【2022年最新】スマホ決済を導入するには?8社のサービスを比較

PayPayやd払い、au Payなど、スマホ決済アプリには多くの事業者が参入しています。そのため自分のお店にも導入しようと考えているオーナーもいるでしょう。では、店舗側から見たおすすめのサービスはあるのでしょうか? 導入にかかる費用や手数料を比較します。

スマホ決済とは?

スマホ決済はスマホのアプリを使って、お店で支払いができるキャッシュレス決済のひとつです。スマホ決済を活用すると、財布を持ち歩く必要がなくなったり、ポイントを貯めてお得な買い物ができたり、あるいは支払履歴を簡単に確認できるため現金よりも支出管理しやすいなど、さまざまなメリットがあります。ただ、これらはいずれも消費者サイドから見たメリットです。スマホ決済が広く普及するためには、導入する店舗が増えなければいけません。そのためには店舗にとってもメリットがなければ、導入は進まないでしょう。とくに現在は多くの事業者が参入しているため、スマホ決済の導入を決断したとしても、どれを選択するのか決める必要があります。資金力のある大型チェーン店なら複数のスマホ決済を導入できるかもしれませんが、街の商店では難しいでしょう。サービスを吟味しながら、どれかに絞って、端末やシステムを設置することになります。では、お店にスマホ決済を導入する場合、どのサービスがおすすめなのでしょうか? 導入するための費用や手数料を比較します。

スマホ決済を導入するメリット

スマホ決済を店舗で導入するメリットには、どんなものがあるでしょうか? ひとつは会計や売上管理の効率化です。現金決済が中心の店舗では、売り上げを計算し、レジを締める作業に時間と人員コストが非常にかかります。レジ1台を締めるのに、平均25分を要すると言われています。ときにはお釣りの計算間違いや小銭の紛失など、金額が合わずに、余計な労力がかかってしまうこともあります。その点、スマホ決済では金銭の受け渡しが不要で、決済データが自動的に保存されるため、レジ締め作業が不要になります。

また近年はシェアを拡大するためにスマホ決済事業者がCMでサービスを告知したり、利用を促すキャンペーンを実施しています。そのため、スマホ決済を導入していると集客効果もあります。クレジットカードなど他のキャッシュレス決済でも同様ですが、手持ちの現金を気にすることなく支払いができるため、購入機会損失の防止になるというメリットもあります。スマホ決済で購入できるなら買ってしまおうという心理が働くわけです。そのほか新型コロナウイルスの感染予防対策としての側面もあります。支払い時に現金のやりとりがないため、スマホ決済は感染リスクを減らす観点からも注目されています。

スマホ決済を導入するデメリット

反対にスマホ決済を導入することのデメリットは何でしょうか? ひとつは現金決済と二重に管理する必要が出てくる点があげられますが、多くの店舗ではこれまでにクレジットカードなど他のキャッシュレス決済を導入していると思います。そう考えると、現金決済との二重管理はデメリットにはならないかもしれません。会計を担当するスタッフが慣れるまでに時間がかかる点もデメリットです。急なトラブルで支払いをキャンセルする必要が発生したり、返金をしなければいけないケースでは難しい対応を迫られるでしょう。また、地震や停電など災害時にスマホ決済が利用不能になる可能性もあります。緊急事態時にはどのように対応すべきか、マニュアルを作っておく必要があるかもしれません。そのほかスマホ決済を導入することで、事業者に支払う手数料が負担になる可能性もあります。

スマホ決済のタイプ

スマホ決済にはカード決済対応型(非接触型決済型)と、QR決済メイン型のふたつのタイプがあります。それぞれ必要となる決済機器が異なるため、どちらを導入するのが良いのか、事前に検討しておくことが大切です。

カード決済端末によるスマホ決済

カード決済対応型はICカードやスマホをかざすことで決済データをやりとりするための仕組みのことです。カード決済端末によるスマホ決済のメリットデメリットを紹介します。

QRコード(バーコード)によるスマホ決済

QR決済メイン型の場合には、とくに専用の機器は必要としません。店頭にQRコードを設置し、それをお客様に読み取ってもらうか、あるいは通常のバーコードリーダーで決済情報の読み取りができます。導入を決めたら、事業者から送付される初期キットを設置するだけですぐに利用することができます。

店舗に導入するスマホ決済を選ぶポイント

スマホ決済には、PayPayやメルペイ・d払い、au Pay、楽天Payなど多くの事業者が参入しており、お店にスマホ決済を導入したいと思ったとき、どのサービス事業者を選べば良いのか、わからないという人もいるでしょう。そこで店舗にスマホ決済を導入する際のポイントを解説していきます。

運用にかかる費用

覇権をめぐって競争が激化しているスマホ決済では、主なサービス事業者は初期費用や月額費用を徴収していません。また、スマホ決済では、レジのバーコードでお客の決済情報を読み取るため(もしくは、店頭に置いた決済用のQRコードをスマホで読み取ってもらう)、専用の端末を購入する必要がありません。

したがって、運用にかかる費用は、決済時にかかる決済手数料だけです。決済手数料は事業者によって異なりますが、だいたい2%~4%となっています。

導入に必要な準備や設備

QRコード(バーコード)によるスマホ決済の場合、サービスに加盟すると、決済に使用するQRコードを準備します。レジでバーコードリーダーをすでに使っているなら、専用の端末が不要である可能性もあります。また非接触型のスマホ決済なら、専用の端末が必要になります。さらにモバイル端末が別途必要となるケースもあります。もしインターネット回線がなければ使用ができないため、ネット環境から整える必要がでてくる可能性もあります。    

セキュリティ

スマホ決済サービスでは、現金での支払いとは異なり、ネットワークを通じて、支払いでデータの送受信を行うため、不正利用によるトラブルが起きるリスクがあります。不正利用が発生すると信用問題に発展するため、あらかじめセキュリティ面の整った決済サービスを選ぶと良いでしょう。

入金サイクル

スマホ決済では、店頭で支払いが完了した時点では、まだお店に入金がありません。スマホ決済事業者からリアルタイムで、その都度、入金されるのではなく、後日、代金が振り込まれる仕組みになっています。したがって、すぐに現金化することができません。できるだけ早く入金してほしい場合は、各社の入金サイクルを比較すると良いでしょう。入金サイクルが長い事業者を選んでしまうと、経営に支障をきたす恐れがあり、注意が必要です。

カード決済端末によるスマホ決済サービス4つを比較

続いては主要なスマホ決済を導入したときにかかるコストや、入金サイクル、必要とされる機材など、事業者を選ぶときに参考になるポイントをそれぞれ解説していきます。

Square(スクエア)

Square(スクエア)は、Twitter社の創業者が開発したモバイル決算サービスで、2013年に日本でサービスがはじまりました。専用のカードリーダーをスマホやタブレットに装着するだけで決済が可能になる点が最大の特徴です。利用可能なクレジットカードはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discoverの6種類で、交通系電子マネーにも対応しています。そのほか、iDやQUICPayといった電子マネーも利用可能ですが、現在QRコード決済については対応していません。

振込手数料は銀行で無料。入金サイクルは翌日もしくは週1回となっています。決済手数料は、3.25%〜3.95%で事業者によって異なります。導入する際のコストはキャンペーン中ならカードリーダーは無料で、月額の固定費もかかりません。
初期費用 無料
月額 無料
決済手数料 3.25%~3.75%
導入に必要な設備 Square POSレジ、Square ターミナル
セキュリティ PCI準拠
入金サイクル みずほ銀行と三井住友銀行は翌営業日、その他は毎週金曜

STORES(ストアーズ)

STORESは、2012年に設立されたコイニー株式会社が運営している決済サービスです。お店で導入するには、専用アプリをスマホやタブレットにダウンロードし、専用の決済端末とBluetooth接続することで決済します。決済端末もシンプルで使いやすく設計されています。支払い方法は、決済端末を使った「ターミナル」と、専用アプリでQRコードを読み込んで支払う「スキャン」、そして、決済用のウェブページ「ペイジ」の3種類があります。
初期費用 無料
月額 無料
決済手数料 3.24%~
導入に必要な設備 スマホかタブレット、決済端末、アプリ
セキュリティ PCI準拠
入金サイクル 全金融機関で最短翌々営業日

AirPay(エアペイ)

エアペイはリクルートライフスタイル社が提供している決済サービスです。必要な機材はiPadまたはiPhone、そしてカードリーダーになります。またPOSレジアプリの「Airレジ(エアレジ)」と連携させて使用します。利用可能なクレジットカードはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、UnionPay(銀聯)の7種類で、SuicaやPASMOといった交通系電子マネーにも対応しています。そのほか、iDやQUICPayといった電子マネーやApple Payも利用可能で、スマホ決済についてはオプションサービスになりますが、支付宝(アリペイ)、WeChat Pay、LINE Pay、d払い、PayPay、au PAYなどに対応しています。

振込手数料はすべての銀行で無料。入金サイクルは最大月6回となっています。Tポイント、dポイント、Ponta、WAON POINTなど、共通ポイントサービスに対応するAirペイポイントというサービスもあります。決済手数料は、3.24%もしくは3.74%で事業者によって異なります。導入する際のコストはキャンペーン中ならカードリーダーは無料で、月額の固定費はかかりません。
初期費用 20,167円
月額 無料
決済手数料 2.95%〜3.74%
導入に必要な設備 スマホかタブレット、カードリーダー
セキュリティ PCI準拠
入金サイクル みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行は月6回、その他の金融機関は月3回

楽天ペイ

楽天ペイは楽天が運営するモバイル決済サービスです。専用のカードリーダーと楽天ペイアプリを用意すれば利用が可能となります。利用可能なクレジットカードは主要カードのVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discoverのほか、楽天カードやau PAY カードです。SuicaやPASMOなど交通系電子マネーにも対応しているほか、iDやQUICPay、nanaco、Apple Payといった電子マネーも利用可能です。QRコード決済は楽天ペイとau PAYに対応しています。

入金サイクルは楽天銀行のユーザーであれば最短で翌日入金で手数料もかかりません。振込手数料は楽天銀行なら無料で、その他の銀行の場合には210円がかかります。導入する際のコストはキャンペーン中ならカードリーダーは無料で、月額の固定費もかかりません。決済手数料は、3.24%〜3.74%となっています。
初期費用 無料
月額 無料
決済手数料 3.24%〜3.74%
導入に必要な設備 スマホもしくはタブレット
セキュリティ SMS認証、本人認証、端末認証ほか
入金サイクル 楽天銀行は翌日(土日・祝日も入金)、その他の金融機関は翌営業日

QRコードによるスマホ決済サービス4つを比較

続いてはQR決済メイン型のスマホ決済サービスを導入する場合の費用や入金サイクル、必要機材などを見ていきましょう。なお、QR決済はユーザー設定でアプリとクレジットカードを紐づけて支払うことができます。そのため店舗側ではクレジットカード用の端末を用意しなくても、間接的にカード決済に対応していることになります。

PayPay

PayPayはソフトバンクとヤフーが2018年10月に共同でスタートさせたスマホ決済サービスです。特別な機器は不要で店頭にQRコードを設置するだけで、利用が可能となります。お客さんが店舗のQRコードの読み取り、金額の入力を行ってくれるため、店舗側では金額などを最終確認すれば決済完了後にメールが届く仕組みです。店舗用の確認画面がweb上にあり、そこにアクセスして使用しますが、専用のアプリはありません。初期導入費のほか銀行の手数料も無料。また2021年9月末までは決済手数料も無料です。

入金サイクルは最短で翌日となっています。バーコードを使った決済も可能ですが、その場合には手数料がかかります。また、PayPayに加え、アリペイも決済可能なため訪日外国人がよく訪れる店舗の場合には便利です。

LINE Pay

LINE PayもPayPay同様にプリントQRという名称の特別な機器を設置することなく、店頭にQRコードを置くだけで利用が可能となる決済サービスを提供しています。決済手数料は2021年7月31日まで無料で、それ以降は2.45%となっています。初期導入費のほか月額費用もかかりません。プリントQR以外にも、クーポンが発行できるLINE Pay店舗用アプリ、オンラインショップで利用できるオンライン決済のほか、LINE Payのコード決済やWeChat Pay、アリペイにも対応し、レシートも出力できるStarPayという決済サービスも提供しています。

入金サイクルは月末締の翌月第3営業日となっていますが、入金申請という機能を利用すれば確定済みの売上金を翌銀行営業日に受け取ることが可能です(1回250円の手数料がかかる)。

メルペイ・d払い

メルペイは2019年2月にスタートしたスマホ決済でフリマアプリの「メルカリ」の売上金が使える点が特徴です。2020年9月にはドコモのd払いとQRコードを共通化することを発表し、ひとつのQRコードを設置すれば、メルペイとd払いの両方の決済を利用できるようになりました。メルペイを導入する際にはカメラ付きのスマホかタブレットが必要です。決済手数料は2021年6月末まで(d払いは2021年3月31日まで)無料となっています。入金サイクルは月1回(月末締め、翌月10日入金)と月2回(15日締め・当月25日入金、月末締め、翌月10日入金)のどちらかを選ぶことができます。ゆうちょ銀行を振込先に選んだ場合にはさらに2営業日後となっています。振込手数料は1万円以上のおまとめ入金なら無料で、1万円未満は200円です。

au Pay

au PayはKDDIが提供するスマホ決済サービスで、2300万以上のユーザーがいます。特別な機器は不要で店頭にQRコードを置くだけで利用が可能となりますが、お客さんがスマホに表示したQRコードを読み込んで決済する場合には、専用のスマホアプリ「au PAY for BIZアプリ」のダウンロードが必要です。アプリはauの端末でなくても利用が可能で、専用の端末をレンタルすることもできます。

初期導入費のほか銀行の手数料も無料。決済手数料は2021年7月末までは無料で以降は有料化する可能性があります。入金サイクルは月1回、月2回のほか最短で2営業日で入金される早期振込サービスもあります。早期振込サービスを利用する場合には別途事務手数料がかかります。外国人観光客に対応したいオーナーのために、アリペイとWeChat Payの利用も可能になるオプションもあります。こちらの場合は決済手数料が3.25%かかります。

統一QRコード「JPQR」とは

QRコードを使って支払いをするQRコード決済に参入する企業が増えていますが、結果として、事業者が乱立する状態になっています。使用するQRコードは各社が独自の仕様を採用しており、統一していません。同じQRコードでも事業者が違えば、決済に使用できないため、不便という声がありました。そこで、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が、統一規格のガイドラインを策定し、この規格に沿って作られたのがJPQRです。

スマホ決済サービスを導入する手順

スマホ決済は、現金のやり取りがなく、コロナ禍には感染のリスクを低減すると言われています。また売上の計算がしやすいというメリットがあり、店舗への導入を検討するオーナーも増えています。そんなスマホ決済サービスを導入する際の手順を解説します。

カード決済端末によるスマホ決済の場合

カード決済端末でのスマホ決済を導入する場合、サービス事業者を選んだら、申し込みを行います。その後、加盟店になるための審査があります。この審査に通過すると、サービスに利用する端末が送られてきます。届いたら、セットアップを行い、完了すると利用ができるようになります。

QRコードによるスマホ決済の場合

導入する事業者を選んだら、インターネット経由で加盟店申込を行います。あわせて必要書類を提出すると、審査があります。審査を通過すると、スターターキットが店舗に送られてくるので、初期設定と決済テストを行えば、利用開始できるようになります。

希望に合ったスマホ決済サービスを導入しよう

カード決済対応型に加え、QR決済メイン型を導入するときの各種条件をご紹介しました。カード決済対応型のほうが一見すると、クレジットカード、電子マネー、ポイントカードなど対応するサービス事業者の数が多いように思いますが、QR決済メイン型でもユーザー側でクレジット決済を選択している場合もあります。またQR決済メイン型の事業者は、導入を促すために無料のキャンペーンを実施しています。そのため、カード決済対応型よりもキャンペーン終了後までは少ない負担で利用することができます。どちらにもメリットやデメリットがあるため、自分のお店の客層や状況を考慮した上で決済サービスを選ぶと良いでしょう。

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