矢野経済研究所、「アフィリエイト市場」に関する調査を実施
2022/3/11
株式会社矢野経済研究所は、国内のアフィリエイト市場を調査し、市場概況、アフィリエイトサービス事業者の動向を発表した。
■市場概況
■注目トピック
外部環境に関しては、ITP(Intelligent Tracking Prevention:サイトトラッキングの抑止機能)によるクッキーの制限や、Googleアルゴリズムのアップデートによる検索順位変動のほか、ヤフーの広告出稿のレギュレーションの強化によるアフィリエイトサイトの広告出稿の厳格化実施など、アフィリエイトサイトにとってのネガティブと考えられるレギュレーションの変更が行われた。また、Twitterなどのソーシャルメディア(SNS)に関してもレギュレーションの厳格化が図られており、アフィリエイトメディアに対してもネガティブなインパクトを与えているという。しかしながら、現状のプラットフォーマーによるレギュレーションの厳格化に関しては、景表法や薬機法などの法規制を遵守しない一部のアフィリエイトパートナーや代理店に対して大きな影響を与えているものの、優良なアフィリエイトメディアにおいてはほとんど影響を受けていない。こうしたレギュレーションの厳格化については、中長期的に見ると決してネガティブ要因ではないといえるとのことだ。
■将来展望
・大手企業であるナショナルクライアントのアフィリエイト予算の拡大
・サブスクリプション(定期購入)モデルの拡大
・SNSや動画プラットフォームの集客チャネルの活用拡大
・キャッシュレス分野の拡大
・EC化率の拡大
・コロナ禍でのインターネット利用率の増加
・アフィリエイト市場参入企業の増加の可能性
まず、ナショナルクライアントのインターネット広告への出稿が増えている。この流れは、ダイレクトレスポンス系広告において、ECサイトなどでの広告出稿増加に繋がる可能性が高く、アフィリエイト市場においてもプラスに影響するとみられる。さらに、広告主へのアフィリエイト提案による広告出稿効果が確実に出てきており、アフィリエイトへの評価が高まっていることも市場拡大の要因となっているという。また、EC化率の拡大やECにおける決済サービスの導入障壁が低くなっていくことが挙げられる。加えて、VOD(ビデオ・オン・デマンド)など映像配信を中心に、サブスクリプション分野の拡大が進んでいる。5Gの台頭により動画配信プラットフォームの利用が拡大し、サブスクリプションモデルに適したマーケットが生まれる可能性が高いとみられる。それ以外では、キャッシュレス化の進展による金融分野の拡大のほか、新型コロナウイルスの影響によるEC取引の急拡大、インターネット利用ユーザーの増加、アフィリエイト市場への新規参入事業者の増加なども、市場成長の促進要因として挙げられるとのことだ。
調査要綱
1.調査期間: 2020年11月~2021年1月
2.調査対象: アフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)、業界有識者
3.調査方法: 同社専門研究員による直接面接取材、およびアンケート調査併用