Today's PICK UP

スマートフォンの世界出荷台数、急速に減少 2014年以来初めて四半期当たりの台数が3億台を下回る

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、スマートフォングローバル市場は過去にないスピードで縮小し、2020年第1四半期は前年同期比13%減となったという調査結果を含むMarket Monitor Serviceによる最新調査を発表した。
四半期当たりの台数が3億台を下回ったのは、2014年第4四半期以来初めてのことであり、2019年第4四半期から見え始めていた市場の復調の兆しは、COVID-19の流行により再び見えづらいものとなっている。

第1四半期の落ち込みは、ウイルス流行の最初の中心であった中国において、前年同期比27%も出荷が減ったことが主要な要因だった。しかし、販売チャネルを物理店舗からインターネットに代えたことで落ち込んだ売上の一部をカバーすることはできたが、スマートフォングローバル市場における中国のシェアは、2020年第1四半期には22%となり、1年前の26%から減少した。中国の機能が麻痺したことにより、端末や部品といったサプライヤー側に影響が及び、その結果、世界出荷台数への影響に影を落とした。長期的に見れば、この現象は、端末メーカーがサプライチェーンを各地域に分散させる動きに繋がると言え、インドやベトナムにとって、まさに一筋の希望の光ともなり得る可能性が出てきたとも言える。

第1四半期の末には、COVID-19が他地域にも拡散し始め、程度の差こそあれロックダウンが実施されたことにより、サプライヤー側で起こった機能麻痺は、今度は需要側へと移りつつある。

スマートフォン需要とCOVID 19のインパクトについて、カウンターポイント社のアソシエイトディレクターTarun Pathak氏は以下のようにコメントしている。
「消費者の立場からみたら、壊れて買い替えない限り、スマートフォンはよく吟味して買うような商品である。そして昨今のような不確実な時期には、消費者は高額商品を買い控える傾向にある。つまり、買い替えサイクルは延びる傾向にある。世界各地のロックダウンのタイミングにはズレがあるため、小売の活動が完全に元に戻るのにも時間がかかる。そして、ロックダウンが終わったとしても、消費者の購買行動パターンに変化が出る可能性がある。販売チャネルについてはインターネットの方が好まれるであろうし、一部の消費者が安価な端末を求める結果、端末価格の分布もシフトする可能性もある。そうなるとASP(平均売価)も下がることになり、端末メーカーは、多チャンネル販売戦略を採らざるを得なくなるだろう。小売業者はデジタルマーケティングで消費者にリーチしなくてはならなくなる。それによって、O2Oの採用や、地域を超えた商品配送が増えるだろう。また、家にこもる消費者はかつてないほどスマートフォンを使用しており、モバイルゲームやコンテンツサービスの企業にとってはチャンスである。同様に、キャリアにとっても、データ量の多い料金プランを売りARPUを伸ばすチャンスとなるだろう。」

COVID 19は5Gの普及ペースにも影響を与えており、この点において、カウンターポイント社のリサーチアナリストのVarun Mishra氏は以下のようにコメントしている。
「5Gの展開計画は、COVID-19の影響で、一部の国では中断に追い込まれた。スペインやインドでは周波数帯のオークションが延期になっている。しかし、Huaweiが音頭をとる中国では5Gの普及は期待通りに進んでいる。日常が戻るにつれ、Samsung、OPPO、Vivo、Xiaomi、realmeといった端末メーカーも参戦して300米ドルを切る端末を投入してくる。それを受け、5Gの売上はさらに伸びるだろう。SoC(システム・オン・チップ)メーカーも、より低価格な5G対応チップを提供して、この動きを助けるだろう。5Gスマートフォンのシェアは2020年第1四半期には8%と、2019年第4四半期の1%から伸びた。2020年の下半期には、5Gが回復のペースを早める役割を果たすだろう。」

スマートフォントップ10社のシェア合計は83%となり、一年前の2019年第1四半期の80%からさらに増えている。規模の小さいメーカーは路面店への依存が高く、ウイルス流行の影響を受けやすいため、集中と淘汰の流れは続く傾向にある。ウイルスの流行により、主要メーカーはほぼこの四半期に減収となっているが、例外として、Xiaomiは前年同期比7%増、realmeは前年同期比157%増の結果を残している。その理由の一つとして挙げられることは、両社にとって最大の市場であるインドの厳格なロックダウンが3月末に行ったことにあると言える。

図:スマートフォン出荷シェア 2019年第1四半期と2020年第1四半期の比較
出典元:プレスリリース
進行中のコロナウイルス流行のスマートフォン市場への影響は、第2四半期にはさらに深刻になる可能性がある。これらの要因の影響が大きく影響する企業とそうでない企業が出てくるため、各メーカーへの影響度はそれぞれが依存する地域、販売チャネル、主力の価格帯に依存すると言える。

■市場分析

・需要側:中国市場は、他の多くの主要市場がロックダウンにあるにも関わらず、復活しつつある。中国外の市場は、ウイルス流行の深刻さによって、元に戻るためにより多くの時間を要している。このため中国でのシェアが高いHuaweiのような企業は、主力市場がほとんどロックダウン下にあるSamsungのような企業と比較して有利である。

・供給側:2020年第1四半期には、部品や組み立て工場の中でも、中国国内において感染が激しかった地域にあった企業は、直接的な影響があった(例: Lenovo)。第2四半期には状況は逆転するだろう。その理由は、中国の製造が復活することに対して、他地域の製造拠点は閉鎖されたままになることにある。

■販売チャネル分析

・インターネットでの存在感の高いメーカーは、引き続き、路面店への依存度の高い企業より、影響を受けにくいだろう。需要の一部は路面店からインターネット販売へと流れている。

■価格帯の分析

・エントリーレベルの価格帯への影響が最も大きい。特に新興国においてその傾向がある。非正規雇用者の収入減や、路面店中心の購買行動がその理由である。中位価格帯が、今後も量的には中心になるだろう。

・高級機の価格帯は、経済の急激な悪化の影響が最も少ない。消費者が新しい生活様式に慣れるにつれ、この価格帯の販売は元に戻るだろう。

人気記事

中国EV市場を席巻する、三大新興メーカーを徹底分析。脅威の中国EVメーカー最新事情・後編【中国デジタル企業最前線】

中国EV市場を席巻する、三大新興メーカーを徹底分析。脅威の中国EVメーカー最新事情・後編【中国デジタル企業最前線】

中国企業の最新動向から、DXのヒントを探っていく本連載。今回は、ガソリン車に代わるモビリティとして期待が高まるEV(Electric Vehicle=電気自動車)と、その核とも言える自動運転技術で世界をリードする中国の強さに迫ります。前編では「EV先進国」の名を欲しいままにしているその理由を、国の政策や技術の面から探ってきました。後編となる今回は、自動車産業に参入してきた新興メーカー3社を紹介するとともに、日本の立ち位置の考察、中国が抱える課題を話題に進めていきます。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

DXが遅れる不動産業界に光明。三菱地所リアルエステートサービス、居住用不動産売却マッチングサービス誕生の舞台裏

DXが遅れる不動産業界に光明。三菱地所リアルエステートサービス、居住用不動産売却マッチングサービス誕生の舞台裏

一生のうちに滅多にない、居住用不動産売却。売却の際には多くの方が一括査定サービスを利用されますが、以前から「高い提示額の会社に任せても、結局なかなか売れない」「仲介担当者は運任せ」という不満の声がありました。そんななか、私たちがかかりつけ医や美容師を自由に選べるのと同じように、充実した情報のもとで、大切な“財産”である住まいを託す仲介担当者を、売却検討者が直接選べるサービスが登場。それが、三菱地所リアルエステートサービス株式会社が提供する「タクシエ(TAQSIE)」です。 今回は、タクシエの事業を担当する、TAQSIE事業室長 磯貝 徹氏、参事 落合 晃氏と、プラットフォーム構築を最短1日で可能にするSaaS「Pocone(ポコン)」の提供により開発支援を手がけた、株式会社オプトインキュベート 代表取締役CEO 齋藤 正輝氏、取締役CTO 山岸 大輔氏に、構想からPoC実施、そしてサービス提供までの舞台裏をうかがいました。

『メタバースとWeb3』著者・國光 宏尚氏が語る、Web3時代に勝つ企業の条件

『メタバースとWeb3』著者・國光 宏尚氏が語る、Web3時代に勝つ企業の条件

「ブロックチェーン技術(※1)を中核とした非中央集権的なインターネット」として定義されるWeb3(3.0)。2021年以降、急速に注目を集めるようになったフレーズですが、全貌を理解している人は多くない、曖昧な概念であることも事実です。今回お話を伺ったのは、3月に上梓した『メタバースとWeb3』がベストセラーになり今やWeb3のエバンジェリストとして知られる、株式会社Thirdverse、株式会社フィナンシェ代表取締役CEO/Founderの國光 宏尚氏。「Web3時代に勝ち残る企業」をテーマに、 デジタルホールディングスのグループCIO(最高投資責任者)を務める石原 靖士氏がお話を伺いました。 ※1 ブロックチェーン 取引履歴(ブロック)を暗号技術によって1本の鎖のようにつないで記録することによって、データの破壊や改ざんを極めて難しくしたデジタルテクノロジーのこと。

メタバース覇権を握る、最有力候補!? フォートナイトを運営する「Epic Games」 〜海外ユニコーンウォッチ #6〜

メタバース覇権を握る、最有力候補!? フォートナイトを運営する「Epic Games」 〜海外ユニコーンウォッチ #6〜

「ユニコーン企業」――企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてはFacebookやTwitterも、そう称されていた。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は人気オンラインゲーム「フォートナイト」を運営する「Epic Games(エピック ゲームズ)」を紹介する。

自動車大国・日本がついに中国EV車を輸入。脅威の中国EVメーカー最新事情・前編 【中国デジタル企業最前線】

自動車大国・日本がついに中国EV車を輸入。脅威の中国EVメーカー最新事情・前編 【中国デジタル企業最前線】

中国企業の最新動向から、DXのヒントを探っていく本連載。今回は、ガソリン車に代わるモビリティとして期待が高まるEV(Electric Vehicle=電気自動車)と、その核とも言える自動運転技術で世界をリードする中国の強さに、前後編の2回にわたって迫ります。前編は、自動車大国・日本さえも脅かす存在になるほど進んでいる中国EV市場の実情をお届けします。

【Netflix徹底解剖】Netflix4.0、世界最先端のDX戦略を追う

【Netflix徹底解剖】Netflix4.0、世界最先端のDX戦略を追う

全世界での有料会員数が2億人を突破。飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続ける企業、Netflix。現在の利用者の中には、彼らの事業が店舗を持たないDVDオンライン郵送サービスからスタートしたことを知らない人もいるかもしれません。1997年、小さなスタートアップ企業として創業したNetflixはその後、DVDレンタルのサブスクリプション、動画ストリーミング配信のサブスクリプション、そして動画オリジナルコンテンツの配信と、デジタルを基盤に着実にビジネスを変革し、今や皆さんご存知の通り、デジタルコンテンツプラットフォームの王者へと成長を遂げています。今回の「世界最先端のデジタルシフト戦略」vol.4では、そのビジネストランスフォーメーションの変遷を立教大学ビジネススクール 田中道昭教授に徹底解剖していただきます。小さなスタートアップ企業であったNetflixがいかに王者となれたのか。その変革の奥にある秘訣とは。DXに取り組む日本企業も見習うべき一貫した姿勢に迫ります。

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

Clubhouseをはじめ、新勢力が次々と参入し、拡大を見せる音声コンテンツ市場。その中で、民放開始から70年の歴史に「大変革」を巻き起こしているのが“ラジオ”です。放送エリアの壁を取り払う、リアルタイムでなくても番組を聴けるようにするといった機能で、ラジオをデジタル時代に即したサービスに生まれ変わらせたのは、PCやスマートフォンなどで番組を配信する『radiko(ラジコ)』。今回は、株式会社radiko 代表取締役社長の青木 貴博氏に、現在までのデジタルシフトの歩みと将来の展望について、お話を伺いました。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。

Facebookも注目の「メタバース」とは何か? スマホ向けメタバース「REALITY」のDJ RIO氏に聞く

Facebookも注目の「メタバース」とは何か? スマホ向けメタバース「REALITY」のDJ RIO氏に聞く

Facebookが社名を変更し、中核事業に据えるほど力を入れる「メタバース」。2021年8月にはグリー株式会社が、今後2~3年で100億円規模の事業投資を行い、グローバルで数億ユーザーを目指すと発表しましたが、その中核を担うのが、グリー株式会社の子会社であり、これまでバーチャルライブ配信アプリを手がけてきたREALITY株式会社です。今回は、そんな同社の代表を務めるDJ RIO氏にインタビュー。そもそもメタバースとは何なのか。なぜこんなにも注目が集まっているのか。メタバースは、世界のあり方をどのように変えるのか。メタバース初心者のビジネスパーソンには必読のインタビューです。

デジタル戦略で生まれ変わるカインズ。ホームセンターからIT小売企業への変遷の軌跡【前編】

デジタル戦略で生まれ変わるカインズ。ホームセンターからIT小売企業への変遷の軌跡【前編】

生産労働人口の減少を受け、日本企業はいよいよ生き残りをかけたデジタル化に取り組まなければいけないと言われるフェーズに入ってきました。とはいえ、それができている企業とそうでない企業との差が激しくなっているのも現状です。 そんななか、ホームセンター大手カインズでは、40年かけて積み重ねてきたホームセンターとしてのあり方を見直し、IT小売企業として生まれ変わろうとしています。カインズでデジタル戦略本部長を務め、戦略の指揮をとる池照 直樹氏に、同社のデジタル戦略についてお話を伺いました。 前編は、カインズがどのようにしてデジタル化を実現させていったのか、具体的な取り組みを交えてお届けします。

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

Clubhouseをはじめ、新勢力が次々と参入し、拡大を見せる音声コンテンツ市場。その中で、民放開始から70年の歴史に「大変革」を巻き起こしているのが“ラジオ”です。放送エリアの壁を取り払う、リアルタイムでなくても番組を聴けるようにするといった機能で、ラジオをデジタル時代に即したサービスに生まれ変わらせたのは、PCやスマートフォンなどで番組を配信する『radiko(ラジコ)』。今回は、株式会社radiko 代表取締役社長の青木 貴博氏に、現在までのデジタルシフトの歩みと将来の展望について、お話を伺いました。