仕事を自動化させる際に考えるべきこととは?自動化の具体例も紹介

毎月・毎週のようにやってくる事務作業やルーティーンワークをどうにか自動化させたい。そんな風に思ったことはないでしょうか? ITツールの発達によって、さまざまな自動化ツールが登場しています。実現するとき考慮すべきポイントや事例を紹介します。

人員と対して、仕事量が膨大で長時間労働を強いられている職場・現場もあるでしょう。あるいは上司が帰社するまで帰れず、漫然と職場に残らざる終えない会社もあるかもしれません。日本には長時間労働を良しとする文化があり、労働生産性が低い国として知られています。ただ近年は働き方改革が叫ばれ、脱残業をはじめ、効率的な働き方を模索する企業が増えています。また日本では労働者人口が減少しており、今後は、ますます人材が不足すると考えられています。そこで膨大なルーティーンワークをソフトウェアで自動化することで、限られた人材で快適に働きたいと思う人もいるでしょう。そこでどのようにすれば、業務の一部をソフトウェアを使って、自動化させることができるのか? ポイントや自動化の例をご紹介します。

仕事を自動化させるために考えるべきこと

仕事を自動化させたいと思ったとき、まず何を考えれば良いのでしょうか? さまざまな自動化ツールやサービスが登場しており、けっして不可能なことではありません。自動化を実現するために考慮すべきポイントを解説します。

自動化することでほかにやるべき業務があるか

もし、自動化ツールが導入されれば、日々のルーティーンワークから解放されます。ただ、そのとき、本来、その業務に携わっていた人たちは代わりにどんな仕事を担当するのでしょうか? 次にするべき仕事が決まっていなければ、自動化させたところで企業の生産性を上げることはできません。自動化で手の空いた人員にどんな業務に担当されるのか? 計画的に導入する必要があります。

ロボットに自動化させるのに適した業務か

ロボットには毎日、毎週、毎月必ず処理が発生するような繰り返し行う業務が適しています。また、作業フローが固定されているものや厳格なルールに基づいて行われている業務は自動化に向いています。一方でロボットは人間の指示に従って動作し、意思決定の機能がありません。そのため工程が複雑なものや、判断や分析が必要な業務には適していません。自動化させたい業務がロボットに任せられるものなのか、事前に検討する必要があります。

自動化させることでコストパフォーマンスがよくなるか

自動化すれば、担当者の負担が軽減されますが、自動化にかかるコストが人件費よりも大きければ、ツールを取り入れる意味がありません。自動化ツールにどれくらい費用がかかるのか? どれくらいの規模で導入するのか? それによってどれくらいの人件費が削減できるのか? コストを考えながら、自動化ツールを取り入れるのか、判断することが大切です。

自動化にプログラミング能力が必要かどうか

メニューに従ってロボットに動作を覚えさせる自動化ツールのRPAなら、感覚的なUIのためプログラミングのスキルは不要だと言われています。ただ、それでもシナリオを書き換える場合や、不具合が発生したときにはある程度のITリテラシーは必要です。またマクロやVBAといった自動化ツールの場合には、高度なプログラミングスキルが必要になります。自動化後に運用を任せられるプログラミングスキルを持ったスタッフがいるのか? 新たに担当者を雇う必要があるのか? プログラミング能力の有無も自動化ツールを選ぶ基準となります。

自動化によって従業員をクビにすることは望ましくない

自動化ツールはそれまで人が担当していた作業をロボットが代わりに処理します。そのため、以前まで事務処理を担当していた人は他の業務に配置換えする必要があります。もし自動化を機にクビにすれば、社員からの反発も予想されます。自動化は従業員をリストラするための口実に過ぎないと、誤解されてしまったら、スムーズな導入が難しくなるでしょう。

仕事を自動化させる際の注意点とは?

自動化ツールを導入すれば、人と時間を使って処理していたルーティンワークを素早く、正確に実行することができるようになります。適切に導入できれば、大きなメリットがありますが、いくつか注意点もあります。どんな点に注意して導入すべきか、ポイントを整理します。

セキュリティを保持できるか

もしも外部のネットワークとつながっているサーバで自動化ツールを実行するのなら、ログインに必要な情報が漏れないよう、厳格に運用すべきです。不正アクセスのリスクが発生し、情報が漏洩する可能性が高まります。とくに経理に関するデータなど、機密情報を取り扱う場合には、高度なセキュリティを構築してから、自動化を推進する必要があります。

従業員が自動化ツールを取り扱えるか

自動化ツールのなかには、高度なプログラミングの知識やスキルが求められるものもあります。RPAツールなら、プログラミングの知識がなくても、操作画面にしたがって、シナリオを作成できれば、自動処理を実行させることができますが、それでも設定が上手くいかないときや、カスタマイズしたいときには、ある程度のITリテラシーが求められます。自動化ツールを導入しても、その後の運用で適切に取り扱いができる従業員がいることが求められます。できれば、ごく限られた人数しか自動化ツールを扱えないという事態を避け、複数の担当者を用意しておくべきです。担当者が辞めた場合、自動化について誰もタッチできないといった、重要な業務がブラックボックス化してしまうリスクがあります。

サポート体制がしっかりしているか

自動化ツールを選ぶなら、サポート体制がしっかりしているかどうかで選ぶのもひとつの方策です。もしトラブルが発生したときに自社で解決できれば良いのですが、万が一の時にサポート体制が整っている自動化システムが導入できれば、スムーズな業務運営を阻害することなく仕事を進められます。自動化する業務の重要度が高ければ高いほど、トラブルで処理が一時ストップしたときの影響は大きくなります。すぐに復旧できるよう、プロのサポートが受けられるサービスを導入したほうが良いでしょう。

自動化システムを無料で試せるか

できるなら、自動化ツールを本格的に導入する前に、トライアル期間として無料で一部機能が試せるサービスを選択すると良いでしょう。本当に会社の業務を自動化できるのか? どの程度、自動化できるのか? スピードは? など、あらかじめシミュレーションができると、予算の無駄にもなりません。

仕事を自動化する具体例を紹介

自動化に関心が人は、具体的にどんな業務が自動化されているのか、知っておきたいところでしょう。ツールを導入するときの参考になります。そこで実際に自動化が行われている事例をいくつかご紹介します。

営業の仕事における自動化の例

アポイントを取って、お客さんに会い、直接、商談を行う。定期的に得意先を訪問することで信頼関係を作っていく。確かに営業には営業マンの存在が欠かせません。ただ、営業活動には繰り返しの業務が多く、40%は自動化できるという調査報告もあります。営業のどこに自動化が採用されているのでしょうか?

在庫管理や受注・発注業務

たとえば、在庫の保管している棚に重量センサーを取り付けることで、商品が減り、在庫棚の重量が指定した数値を下回ると、メールなどでアナウンスするといった自動化サービスも登場しています。また、注文書やメールから受注情報を取得して、情報をシステムに入力したりメールで送信するような自動化も可能です。発注書の作成やメールによる見積もり依頼からデータを取得して見積書を作成し、それらをメールで送信する自動化も実現できるでしょう。

販売状況の調査や日報の作成

営業を担当していて時間が取られる作業のひとつに日報の作成が挙げられます。あるいは現場の担当者から日報が届き、それらをすべてチェックする業務に携わっている人もいるかもしれません。たとえば日報がFAXで届くような職場なら自動でデータ化し、ロボットがシステムに入力する仕組みを構築することも可能です。またアプリを起動されて1日行動すると、自動記録した情報から行動を推測して日報を作成する仕組みもあります。そのほか、販売情報提供サイトから自社製品や競合製品の販売状況を決められた周期で収集し、販売動向を管理するシステムへ登録したり報告書を作成するなど、販売状況の調査にも自動化は応用できます。

マーケティングの仕事における自動化の例

マーケティングオートメーション(Marketing Automation)という言葉があるほど、マーケティングの分野でも自動化が徐々に浸透しつつあります。

データの抽出や解析

ウェブサイトから自社の関連製品について書かれた記事を抽出して、資料としてシステムに登録したり、口コミやレビューなど、さまざまなデータを大量に収集する自動化サービスがあります。他にもユーザーにメールを自動送信し、メールの開封やリンクのクリックなど反応を集計し、行動を解析することも可能です。結果までシステムに記載させておけば、マーケティング担当者の業務負担もかなり軽減されます。

AI処理に必要なデータをまとめる

AIを使えば、消費者の行動や嗜好を解析・分析する高度なデジタルマーケティングが可能となりますが、そのためには膨大なデータを収集する必要があります。こうしたデータ収集は自動化が可能で、実際にAIを活用する際の7割の仕事は自動化ツールであるRPAを活用できると言われています。データ収集、データクレンジングといった業務で自動化ツールが活用されています。

経理の仕事における自動化の例

データの入力や確認作業が業務の大半を占める経理の仕事でも、さまざまな自動化が可能です。とくにアメリカでは経理部門に自動化ツールのRPAを活用している企業が多いと言います。経理のどのような業務で自動化が可能なのでしょうか?

売上や支払いの管理

たとえば代金の入金情報をもとに回収リストを作成すれば、消し込みの処理まで自動化が可能です。会計システムと連動させ、入金を行ったり、消込仕訳入力などの自動処理も想定できるでしょう。そのほか、請求書やレシート、領収書をOCRで取り込む作業を自動化したり、頻繁に発生する旅費交通費の仕分入力を自動化することも可能です。

資産管理も自動化できる

仕分入力の自動化と同様に、資産台帳をもとにした会計システムへの取得・除去や支払、減価償却仕訳入力も自動処理ができます。さらに税務署へ提出する償却資産税申告書データの作成なども自動化することができるでしょう。

総務の仕事における自動化の例

営業や経理と比較すると、総務の仕事は自動化しにくいと考えられていました。しかし、近年は総務の業務でも自動処理を採用する企業が徐々に増えつつあります。

労働者の管理

たとえば労働者名簿に必要な基本的な情報や、給与計算のための情報、あるいは勤怠管理など、労働者情報の管理は個人情報のため、自動化への抵抗感もあり、人の手によって行われてきました。ただ、自動化ツールを使えば、情報を一元管理し、ロボットに大半の入力を任せることが可能です。そのほか、過重労働になった従業員とその上司にメールで勤務状況を報告したり、人事考課表の作成やメール配信も自動化が可能です。求人への応募者を採用管理システムに入力したり、面接前日に面接担当者にリマインドメールを送ったり、当たり前に行っている処理も自動化の対象になります。

賃金の管理

賃金の管理も人手や時間がかかる処理のひとつです。こうした給与明細の作成も自動化できます。もし給与の変更が生じても、あらかじめ設定しておけば、給与台帳を更新することもできます。また、日々の労働時間を集計することで、残業などによって過重労働になりそうな従業員がいれば、抽出して、注意喚起のメールを送信することもできます。

仕事を自動化して効率的な事業運営を目指そう

営業やマーケティング、経理、そして総務など、あらゆる部署でデータでの情報管理が主流になっています。こうしたパソコンで完結する業務は自動化に適しています。また、その多くが定期的に処理すべき情報でRPAなど、ルーティーンワークの自動化に適したツールも登場しており、効率的な事業運営を目指すなら、検討の余地があります。適切に仕事を自動化すれば、業務の負担も減り、働きやすい環境の構築にもつながるはずです。

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