日立、ビル向けのIoTプラットフォームを開発
2020/11/13
株式会社日立製作所(以下、日立)は、ビル管理の効率化や、利用者の快適性向上など、新常態(ニューノーマル)で求められるビルの高付加価値化を実現する、ビル向けのIoTプラットフォーム「BuilMirai(ビルミライ)」を開発し、ビル分野におけるLumadaの新ソリューションとして2020年中に日本国内で販売開始する予定だと発表した。
近年、都心部においては、大規模なオフィスビル供給の継続により、テナント企業の獲得競争が激化している。また、新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、働き方改革が進展している。これらのビルを取り巻く環境の変化に伴って、デジタル技術の活用により、ビル内業務の効率化・高度化や、オフィスワーカー(以下、就業者)をはじめとするビル利用者の快適性向上など、ビルの高付加価値化、スマートビルの実現に向けた動きが加速している。
このような背景のもと、日立は、株式会社日立ビルシステムとともに、2020年4月に、建物内の非接触での移動・生活を実現するタッチレスソリューションを体系化し、順次ラインアップを強化しているほか、就業者にスマートフォンアプリで新たな就業・生活体験を提供するサービスプラットフォームをデベロッパー向けに開発するなど、ニューノーマルに対応したビル分野のデジタルソリューションを強化している。
また、日立とマイクロソフトは、2020年6月に、製造・ロジスティクス分野向け次世代デジタルソリューション事業に関する戦略的提携に合意し、さらに、日立が2020年11月4日に開始したパートナー制度「Lumadaアライアンスプログラム」にマイクロソフトが賛同するなど、さまざまな産業分野での連携を強化している。今回、日立はビル分野において、「Microsoft Azure」や「Microsoft Dynamics 365」などを活用し、Lumadaの新ソリューションとしてビル向けのIoTプラットフォーム「BuilMirai」を開発したとのことだ。
「BuilMirai」は、昇降機や空調設備などのビル設備の稼働状況を遠隔で統合的に監視、分析できるデベロッパー向けのソリューションで、主に大規模ビルを対象とし、複数ビルを横断的に監視、分析することもできる。また、ビル設備のデータに加えて、ビル内のエリアごとの混雑度などの人流データを組み合わせて分析することが可能で、ビル管理の効率化や、利用者の快適性の向上、ビルの運営品質の維持・向上を実現する。
■ビル向けのIoTプラットフォーム「BuilMirai」のモニター画面(イメージ)
■ビル向けのIoTプラットフォーム「BuilMirai」の概要
複数ビルのさまざまなビル設備を遠隔で統合的に監視し、ビルの利用状況を可視化することができる。ビル間、ビル内のフロア間の比較などにより、利用状況を加味した効率的な清掃・警備作業や、ビル設備の状態を踏まえた保守計画の策定が可能になり、ビル管理の効率化、管理品質の向上を支援する。
2.ビル利用者の快適性の向上
ビル内のエリアごとの混雑度などの人流データをもとに、昇降機や空調設備などのビル設備の制御システムとの連携を図ることで、混雑の緩和や、混雑状況に応じた温度設定などを行い、快適なビル環境の実現を支援する。また、トイレやミーティングスペースなどの利用状況・混雑情報の提供により、ビル利用者の効率的な設備利用や、ソーシャルディスタンシングなど、ニューノーマルに対応した新たな働き方や生活を支援する。
3.ビルの運営品質の維持・向上
複数のビルについて、ビルごとのアラート発生状況、エネルギー使用量などをベンチマークし、運営課題の抽出や改善策の検討を行うことで、運営品質の維持・向上を図ることができる。
4.オープンなAPIによる柔軟なサービスの拡充
標準化したオープンなAPIの搭載により、パートナー企業による新たなソリューションの追加が容易で、柔軟なサービスメニューの拡充が可能だ。