注目を集める、米遠隔医療スタートアップ「Ro(ロー)」〜海外ユニコーンウォッチ #8〜
2022/4/21
「ユニコーン企業」――企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてはFacebookやTwitterも、そう称されていた。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は医療業界のプラットフォームを目指す「Ro(ロー)」を紹介する。
米・遠隔医療の新ユニコーン「Ro」とは
直近の資金調達としては、2020年7月にシリーズCとして2億ドル、2021年3月にシリーズDとして5億ドルを調達している。2022年2月には、さらに1億1,500万ドルを調達し、スキンケア向けのデジタルクリニック「Ro Derm」の起ち上げを発表した。
2月の資金調達の際に、Roの共同創業者でCEOのザッカリア・レイタノ氏が綴ったところによると、Roが事業を開始してから支援してきた患者は150万人を超え、創業から5年足らずのうちに、全米で遠隔医療や在宅ケア、薬局などのサービスを統合した唯一の企業になったとのことだ。
デジタルサービスで、米医療制度の課題を解決する
こうした現状に対して、Roは遠隔医療などのデジタルサービスで利便性を向上させ、診療から投薬、継続的なケアまでをパーソナライズしたサービスとして消費者へ提供する。そして、それらを無保険でも利用可能にすることで、高品質かつ手頃な価格のヘルスケアサービスの実現を目指している。Roの創業者3名は、創業の理由を「高品質で手頃な価格の医療を受けられないことで、人生を止めて欲しくなかったからだ」としている。患者の幅広い医療ニーズに応えるため、デジタルクリニックの運営だけでなくオンライン薬局なども手がけることで、必要な医療サービスを一手に担おうとしているのだ。
相次ぐ企業買収と、今後の狙い
Roによる買収後も、WorkpathやKitはサービスを他企業にも提供し続けている。2022年2月の資金調達の際、Roは「Workpathの買収後、他のヘルスケア企業に15万件以上の在宅ケアの予約を促進した」と発表した。さらに、同じ発表文で「今年、Roは2021年に経験したWorkpathとKitの勢いに乗り、あらゆる類のヘルスケア企業が、Roの患者中心のプロダクトやサービスを利用できるよう、BtoB事業を拡大し続ける」と述べられている。このように、Roは患者向けのサービスだけでなく、ヘルスケア企業向けにもサービスを展開することで、医療業界全体のプラットフォーム企業となることを目指しているのだ。