■調査サマリー
● 製造業従事者の7割超が毎日出社し、ハイブリットワークは2割に留まる。
● 成果を最大化するための理想の働き方は、約半数が毎日出社と回答。実際には回答者の7割強が「毎日出社している」と回答したことから、働き方のギャップが明らかに。
● リモートワークを実施しやすい環境整備のために最も重要なものは、「デジタルツールの活用(DX)」が1位。次いで、「経営陣の意識改革」、「ルール整備」と回答。
● リモートワークが企業の競争力に与える影響では、35%が「採用力が上がる」と回答。
● 働き方の環境整備以外で、必要な施策は「人手不足の解消・充足」が4割超で1位、次いで「DXによる生産性向上」、「AI活用による標準化・生産性向上」と回答。
■調査結果
「新型コロナウイルス感染症」が、2023年5月8日から感染症法上の「5類感染症」へ分類。行動制限が撤廃され、本格的なアフターコロナとなって1年のタイミングで、製造業従事者の働き方調査を実施した。
1)まず、現在の働き方を聞いたところ、毎日出社が73.7%、ハイブリットワークが22.6%、フルリモートが3.7%と回答。毎日出社する割合が突出して高い結果となった。
2)次に、会社によってどの程度出社の必要性があるか確認したところ、毎日出社が必須と答えた割合は61.1%と圧倒的に多く、次いで、週の半数である3、4日の出社が必須と答えた割合が12.2%、次いで週に1、2日の出社が必要であると10.8%が回答。
3)2)の設問で、定期的に出社をしていると回答した人を対象に、出社理由を確認したところ、「会社で出社必須のため」と回答した割合が66.3%、次いで、情報セキュリティ観点や現場作業など「物理的な場所の制約があるため」と回答した割合は33.5%、「チームのコミュニケーションが容易になるため」と回答したのが14.4%となった。
4)成果を最大化するための理想の働き方を聞いたところ、約半数の48.7%が毎日出社と回答。ハイブリットは34.6%、フルリモートは7.3%となった。フルリモートとハイブリッドを希望する人を合わせると41.9%がなんらかの形でリモートワークを理想としていることがわかった。
5)リモートワークを実施しやすい環境整備のために最も必要なものは何か聞いたところ、23.6%がデジタルツールの活用(DX)と回答。次いで、経営陣の意識改革が19.1%、ルール整備が11.6%となった。
6)リモートワークができることによる企業の競争力への影響を聞いたところ、離職率、採用力、生産性、労働力全ての項目で、変わらないと答えた割合が一番高かったものの、「離職率が下がる」(32.8%)と回答した割合が上がる(9.0%)よりも高く、「採用力は上がる」(35.0%)と回答した割合が下がる(6.5%)よりも高かった。
7)働き方の環境整備以外で、必要だと思う施策を聞いたところ、「人手不足の解消・充足」が43.0%で1位、次いで「DXによる生産性向上」が37.3%、「AI活用による標準化・生産性向上」が25.5%となった。製造業においては慢性的な人手不足が課題となっているが、DXやAIといった技術の活用が上位となった。
■総括
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行から1年が経過した今、製造業従事者は73%が「毎日出社」していることが今回の調査で明らかになった。現場での仕事が多い製造業において、この割合は意外性がないとも思われるが、理想の働き方を聞いたところ、「毎日出社」と回答した割合は48%となっており、25%のギャップが生まれている。リモートワークが可能である場合は、32%が「離職率 は下がる」、35%が「採用力は上がる」と回答していることからも、リモートワークが可能となる「ハイブリットワーク」の普及が製造業に求められている。
そして、リモートワークを実施しやすい環境整備のために必要なものの1位に「デジタルツールの活用(DX)」、また環境整備以外で必要なものでも37%が「デジタルツールによる生産性向上」、25%が「人工知能の活用による標準化・生産性向上」と回答していることから、今後も加速する労働力人口の減少や日進月歩のテクノロジーの進化に対応していくために、製造業においてもDXに対する意識変革を起こしていく必要があると考える。
■ 調査概要
調査名称:製造業における働き方調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年 5月17日(金)〜 5月 24日(金)
調査対象者:「製造業(日用品、製紙・パルプ、石油製品、AV・家電・電気機械器具、コンピュータ、自動車・輸送機器、鉄鋼業 )」にお勤めと回答した509名
表記:四捨五入し、小数第1位までの値で記載