スマートフォンの世界出荷台数、急速に減少 2014年以来初めて四半期当たりの台数が3億台を下回る
2020/5/13
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、スマートフォングローバル市場は過去にないスピードで縮小し、2020年第1四半期は前年同期比13%減となったという調査結果を含むMarket Monitor Serviceによる最新調査を発表した。
第1四半期の落ち込みは、ウイルス流行の最初の中心であった中国において、前年同期比27%も出荷が減ったことが主要な要因だった。しかし、販売チャネルを物理店舗からインターネットに代えたことで落ち込んだ売上の一部をカバーすることはできたが、スマートフォングローバル市場における中国のシェアは、2020年第1四半期には22%となり、1年前の26%から減少した。中国の機能が麻痺したことにより、端末や部品といったサプライヤー側に影響が及び、その結果、世界出荷台数への影響に影を落とした。長期的に見れば、この現象は、端末メーカーがサプライチェーンを各地域に分散させる動きに繋がると言え、インドやベトナムにとって、まさに一筋の希望の光ともなり得る可能性が出てきたとも言える。
第1四半期の末には、COVID-19が他地域にも拡散し始め、程度の差こそあれロックダウンが実施されたことにより、サプライヤー側で起こった機能麻痺は、今度は需要側へと移りつつある。
スマートフォン需要とCOVID 19のインパクトについて、カウンターポイント社のアソシエイトディレクターTarun Pathak氏は以下のようにコメントしている。
「消費者の立場からみたら、壊れて買い替えない限り、スマートフォンはよく吟味して買うような商品である。そして昨今のような不確実な時期には、消費者は高額商品を買い控える傾向にある。つまり、買い替えサイクルは延びる傾向にある。世界各地のロックダウンのタイミングにはズレがあるため、小売の活動が完全に元に戻るのにも時間がかかる。そして、ロックダウンが終わったとしても、消費者の購買行動パターンに変化が出る可能性がある。販売チャネルについてはインターネットの方が好まれるであろうし、一部の消費者が安価な端末を求める結果、端末価格の分布もシフトする可能性もある。そうなるとASP(平均売価)も下がることになり、端末メーカーは、多チャンネル販売戦略を採らざるを得なくなるだろう。小売業者はデジタルマーケティングで消費者にリーチしなくてはならなくなる。それによって、O2Oの採用や、地域を超えた商品配送が増えるだろう。また、家にこもる消費者はかつてないほどスマートフォンを使用しており、モバイルゲームやコンテンツサービスの企業にとってはチャンスである。同様に、キャリアにとっても、データ量の多い料金プランを売りARPUを伸ばすチャンスとなるだろう。」
COVID 19は5Gの普及ペースにも影響を与えており、この点において、カウンターポイント社のリサーチアナリストのVarun Mishra氏は以下のようにコメントしている。
「5Gの展開計画は、COVID-19の影響で、一部の国では中断に追い込まれた。スペインやインドでは周波数帯のオークションが延期になっている。しかし、Huaweiが音頭をとる中国では5Gの普及は期待通りに進んでいる。日常が戻るにつれ、Samsung、OPPO、Vivo、Xiaomi、realmeといった端末メーカーも参戦して300米ドルを切る端末を投入してくる。それを受け、5Gの売上はさらに伸びるだろう。SoC(システム・オン・チップ)メーカーも、より低価格な5G対応チップを提供して、この動きを助けるだろう。5Gスマートフォンのシェアは2020年第1四半期には8%と、2019年第4四半期の1%から伸びた。2020年の下半期には、5Gが回復のペースを早める役割を果たすだろう。」
スマートフォントップ10社のシェア合計は83%となり、一年前の2019年第1四半期の80%からさらに増えている。規模の小さいメーカーは路面店への依存が高く、ウイルス流行の影響を受けやすいため、集中と淘汰の流れは続く傾向にある。ウイルスの流行により、主要メーカーはほぼこの四半期に減収となっているが、例外として、Xiaomiは前年同期比7%増、realmeは前年同期比157%増の結果を残している。その理由の一つとして挙げられることは、両社にとって最大の市場であるインドの厳格なロックダウンが3月末に行ったことにあると言える。
図:スマートフォン出荷シェア 2019年第1四半期と2020年第1四半期の比較
■市場分析
・供給側:2020年第1四半期には、部品や組み立て工場の中でも、中国国内において感染が激しかった地域にあった企業は、直接的な影響があった(例: Lenovo)。第2四半期には状況は逆転するだろう。その理由は、中国の製造が復活することに対して、他地域の製造拠点は閉鎖されたままになることにある。
■販売チャネル分析
■価格帯の分析
・高級機の価格帯は、経済の急激な悪化の影響が最も少ない。消費者が新しい生活様式に慣れるにつれ、この価格帯の販売は元に戻るだろう。