■新機能搭載の背景
近年、マーケティング領域に生成AIを取り入れることが注目されている。既にクリエイティブなコンテンツ作成業務や事務作業の効率化などに活用している事例が多く見られる中、最近では「対話型生成AI」による自社顧客に対する思考の深堀や仮説の精緻化といった、ヒトの担う領域を支援する活用可能性が広がっている。これまでマーケターが経験、勘をもとに進めていた商品企画や消費者心理の分析に生成AIを取り入れることで、より効率的かつ高精度な結果を得ることができるほか、顧客のニーズや課題に対して、広範囲の視点から複数のアイデアを提供することが可能となってきている。こうした中で、「見える化エンジン」では、「ペルソナマーケティング」に着目し、従来インタビューやアンケートを経て行われていたペルソナ作成や、そのペルソナに対する商品企画や告知方法などの仮説構築を支援する機能を新設した。
■機能の詳細
今回の新機能では、「見える化エンジン」に取り込んだX(旧:Twitter)のデータに含まれるテキストデータやプロフィール情報等を基にペルソナを作成し、さらにそれらのペルソナと対話を行うことが可能となった。本機能は、2段階に分け活用することでより効果的にマーケティングに必要な情報を把握することが可能である。
・STEP1:ペルソナ生成
「見える化エンジン」に取り込んだ特定領域のX(旧:Twitter)データを用いて、詳細なペルソナ像を生成する。さらに、テキストベースのペルソナ情報(ターゲットユーザの行動パターンや嗜好など)に加え、生成したペルソナ情報からイメージされる人物の画像生成を行う。ペルソナに含まれる項目は、「年齢」「性別」「趣味嗜好」「ライフスタイル」「休日の過ごし方」などの一般的なものから、「お酒を飲む頻度」「お酒を飲む場所(外飲み/宅飲み)の嗜好性」などの、自社独自のオリジナル項目を生成することも可能である。生成されたペルソナは、効果的なマーケティング戦略の立案や、ユーザのニーズや期待に応じたサービス設計などに利用できる。
・STEP2:AIインタビュー
ペルソナ生成機能で作成した人物像に対して、インタビューを行うようにチャット形式で質問することができる。また、最大4人に対して同時に質問を送信したり、4人の中から個別で指定した人物に質問を送信することも可能である。これにより、多様なシナリオのシミュレーションを容易に実施できるため、幅広いターゲット層の深いニーズや悩みの仮説を迅速に把握できる。さらに、企画中の新商品に対するテストマーケティングの前段階の検証や、カスタマージャーニーマップ策定の材料といったマーケティング施策を支援する効果も期待できる。
従来の「見える化エンジン」の分析機能で発見できる顧客の声に加え、生成AIで具体化するペルソナ人物像へのインタビューにより、自社のマーケティング領域に適した情報を把握できる。これまでのペルソナマーケティングで行っていた顧客ニーズ把握やペルソナ再考の高速化に加え、これまでリーチが難しかった自社サービスに批判的な人物などを対象にした仮説構築も可能になる。本機能は、2024年7月25日に正式リリースを行った。今後も「見える化エンジン」は、さまざまな企業と顧客接点から集まる「顧客の声」を統合・分析することで、企業活動に資する形でのマーケティング支援、顧客体験の見える化を支援する。
■テキストマイニングシステム「見える化エンジン」
「見える化エンジン」は、企業に寄せられる問合せ、アンケート、SNSなどの膨大な「顧客の声」をテキストマイニングで分析することで、顧客の困りごと、商品・サービスへの要望・不満などのニーズ、さらに喜び・悲しみといった感情の変化まで見える化できる。さらに、社内の関係部署や経営層まで「顧客の声」を届ける共有機能、「顧客の声」から浮かび上がった課題に対する改善活動のワークフローまで、ワンストップで支援する「顧客の声」活用プラットフォームである。