東北大学と順天堂大学、モバイルヘルスアプリを活用したドライアイに関する共同研究を実施へ

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と順天堂大学は、コホート調査にモバイルヘルスアプリを組み込んで、眼に関連する様々な情報を収集し、ドライアイが環境要因、生活習慣、遺伝要因とどのように関連するのか明らかにする研究を開始すると発表した。この研究をもとに、ドライアイ診療におけるSociety 5.0を実現し、多くの人がドライアイ症状から解放され、より快適な生活を送るようになると期待されるという。この共同研究は2021年8月12日より開始する。

■研究の背景

・ドライアイとは
ドライアイは日本で2,000万人、世界で10億人以上が罹患する最多の眼疾患であり、超高齢社会、ウィズ/アフターコロナにおけるデジタル社会において、今後も増加すると推察されているという。ドライアイの症状は、乾燥感のみならず、羞明、眼精疲労、視力低下等多岐にわたる。また、ドライアイは多因子疾患であり、湿度・花粉・PM2.5等の環境因子、食事・喫煙・運動・モニター使用時間・コンタクトレンズの装用等の生活習慣、加齢・性別(女性)・遺伝・家族歴等の宿主因子等が、複合的に関連してドライアイの発症や経過に影響を及ぼす。

・ドライアイ治療の課題
ドライアイに対する治療は点眼による対症療法が未だ主体であり、完治する治療方法は存在せず人生の長期にわたり生活の質の低下を起こす。そのため、ドライアイの発症や重症化を未然に防ぐ、予防医療や個別化医療が重要だ。しかし、従来の研究手法では個々人の多様な自覚症状や、関連する生活習慣等とゲノム情報の包括的な収集が課題だったとのことだ。

■研究の詳細

・期間 : 2021年8月~2022年6月
・リクルート方法 : 地域支援仙台センターでの健康調査に来所した対象者
・同意の取り方 : スマートフォン上でのモバイルヘルスアプリによる電子同意
・目標参加人数 : 3,000名
・使用アプリ : ドライアイ用アプリ「ドライアイリズム」のiOS版とAndroid版
・この研究により得られる情報 : ドライアイ症状の点数化、生活習慣との関連、労働生産性、抑うつ症状

■研究の特徴

・ドライアイリズムの活用
順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範准教授らの研究グループは、ドライアイの啓発と個別の疾患管理を目的として、2016年11月にiPhone版、2020年9月にAndroid版のスマートフォンアプリ「ドライアイリズム」をリリース。これまで25,000人以上の参加者のドライアイの症状と、関連する生活習慣のリアルワールドデータを継続収集している。

ドライアイリズムの利点は、主に以下の3点が可能なことだ。
1) 頻回・継続・遠隔・リアルタイム等の条件を満たした多様なデータの取得
2) 生体センサリングデータの取得
3) 双方向性の参加型医療の実践
また、研究への同意取得のプロセスもアプリ内で包括的に実施可能であるため、個々人の広範な情報収集に適しているという。

・大規模なコホート調査/バイオバンクとの協働
ToMMoはこれまで実施してきたコホート調査で、眼科領域に着目して継続的なデータ収集を進めてきた。しかしながら、これまでの調査項目は、コホート調査の参加者がToMMoの地域支援センターに来所した際にのみデータを収集するものだった。本研究ではToMMoと順天堂大学とが連携し、来所者に対して、モバイルヘルスアプリによるデータ収集を自宅などで複数回行うことを依頼するものだ。すでにゲノム解析が進んでいるコホート調査に、ドライアイリズムによる調査を追加することによって、モバイルヘルスとゲノム情報を組み合わせた新しい医療ビッグデータを統合解析し、ドライアイの新しい病型分類の確立とその発症または重症化に関わる疾患遺伝子多型の特定を目指すとのことだ。

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