する理解の促進などではなく、具体的な費用の支援やスキル習得と連動したインセンティブの構築が企業側に求められていると言える。
◼️企業研修におけるリスキリングの今後の展望
企業研修におけるリスキリングの満足度は7割と高く、特にプログラミングや会計・金融、ITリテラシー、DXスキルについての満足度が高かった。
一方で、個々の研修への満足度は高いものの、リスキリングに費やす時間は短い傾向にあった。このことから、企業側も従業員側も、事業を大きく変革するほどの本格的なリスキリングには踏み込めていないと推察される。
従業員からは業務量調整によるスキル習得優先の制度を求める声があり、企業側は現行業務とリスキリングの両立を求めていると考えられるが、このようなリスキリングでは内容が薄くなりかねない。
DXの推進や人的資本への投資を通じた中長期的な企業価値向上を目指すのであれば、自社の必要スキルを明確化し、従業員が全力でリスキリングに取り組める制度を整備することが不可欠だ。
◼️調査概要
項目 | 内容 |
調査名 | 企業研修によるリスキリングの実態調査 |
対象者 | 20代以上の社会人の方で、企業内でリスキリングを目的とした研修を受けたことのある方 |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2024年4月28日〜5月5日 |
回答数 | 92 |