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富士通、世界9カ国のビジネスリーダーを対象とした「グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2021」を公開

富士通株式会社は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の世界的な動向・実態把握を目的に、世界9カ国の経営層や意思決定者1,200名を対象とした調査を実施し、その分析結果を「Fujitsu Future Insights グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2021」として公開したと発表した。
5回目の調査となる今回は、企業が新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした変化にどのように対応したのか、パンデミック後の新たな世界の優先課題をどのようにとらえているのかについて、調査分析を実施した。さらに、分析結果からパンデミックに効果的に対応できた要因を明らかにし、パンデミック後のビジネスを検討する上での必要不可欠な組織の能力や、重要と思われる傾向と洞察を導き出したとのことだ。

■背景

新型コロナウイルスのパンデミックによって、生活や働き方、そしてビジネス環境は一変した。多くの人や企業がそれまでのやり方を変えざるを得なくなる中で、その対応と成果に多くの違いが出てきた。さらに、デジタル化が加速する中で、企業のデジタルトランスフォーメーションの推進力も一層問われている。そのような背景を踏まえて、今回は世界のビジネスリーダーによるパンデミックへの対応とパンデミック後の世界における経営の優先課題に関する意識調査を実施したとのことだ。

■調査サマリー

1. 企業はパンデミックにどのように対応したのか?
商品およびサービスを完全にオンラインでのみ提供する企業(以下、ネット専業企業)の多くが売上を伸ばし、商品およびサービスを完全にオフラインあるいは一部をオンラインで提供する企業(以下、非ネット専業企業)の半数の売上が減少した。一方で、非ネット専業企業の78%は、そのように大きな影響を受けつつも、パンデミックに効果的に対応できたと回答していた。そしてこのような対応を可能とした3つの大きな要因としてアジリティ、デジタル化、従業員のウェルビーイングが挙げられた。

2. デジタルトランスフォーメーションの組織能力が高い企業ほどパンデミックにも効果的に対応
同社のこれまでのグローバル調査の結果は、一貫してリーダーシップ、データからの価値創出、アジャイルな文化、エコシステム、人材のエンパワーメント、ビジネスとの融合が、デジタルトランスフォーメーションを成功に導く組織能力であることを示してきた。同社はこれらを「デジタルマッスル」と呼んでいる。今回の調査において、デジタルマッスルのスコアとパンデミックへの対応について分析したところ、デジタルマッスルのスコアが高い企業ほど、パンデミックがもたらしたビジネス環境の変化に、より効果的に対応ができていることが明らかになったという。

3. パンデミック後の世界のビジネスの優先課題
パンデミック後の新しい世界における経営の優先課題は、変化への対応力(レジリエンス)がトップに挙げられており、多くの企業が不確実な世界において変化への柔軟な対応力の重要性を認識していることがうかがえた。次に、ビジネスプロセスの自動化、データ駆動経営が挙がり、オンラインとオフラインを融合した顧客体験が続いた。
出典元:プレスリリース
多くのビジネスリーダーがより広範なビジネスプロセスの自動化を期待している。調査では、非ネット専業企業の44%は、2025年までに現在自動化されていないプロセスの50%以上が自動化されると見込んでいた。また、対面での体験がもたらすプレミアムな価値を再検討する必要性も明らかになった。ネット専業企業の回答者の64%が、オンラインでは提供できないプレミアムなサービスを対面で提供する価値が高まると考えていた。49%の非ネット専業企業も同じ意見であり、対面サービスの価値が減少すると考えた回答者数を上回っていた。

昨年の調査では、ビジネスリーダーが社会への価値提供の重要性を認識していることについて言及。パンデミックはこの傾向を強めたという。今年の調査では、非ネット専業企業の78%が、パンデミックを契機に社会への価値提供の重要性が増したと回答しており、社会への価値提供の重要性が、より一層高まっていることがうかがえるとのことだ。

調査概要
実施時期: 2021年2月
調査対象: 世界9カ国、中規模以上の企業に属する経営層および経営層に相当する意思決定者1,200名
調査方法: オンラインによる無記名のアンケート記入

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