日本オラクルら、脱炭素社会の実現に向け4年間・全国30万世帯の実証事業を実施 ナッジを活用して家庭の省エネ行動を促しCO2排出量を47,000トン削減

日本オラクル株式会社と株式会社住環境計画研究所は、日本の二酸化炭素(CO2)削減目標を達成するための環境省の取り組み「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)等による家庭等の自発的対策推進事業」の委託を受け、2017年度から2020年度まで実証事業を行ったと発表した。

北海道ガス株式会社、東北電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、沖縄電力株式会社の5社の供給エリア約30万世帯を対象に、オラクル・コーポレーションの家庭顧客向けエネルギー効率化ソリューション「Oracle Utilities Opower Energy Efficiency Cloud Service(以下、Oracle Utilities Opower)」に、日本のキャラクター文化(本実証キャラクター:そらたん)等も活用し、ナッジを駆使した、家庭ごとにパーソナライズされたエネルギー使用情報やアドバイスからなる省エネレポートを提供した。全国から5社のエネルギー事業者が協力し、ナッジの活用を4年間にわたり30万世帯もの世帯に、大規模に実証を行ったことは、日本初となるという。

このプログラムにより平均2%の省エネ効果が確認され、4年間の累積CO2削減量は47,000トンとなった。レポートの提供終了後も省エネ効果の持続が確認されており、今後の累積CO2削減量は111,000トンにまで及ぶことが推計されている。これは、41,000世帯の年間CO2排出量に相当、または約135,000台の冷蔵庫買替効果に相当するという。このような実績とともに、家庭での脱炭素の取り組みのヒントとなる結果が得られたとのことだ。

■日本の脱炭素化に向け、全国約30万世帯にCO2削減行動を促す大規模ナッジ事業

国は、脱炭素社会の実現に向け、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにし、また、2030年度までに2013年度比で46%削減するという目標を表明している。本取り組みは、環境省の委託事業「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)等による家庭等の自発的対策推進事業」のプロジェクトだ。生活者一人ひとりが “エコで快適なライフスタイル” を実現できる社会に向け、国内最大規模となる、全国約30万世帯を対象に、自発的なCO2削減行動を促す大規模ナッジの実証事業となったとのことだ。

■エネルギー事業者5社と協力し、行動科学の知見とデータ分析を活用した省エネレポートを提供

本取り組みにおいて、日本オラクルと住環境計画研究所は共同で、北海道ガス、東北電力、北陸電力、関西電力、沖縄電力の協力のもと、「Oracle Utilities Opower」を用い、全国約30万世帯に、パーソナライズされた行動科学の知見とデータ分析を活用した省エネレポート「Oracle Opower Home Energy Report (HER)」を提供した。オラクル・コーポレーションは、世界で175社のエネルギー事業者と行動変容による省CO2ナッジ・プログラムの実績を有し、日本法人である日本オラクルが、本取り組みにおいて、全体統括およびプラットフォームの設定・運用を担当した。日本における行動変容による省エネ・省CO2プログラム研究の第一人者として、多数の調査研究プロジェクト実施実績がある住環境計画研究所はプログラム・調査設計、効果測定・検証を担当した。

■日本の生活・文化に合わせて省エネレポートを再構成

プロジェクト全体を通じて、北海道ガス、東北電力、北陸電力、関西電力、沖縄電力の供給エリア約30万世帯を対象に、地域に応じて郵送による紙レポート、LINEやモバイル・アプリ専用のコンテンツ、日本固有のキャラクター文化に着目しキャラクターを掲載したレポートなど様々な種類の「Oracle Opower HER」に基づいた省エネレポートを提供。各レポートには、料金、エネルギー使用状況と月次比較、パーソナライズされたエネルギー消費に関するインサイト、家庭のエネルギー分析、エネルギーと料金節約のためのアドバイスなどが記載されている。

■主な実証結果:家庭部門の省CO2成果とエネルギー事業者の顧客エンゲージメント強化を両立

1.「Oracle Opower HER」を提供しない家庭と比較し、プロジェクト全体を通じて、最大2.8%のCO2削減効果を達成し、4年間で47,000トン、持続効果を含めると111,000トンのCO2排出量を削減

2.「Oracle Opower HER」を受け取った顧客世帯の認知は約80%、閲覧は約70%、興味は約40%、具体的行動は約30%と高い反応率を確認

3.「Oracle Opower HER」を受け取った顧客世帯の約30%が、エネルギー事業者のイメージ変化について、「よくなった」と回答し、エネルギー事業者の顧客エンゲージメントの強化にも貢献

このプログラムは、エネルギー事業者の顧客満足度とCO2削減の点で非常に成功し、委託事業が2021年3月に終了した後も、北海道ガス、沖縄電力は、顧客満足度を高めるコミュニケーション施策に「Oracle Utilities Opower」を活用しているという。

Article Tags

Special Features

連載特集
See More