人工衛星 × AIで水道管の漏水を検知 国内初採用の愛知県豊田市では5年の調査が約7か月に短縮成功

ジャパン・トゥエンティワン株式会社(略称、J21)は、同社が国内代理店として販売しているユーティリス社の衛星画像データとAIを活用した「漏水検知システム」が愛知県豊田市上下水道局に採用され、水道管の漏水調査による成果が公表されたと発表した。

近年、過去に整備されたインフラが更新時期を迎え、メンテナンス頻度の増加や維持コストの増大、高齢化による作業員の人手不足、また財源確保の問題などが大きな社会課題となっている。水道事業者においても、敷設された水道インフラの老朽化と水道管の維持管理と更新は、大きな課題となっており、実際に水道管の耐用年数とされる約40年を、国内の6分の1が超過しているといわれているという。従来、漏水の発見には、人手に頼った音聴調査を広範囲にわたって行うことが必要であり、効率的に調査を行うことが難しく、大規模に行うには長期間に渡るのが当たり前で、調査員確保の問題とコスト増大が避けられなかったとのことだ。
出典元:プレスリリース
ユーティリス社の衛星画像データ(衛星データ)を用いた漏水検知システムでは、天候や昼夜に左右されず、広範囲を検知・調査することができ、一度に水道事業者のインフラ全体をカバーする漏水検知を行うことが可能だ。また、独自のアルゴリズムにより、衛星から地上に電磁波を照射して得られた画像データから、水道水に特有の反射特性をAIで補正・解析し、漏水可能性がある区域を半径100mの範囲で特定する。これにより、水道事業者は事前に漏水調査範囲の絞り込みができ、現地にて行う音聴調査の効率化が可能となるという。ユーティリス社の漏水検知システムの採用で、漏水箇所の早期発見と修繕による漏水率の改善、漏水による損失と二次災害の予防、調査サイクルの短縮など、時間やコストの削減効果が見込まれている。また実際に、全世界の45ヵ国で350以上のプロジェクトに採用され、成果をあげているとのことだ。
出典元:プレスリリース
愛知県豊田市にて行われた漏水調査は、漏水箇所の特定に多大な時間を要する山村地域を中心として行われ、検知システムから漏水の可能性が示された区域を絞り込んだ上で、現地にて漏水音を確認する路面音聴調査が2020年9月から2021年3月まで実施された。その結果、漏水可能性があるとされた556区域のうち、154区域で259箇所の漏水が発見された。現地調査が行われたのは約7ヶ月という期間だが、従来の音聴調査方法だとおよそ5年はかかる調査で、作業の大幅な効率化がはかられたという。豊田市上下水道局では、漏水箇所の修繕を行うとともに、より効率的な漏水調査手法を検討しているとのことだ。

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