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規制緩和で医療の現場はどう変わる? 法人・個人向けの医療のデジタルシフトを考える

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府は4月10日、これまで認められていなかった医療機関における初診も含めたオンライン診療を可能とした。初診時でのオンライン診療は感染収束までの特別措置ではあるが、デジタルシフトが遅れている産業の1つである医療業界のデジタルシフトに、大きな一石を投じることは確かであろう。

そんな医療業界において、ICT化にいち早く取り組んできたのがメドピアグループ。グループ内の子会社である、株式会社Mediplatは、法人向けのクラウド型産業保健支援サービスのほか、個人向けに医師によるチャット型医療相談サービスを展開し、5月中旬にはオンライン診療サービスも提供するという。

規制の多い医療業界の中でどのようにしてサービスを立ち上げ、今後どのようなサービスを展開しようとしているのか、メドピア株式会社取締役COO兼株式会社Mediplatの代表取締役CEOである林光洋氏にお話を伺った。

ICTの活用で企業の産業保健のデジタルシフトを加速

―はじめに御社の事業内容を教えてください。

メドピア株式会社では、「MedPeer」という医師専用コミュニティサイトを運営しており、国内の医師の3人に1人にあたる約12万人の医師にご登録いただいております。このMedPeerをベースに、グループ全体でB to BからB to Cまでさまざまなサービスを展開しています。

子会社のMediplatが提供しているのが、「first call」という法人向けの産業保健支援サービスです。現在、労働安全衛生法により、従業員50人以上の事業所には産業医の選任が義務付けられていますが、私たちが行っているのは産業医のアサイン支援も含めた人事・労務担当者の産業保健業務のサポートです。
産業医面談、医療相談、ストレスチェックといった業務を全てオンラインで完結できるプラットフォームの提供を行い、システム利用料をお客さまから月額でいただくSaaSモデルです。2020年4月末時点の契約件数は572件、その数は毎月20~50社ずつ増えています。

当初は大企業に福利厚生の一環として導入いただくことが多かったのですが、2019年4月以降は、働き方改革の推進によりその重要性が見直され、中小規模の企業様からもサービスのお申込みを多く頂いています。

残業の多い社員等の産業医面談を実施する際、通常は人事担当者が社員、産業医双方の日程調整を行います。社員数が多い場合、この日程調整のために選任スタッフを配置している企業様もあります。

first callを使えば、企業の人事担当者は対象者に日程調整用のURLをメールで送るだけでOKです。カレンダー上で産業医が面談可能な時間帯が表示され、対象者はその中から自らWeb上で面談の予約を取ることができます。後はご本人が予約時間にfirst callのサイトにアクセスしていただければ、簡単にテレビ電話で産業医面談が行えます。産業医面談の記録はオンライン上で一元管理されるため、紙ベースで管理する手間が省ける点も、人事担当者にとって便利なポイントだと思います。

また、このサービスは企業だけでなく医師の業務効率化にも寄与しています。これまで医師は日々の忙しい業務の合間を縫って、定期的に企業を訪問していました。それがICT化によってリモートでの対応が可能になり、双方の移動時間の大幅な削減だけでなく、その時間を使って、より多くの対象者への面談フォローが可能となりました。

さらに、「first call」は一般の方向けにもオンライン医療相談サービスを展開しております。特に最近では、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年3月に経済産業省が設置する「健康相談窓口」に選定されるなど、多くの生活者の健康不安に寄り添ってまいりました。
4月以降もユーザー数が増えてきており、生活者自身の健康への意識の高まりを感じています。

BtoBの産業医に特化したサービス「first call」が生まれるまで

―サービス立ち上げまでの背景を教えてください。

実は、はじめは現在主軸の産業保健支援に先行して、B to Cの遠隔診療サービスの開発からスタートしました。

厚労省の医政局や医薬局と相談しながらサービスの立ち上げを行ったのですが、当時はオンライン診療に関するガイドラインも存在せず、まだまだ、遠隔診療がスタンダードになるには時間がかかる状況でした。そこで、それまでに構築した遠隔診療サービスを転用できるサービスモデルとして、ピボットしたのが「オンライン医療相談」サービスでした。

初めは個人向けに、チャット形式で、医師に健康相談ができるサービスとしてスタートしました。しかし、生活者に直接サービスを訴求することは容易ではなく、モニター利用を中心に展開し、ユーザーへの利用を啓蒙しておりました。

個人向けの事業だけでは、事業成長が緩やかだったため、B to Bサービスへと視点を変え、働き方改革などで重要視されるようになった産業保健業務にフォーカスしていくこととしました。企業が産業医を探す場合、地域の医師会や近隣の医療機関に相談して紹介してもらうという方法が主流です。私たちはそこに着目し、従来から展開していたチャット型医療相談サービスに加え、グループが運営する医師会員プラットフォーム「MedPeer」を使って産業医のアサインを支援し、あわせて産業医面談をオンラインで管理・実施できるサービスをスタートしました。その後、無料でご利用いただけるストレスチェック機能も付加し、従業員の方が、すべてアプリでご利用いただけるようにしてから、企業様の数が拡大基調に転じました。

選択肢のある、開かれた医療を目指して

―5月中旬から新しいサービスをリリースされるとのことで、その概要を教えてください。

これまで運営してきたfirst callのシステムを活用し「first call for オンライン診療」というクリニック向けのサービスをリリース予定です。オンライン診療を始める第一歩を支援するとともに、患者さまと医師とのオンラインのコミュニケーションをサポートします。

私たちはサービスを通して、患者さん、医師双方の負担を減らしたいと思っています。例えば花粉症など何かしらの慢性疾患を患ったとき、薬をもらうため定期的に病院に行く必要があります。患者さんからすれば、仕事で忙しく時間のない中、薬をもらうために病院に行かなければいけないのは負担です。

もちろん、すべてがオンライン診療で対応できるわけではなく、重篤な疾患はもちろんのこと、医師の判断によって遠隔ではなく対面での診療を行うべき診療も多いと思います。しかしながら、オンライン診療が選択肢の一つになることで、患者さんにとっても医師にとっても様々な負担が軽減され、新しい医療の形が創れればと思っています。

オンライン診療にも診療報酬が加算されるようになったことは、医療業界の規制緩和が進む一つの契機になるとは思いますが、オンライン診療が医療の中心になることはないでしょうし、アフターコロナでは、病院に行って先生に診てもらえるという価値はこれまでよりも増すのではと感じています。

一方で、オンライン診療でも「十分対応可能」と認識される領域は一定明白になると思います。

産業保健業務のデジタルシフトの推進役として

―今後の展望を教えてください。

まずは、今取り組んでいる産業保健業務のICT化をさらに進めていきます。

たとえば、人材領域で考えると、クラウド型の労務管理業務サービス等の普及により、煩雑だった労務管理業務がリーズナブルになりました。これと同じように、政府がつくる枠組みの中で、産業保健業務のデジタルシフトを進めていきたいです。

具体的には、これまで紙ベースでやり取りしていた健康診断の結果やお知らせ等を全てオンラインで一元管理できるプラットフォームに発展させたいと考えています。人事担当者が、負担を感じることなく全従業員の健康管理を一元管理でできるサービスを目指したいです。

オンライン診療だけではなく、基本的に医療業界はICT化が遅れている産業の一つだと思います。メドピアグループ全体では、医療の様々な領域におけるデジタルシフトを推進していきたいと考えています。

医師がより診療に注力でき、患者さんの治療にかかる負担を少しでも軽減できるよう、様々な分野でもっとハードル低くICTを活用できるよう、グループの様々な資産と知見を活用していければと考えています。

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