GPT搭載の教育用AIフィードバックシステムを東京学芸大学と共同開発し無料公開。ユーザー募集も開始

東京学芸大学「教育のためのデータサイエンス」授業での試験的導入を経て汎用版「教育用AIフィードバック with KanameEngine」を公開

25年以上のAI経験とWeb3を軸に、社会実装型DXコンサルティング・開発ソリューションを提供する株式会社カナメプロジェクト(住所:愛知県名古屋市中区丸の内1丁目4-29 愛協ビル7階、取締役CEO:遠藤太一郎)は、国立大学法人東京学芸大学と共同でGPT-4o等のAI技術を活用して自動でレポート等のフィードバックをするシステム「教育用AIフィードバック with KanameEngine」を開発し、広く教育現場で活用されることを想定して無料公開・ユーザー募集を開始した。

■システム開発の経緯

国立大学法人東京学芸大学では現在、「教育のためのデータサイエンス」という授業を実施している。こちらは1,000名以上が履修しているクラスであり、履修者全員の提出レポートに対して教員やTA(ティーチングアシスタント)が一人ずつコメントを付けていくことは、工数等の観点から持続的な運用方法ではなかった。このような背景から、カナメプロジェクトは東京学芸大学と共同で、AIが自動でレポートのフィードバックをするシステムを開発し、同授業にて試験的に導入。学びにどのような影響があるかを検証した。

■システム無料公開の経緯

該当の授業は、前期で全7回構成のものが2回行われる。前半7回の授業が終了し、AIからのフィードバックを受けた履修者の感想を集計した結果、以下の結果が得られた。

(1) AIフィードバックの良かった点

- 自分の理解度や不足している点を客観的に把握できた
- 学びを深めるためのアドバイスがあり、学習意欲向上につながった
- 授業内容の復習や振り返りに役立った
- 自分の意見を肯定的に評価してくれるので、モチベーションが上がった

(2) AIフィードバックの改善点

- 文章が長く、読む気が起きないことがあった
- 機械的で画一的な印象を受けることがあった
- 細かいニュアンスの違いを理解してくれないことがあった
- 具体性を求められすぎて、他のアドバイスが欲しかった

(3) AIの可能性と限界

- 教員の負担軽減や効率化に役立つ可能性がある
- 大人数の授業でも一人一人にフィードバックできる
- 感情や文脈の理解、細かなニュアンスの解釈に限界がある
- 完全に教員の代替にはならないが、補助ツールとしては有用

(4) 他の授業での活用への期待

- 他の授業でもAIフィードバックを活用してほしい
- レポートの書き方の改善にも役立ててほしい
- 小中学校など、対象者に応じた活用方法の検討が必要
- AIの精度向上により、さらなる活用の可能性がある

■無料公開するシステムの概要と使い方

本システムは、Google スプレッドシートを活用する。専用のスプレッドシートに授業の情報を入力し、同ファイル別シートにレポートの内容を入れ、上部にある「フィードバック生成」ボタンを押すと、AIによるフィードバックが自動生成される。
出典元:プレスリリース
出典元:プレスリリース
なお、本システムではAIモデルを「GPT-4o」と「Command-R+」の2つから選択できるよう設計している。

Command-R+は非商用無料で、GPT-4oに準じた性能を持つモデルだ。月間1,000件までという制約はあるが、コスト軽減の観点で選択肢として用意した。

※使用するモデルのAPIキーについては、別途ご用意しているガイドマニュアルを参照の上取得を。またサンプルプロンプトも公開し、簡単にカスタマイズできるようにしている。

※東京学芸大学の「教育のためのデータサイエンス」授業で使用する際は、AIリテラシー教育もセットで行った​​AIを授業で活用する際は、文部科学省の生成AIガイドラインや各自治体のガイドラインの確認を。また、OpenAIの規約では、直接の利用は13歳以上となっており、18歳未満は保護者の同意が必要となっている。フィードバックは児童・生徒に直接するのではなく、教員が参考のためにフィードバックに手を加えて活用するなど、工夫して利用いただくことを想定している。

■AIからのフィードバック例

「教育のためのデータサイエンス」授業で実際に生成されたAIからのフィードバックについては、以下の遠藤によるコラム記事にて記載している。併せて参照を。

▶︎GPT搭載 教育用AIフィードバックシステムを無料公開しました

■今後の展開予定

公開後は以下の取り組みを進める予定である:
- 遠藤太一郎のnote等での状況報告
- 本システム利用者を含めたオンライン座談会等のイベント実施
- 一定の知見が溜まった段階でレポート/論文等としてまとめた上で公開
- AIフィードバック以外のテーマでの検証

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