緊急事態宣言後のテレワークの実態調査 実施率は全国平均で27.9%。1か月前に比べて2倍以上に
2020/4/17
株式会社パーソル総合研究所は、緊急事態宣言(7都府県)後のテレワークの実態について、2020年4月10~12日に全国2.5万人規模の調査を実施し、結果を発表した。新型コロナとテレワークに関する大規模調査は3月9~15日にも実施しており、今回が2回目。
■調査結果詳細
① 緊急事態宣言後、正社員のテレワーク実施率は、全国平均で27.9%。3月半ばの時点では13.2%であり、1か月で2倍以上となっている。国勢調査に基づく簡易推計では、1か月間でテレワークを行っている人は約400万人増加し、約760万人がテレワークを実施していることになる。
➂ テレワークを行っている人のうち、現在の会社で初めて実施した人は68.7%。3月半ばは47.8%だったため、「テレワーク初心者」は大幅に増えている。
一日中のテレワークと業務自体が無くなったケースを全体から差し引けば「出社率」となる。緊急事態宣言後の初日に当たる4月8日の7都府県における正社員の出社率は61.8%と、前日の7日から6.2ポイントしか減っていないことが明らかとなった。その後、出社率は徐々に下がっていくが、4月10日で58.5%。いま政府が要請している7割減との差は大きい状況だった。
① テレワークを行っている人の「不安」をランキング化すると、1位「相手の気持ちが分かりにくい」で37.4%、2位「仕事をさぼっていると思われないか」で28.4%、3位「出社する同僚の業務負担の増加」で26.4%。
④ 初めてテレワークを実施している人は、「仕事に集中できない」(従来からの経験者に比べて14.6ポイント差)、「仕事に適した机や椅子がない」(同13.5ポイント差)などの特徴がみられた。
⑤ テレワーク実施前後の「変化」について、上司とのやりとりが減った=45.2%、同僚とのやりとりが減った=50.0%、組織の一体感が低くなった=36.4%、仕事への意欲・やる気が減った=32.8%と、組織として課題が生じる結果となった。企業としてはテレワークの長期化に備えて、対策を検討すべきである。
① テレワークが命じられている人は13.7%、推奨されている人は27.0%と、命令・推奨の合計は40.7%となった。一方、会社から特に案内がない(通常通り出勤している)人も未だに53.0%いる(3月調査では命令3.2%、推奨18.9%、命令・推奨の合計22.1%。特に案内がない人は71.5%)。
② 時差出勤が命じられている人は8.3%、時差出勤が推奨されている人は30.6%と、命令・推奨の合計は38.9%となった。一方、会社から特に案内がない(通常通り出勤している)人も未だに52.3%いる(3月調査では命令4.4%、推奨25.0%、命令・推奨の合計29.4%。特に案内がない人は64.9%)。
正社員のテレワーク実施率が27.9%であるのに対して、非正規の実施率は17.0%と10.9ポイントの差。
(6)テレワーク継続意向
新型コロナが収束した後もテレワークを続けたい人は53.2%。20代と30代では6割を超えている。
テレワークができない理由について、4月調査では以下のとおりとなった。3月調査では「テレワーク制度が整備されていない」が41.1%で1位、「テレワークで行える業務ではない」が39.5%で2位だったため、順位が入れ替わったことになる。社内制度の整備が少し進んだり、全体としてテレワークがさらに行われたりする中、業務特性上できない人が目立ってきている。
企業規模別のテレワーク実施率について、従業員数が多い企業ほど、テレワーク実施率が高まることが改めて確認できた。新型コロナへの対応として、中小企業が抱える大きな課題といえる。