SKAdNetwork4.0の活用方法とは?「業界のリーダーが語る、アプリマーケティングの歴史と最新情報」イベントレポート
2024/6/5
近年、消費者行動のデジタル化にあわせて、ECサイトや自社アプリの開発を始める企業が増えています。しかし、さまざまなチャネルに参入し、顧客との接点を増やす一方、ECサイト・アプリ・店舗などのチャネルを横断したユーザー情報の共有や分析ができていない企業も多いのではないでしょうか。また、世界的なプライバシー保護の潮流もあり、デジタルマーケティングにおけるデータの取り扱いは厳格化が進んでいます。この流れはデジタル広告だけでなく、アプリマーケティング活動や、その計測環境にも大きな影響を与えています。
このような状況のなか登場したのが、Appleが提供する、プライバシーに配慮した計測ソリューションである「SKAdNetwork(以下、SKAN)」です。SKANを活用することで、アプリにおいてユーザーのプライバシーに配慮したデータの計測が可能となります。
SKANも含めたアプリマーケティングの最新情報や事例を提供するため、株式会社オプトは、2024年4月25日、オフラインイベント「業界のリーダーが語る、アプリマーケティングの歴史と最新情報~SKAdNetwork4.0と最前線の評価方法とは?~」を開催しました。今回は、本イベントのなかから、セッション「SKAdNetwork4.0とは?KPIの設計とその評価方法」をレポートします。本セッションでは、株式会社オプト アドセントラル室 アプリスペシャリストの名取 虎之介氏が登壇し、SKANの有用性や具体的な活用方法などを解説しました。
Contents
SKANが必要な理由
ここで登場したのがSKANです。これを踏まえて名取氏は、「現時点で、私が考えるベストプラクティス」を伝えます。Andoroidは基本的に従来通りで、Webに関してはAndoroidリファラーを用い、アプリに関してはIDマッチングを用います。iOSでは、Non-SRN媒体(※)についてはフィンガープリントが有効だと言います。一方、GoogleなどのSRN媒体にはフィンガープリントが活用できないためSKANが有効です。名取氏は、「このようにデータソースを分けて考えることで、iOSでのGoogle広告の機会損失を防ぐことが今のマーケターには求められている」と語りました。
※Non-SRN媒体:モバイル計測パートナーの計測リンクを使用してイベントを計測するアドネットワーク。
SKANを使った計測方法と、SKANの課題
名取氏は、SKANの課題についても言及し、三つの問題点を挙げます。一つ目は、「24時間以降のデータは正しくない」ということです。初回起動の際に24時間のタイマーは必ず動くため、この期間の計測は正しいと考えられます。しかし、24時間以降は、アプリ内イベントが発生しなければタイマーは止まり、データが欠損している場合が考えられるため、正しいデータを取得できているとは限りません。対応策としては、確実に取得できている初回起動から24時間以内のデータを基に運用することが考えられます。
三つ目の問題は、「Web計測が未対応」という点です。例えば、Google関連の広告では、Searchの計測は未対応です。ディスプレイ面とYouTube面は計測可能ですから、Search面の計測を異なるデータソースで保管する処理が必要になります。基本的には、MMPや媒体CVがデータソースとして考えられますが、MMP(※)はSRN媒体でフィンガープリントが活用できないので、媒体CVを活用し、想定CVを算出した上で、DisplayとYouTubeとの合算をGoogle広告の評価とするという手法を名取氏は提案しました。
※MMP:Mobile Measurement Patnerの略称。広告キャンペーンの成果やモバイルアプリのパフォーマンス、そしてユーザーエンゲージメントを計測・分析し、その内容をレポートなどを通して提供するサービス。
SKAN活用の最適解
名取 虎之介
株式会社オプト
アドセントラル室 アプリスペシャリスト
マーケティング系ベンチャー企業にて新規プロダクトのグロースを経験後、 2021年にオプトに入社。 入社後は業種問わず幅広いアプリ顧客を担当。 主にデジタル領域におけるマーケティング支援に携わる。 チャネル横断でのKPI設計や売上予測を基にしたデータドリブンなプロモーションを得意とし、プランニングから広告運用、分析まで一貫した支援を行っている。 2023年にアプリ顧客を主担当とするチームを新たに組成し、アプリマーケティング支援に注力。