加古川市、ICT導入等による「保育士の働き方改革」の実証研究を実施 スマートシティプロジェクトの推進を目指す

加古川市および株式会社日建設計総合研究所、ユニファ株式会社は、「保育士の働き方改革」の視点から、ICTの導入等による子どもと接する業務以外の部分での効率化に向けた実証研究や、多様な働き方についての調査・研究に参加したと発表した。この取組みは、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術におけるアーキテクチャ構築及び実証研究」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))のスマートシティ実証研究として、ユニファ株式会社の提唱する「スマート保育園」に関する実証だ。

兵庫県加古川市では、加古川市まち・ひと・しごと創生総合戦略にもとづき、「子育て世代に選ばれるまち」の実現に向けて、都市の安全・安心を柱とするスマートシティプロジェクトの推進を通じて、市民の満足度や生活の質(QOL)の向上に資する地域課題解決を目指している。

同市の主な地域課題として、①人口減少・少子化克服への対応(平成24年12月をピークに人口減少に転じており、平成29年には全国で9番目に転出超過の多い自治体)、②高齢化への対応(認知症の行方不明者発生率が全国平均の3倍強など)といった課題が挙げられ、全国共通的な都市課題の先行地といえる。特に、①については、幼児教育・保育の無償化や、共働き家庭の増加などにより、保育ニーズが高まっている反面、待機児童の問題や、保育士不足に直面している。また、それらの対応と合わせて、子どもが日常を過ごす環境の充実も喫緊の課題となっている。

そこで、同市では、「保育士の働き方改革」の視点から、ICTの導入等による子どもと接する業務以外の部分での効率化(事務負担の軽減等)に向けた実証研究や、多様な働き方についての調査・研究に参加した。保育園等で生活する子どもたちと保育士(保育教諭)が、より快適にそしてより多くの時間において互いに触れ合える園づくりに取り組むことにより、子どもや保護者からも、保育士からも「選ばれるまち」を目指すという。

上記取組みは、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術におけるアーキテクチャ構築及び実証研究」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))のスマートシティ実証研究として、株式会社日建設計総合研究所が実施した複数テーマのうち、ユニファ株式会社の提唱する「スマート保育園」に関する実証だ。昨年度のSIP実証研究結果を踏まえ、今年度は、国土交通省・スマートシティモデル事業の一環として、モデル園での効果検証や市内展開の検討を行うとともに、ポストコロナ社会に向けて「保育分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」や「非接触型のICTツールの普及・展開」を目指すとのことだ。
出典元:プレスリリース

■ICTを活用した保育士の働き方改革の実現【SIP実証研究結果①】 ~ ICTツールの活用等により、各種記録の効率化と事務作業にかけていた時間縮減を実現 ~

保育士の働き方改革を実現するため、現在の日常業務について、効率化できる業務を調査したところ、保育士は園児と向き合う保育や教育の時間以外に、各種記録や書類作成の事務作業に時間を要していることが分かった。そこで、これらの時間を縮減することで、保育士の時間外労働を減らし、園児と向き合う時間を増やすことを目指すこととしたという。

上記を実現するため、ICTツールの活用に係る実証(2019年12月~3月)を市立「川西こども園」にて行い、効率化の効果が確認できたとのことだ。引き続き、市立保育園・こども園におけるICTツールの導入を順次進めていく予定だという。また、ICTツール活用推進のため、今後保育士のOA機器対応能力向上も併せて検討する。
出典元:プレスリリース
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■ICTを活用した快適な保育環境の提供【SIP実証研究結果②】 ~ いろいろなツール・データを上手に組み合わせることによって、より良い環境を創出 ~

加古川市にある「川西こども園」を本実証のモデル園として選定し、暖房を用いている期間(2019年12月~2020年1月)において計測を実施した。計測は、園内にある諸室のうち、0・1歳児室、2歳児室を対象として、それぞれ約30個の環境センサー(温度、湿度、照度、音、UVなど)を設置して、実施した。計測に併せて、保育業務向けのICT器材(登降園管理、非接触体温計、午睡センサーなど)も導入し、園で計量している電力データ、匿名化した園児の健康管理簿(日報記録)のデータなど、取得できた様々なデータを活用してクロス分析を行った。

主な分析①では、保育園向けのICTツールの活用により、保育士の作業負担を軽減することに加えて、保育に充てる時間を増やすことも可能となった。また、主な分析②③は、エアコンの使い方に関する分析だが、②では、エアコンを順番に運転することによって、園全体の電力が軽減される可能性があることが分かった。③では、併設されているシーリングファンを併用することによって、園児のいる低い位置の温熱環境を改善するだけでなく、エアコンの稼働時間も減らせる可能性があることも分かった。快適な環境を損なうことなく、光熱水費の削減効果も期待でき、加古川市内の他の園にも水平展開できる知見が得られた。
出典元:プレスリリース
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