GEヘルスケア、DXにより倉敷中央病院の病院運営の最適化・医療の質向上に貢献する取り組みの中間報告を発表

GEヘルスケア・ジャパン株式会社(以下、GEヘルスケア)と公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院は、「ブリリアント・ホスピタル」構想の実現に向けた包括的契約に基づき、2018年1月よりアセット・パフォーマンス・マネジメント(APM)を用いた医療機器の稼働の最適化および働き方改革のプロジェクトを実施。倉敷中央病院の院内資産(アセット)の最適化、さらなる改善を目指す院内プロセスの構築、より良い医療の提供を実現する病院運営の新たな構想を報告した。

倉敷中央病院は、岡山県西部地域の高度医療を担う急性期基幹病院として、病床数1,172床、職員数3,687人、年間の救急車受け入れ件数が1万件を超え、年間の新入院患者数は3万人に及ぶことから、院内の医療機器の稼働台数や利用頻度などの把握を課題としていた。課題解決を模索するなかで、IoTのノウハウを持ち合わせるGEヘルスケアをパートナーとし、デジタルトランスフォーメーションによるオペレーションの効率化を目指す取り組みを開始。まずは超音波診断装置などを中心に位置情報センサーを設置し、デジタル・IoTを用いた稼働状況の可視化、続いて稼働時間や頻度を分析し、あまり使われていない機器、利用の頻度・時間帯などを割り出した。利用頻度の低い機器を複数の診療科で共有することなどを通じて機器の台数や保管場所などを見直し、全体としての稼働効率の向上を実現。同時にそれを支える院内運営の仕組み作りにも着手したとのことだ。

倉敷中央病院の医療技術本部長の田渕隆氏は、以下のように述べている。「収集したデータを分析し、それに基づいて部門横断で協議を重ねた結果、超音波診断装置の総台数を114台から95台に最適化しました。それに伴う効果として、診療科に必要な機能や仕様を満たす超音波診断装置を再配置することにより、無駄な購入を無理なく抑制できたことが大きな利点と捉えています。また、稼働状況を基にハイエンドな機器を新規に導入することで医療の質の向上にも寄与できたと感じています。その他、正しい稼働データを把握する過程で、救急外来におけるエコー検査の実施記録漏れも明らかになり、これを改善するために新たにワーキンググループを立ち上げ、結果として年間800万円の算定漏れの改善を実現できました。今後は、超音波診断装置に限らず、院内の医療機器全体へAPMのスコープを拡大していくとともに、APMの院内における定着を進め、リアルタイムにデータにアクセスできる環境を整備していく予定です」

倉敷中央病院院長の山形専氏は、次のように述べている。「GEヘルスケアが提供するAPMを導入することで、データの利活用を通じた現状および改善点の把握、解決に向けた具体的な取り組みが実施できるようになり、結果として、より質の高い医療の提供が可能になったと思います。また、効率化を進めるなかで限られた資源を有効活用する上での新たな視点や手法が加わり、2年間の活動の結果として、超音波診断装置の投資抑制で3,500万円、救急外来でのエコー検査の実施記録漏れの改善による800万円で、計4,300万円を改善し、1.6億円規模の資産運用の最適化が実現できました。GEヘルスケアの担当者が当院の職員と現場で直接関わり、当院だけでは実現できない成果を実現することができました。これらは全て、必要とされる分野への新たな投資として活用し、患者やご家族のご要望に応えられるよう、さらなる質の向上を目指します。当院では約35年前から院内の課題改善に向けた小集団活動を現在まで続けたり、院内の組織文化を国際基準の視点から見直すための外部審査などを積極的に受けたりしています。今後もそれらの活動に対してAPMのような運営課題に対してIoTを活用したデータに基づくアプローチができるソリューションが活用されることを期待しています。これからも時代の要請に的確に応える医療を引き続き提供できるよう取り組んでいきたいと思います」

GEヘルスケアの代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏は次のように述べている。「この度、倉敷中央病院にてGEヘルスケアのAPMを活用し、病院運営の効率化・最適化に貢献できたことを嬉しく思っております。新型コロナウイルス感染症においても施設のキャパシティ確保が医療の質を維持していく上で問題となる点が浮き彫りになりましたが、キャパシティを増やすだけでは無駄が生まれますし、高齢化と労働人口の減少が進む日本では現実的ではありません。必要なことは、ムリ・ムラ・ムダを見つけながら稼働率を上げるための仕組みの導入です。その手段として、当社では、データの分析を活用する様々なデジタルソリューションの提供を強化してきました。ブリリアント・ホスピタル構想に基づいた医療機器の効率化・最適化にとどまらず、AIアルゴリズム等の最先端技術を効果的に活用することで医療従事者の皆様の働き方改革に寄与し、患者さんやご家族が望まれる個別医療やケアの提供に引き続き貢献してくよう今後とも尽力してまいります」

GEヘルスケアのエジソン・ソリューション本部長の松葉香子氏は次のように述べている。「労働人口の減少・少子高齢化が進展する日本においては、医療ビッグデータの利活用による医療の質および医療従事者の生産性の向上が求められています。倉敷中央病院におけるAPMの成果は、医療データの利活用が経営改善に直結することを示すことができた、非常に画期的な事例であると考えております。エジソン・ソリューション本部では、本事例にて紹介のAPMに加え、MRIやCTなどの画像診断装置の稼働情報に基づいた検査運用の最適化を目指すCPM、リアルタイムの医療データ・リソースの可視化および行動変容を促す「コマンドセンター」の展開を進めています。画像診断装置の提供にとどまらず、医療の質および医療従事者の生産性向上を実現することで、持続可能な医療サービスの提供へ引き続き貢献してまいります」

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