昨年、校長に選出されたZOZO元CTO大蔵峰樹氏とともに、3人が中心となり、神山まるごと高専設立に向けたプロジェクトが推進されるという。なお、寺田氏の理事長職、大蔵氏の校長職、山川氏の理事職は、2023年の開校時に就任となる。
■神山まるごと高専とは
神山まるごと高専は、「テクノロジー×デザインで、人間の未来を変える学校」をミッションとして掲げる2023年4月開校予定の私立高等専門学校。これまで高等専門学校は、技術教育を中心とした5年制カリキュラムを有する、日本独自の教育システムだった。本校では、そこにITやソフトウエアといった最先端テクノロジーの教育や、アイディアを形にするUI・UXを中心としたデザイン教育、そして社会変革を生み出す起業家精神を育む教育を加え、これまでない学校の形を提供する。また、地方創生のロールモデルとも言われる、徳島県神山町に設置し、神山町を巻き込んだ実践型教育を行う予定とのことだ。
日本財団の「18歳意識調査 『第20回 –社会や国に対する意識調査-』」によると、国際的に見ても、日本の若者は自己効力感や社会変革意識が低く、特に「自分で国や社会を変えられると思う」と考えている若者は、アメリカの65.7%や、中国の65.6%と比べ、日本は18.3%と著しく低いことがわかるという。
本校では、そのような日本国内において、学生の社会変革意識を育むとともに、テクノロジーやデザインでその実現の後押しを行い、社会に変化の一歩を生み出せる人材「起業するデザインエンジニア」を輩出することを目指しているとのことだ。
■寺田親弘氏の理事長候補選出について
2007年に寺田氏は、それまで世の中になかったクラウド名刺管理サービス「Sansan」を立ち上げた。世にある市場を作るのではなく、自ら感じた手触り感のある課題をもとに市場を作り出し、社会に新たなビジネスインフラを作ることに取り組んでいる。これまでにない高専の設立プロジェクトを形にするには、強力な推進者が必要だという。0から立ち上げた起業経験を発揮し、開校に向けて、プロジェクト推進はもとより教員集めや寄付金集めを牽引することを役割とし、理事長候補に就任した。また、Sansanは同社のサテライトオフィスを2010年より神山町に設置しており、寺田自身、神山町と深いつながりを持ち、魅力を理解していることも就任理由とのことだ。開校後、学校経営の最高責任者として、本校の価値最大化に努める。
■山川咲氏のクリエイティブディレクター就任について
神山まるごと高専のクリエイティブディレクターとして、山川咲氏が就任。山川氏は、完全オーダーメイドウェディングブランド、Crazy Weddingを20代で立ち上げ、変化のなかった業界に風穴を開けた革命児として注目を浴び、情熱大陸にも取り上げられている。2020年に独立した山川氏が、自身の取り組むプロジェクトとして高専の設立に取り組む。神山まるごと高専は、既存の高等専門学校はもちろん、高校・大学とも異なる、これまでにない学校だ。本校の魅力を形作り、社会に向けて広く理解を促すためには、ウェデイング業界の当たり前を変えるなど、業界を大きく革新させた山川氏の経験が活きると考え、今回クリエイティブディレクターに選出したという。クリエイティブディレクターとして、神山まるごと高専のブランディングを牽引するだけでなく、カリキュラムやカルチャー、建築などのプロジェクト推進の上での積極的な情報発信や社会とのコミュニケーションを担う。なお山川氏は、同校の理事候補にも選出されており、開校後も同校の経営に携わる予定だ。