■概要
2021年8月に公開し、5日間で13万人利用の反響を得たELYZA DIGESTに次ぐ第2弾の大規模言語AIの公開となる。ELYZA Pencilは、キーワードを数個入力するだけで、約6秒で日本語のタイトルや文章を自動生成する文章執筆AIだ。ELYZA独自の大規模言語AIを用いることで高精度な生成型の文章執筆を可能にした。今回の一般公開デモではニュース記事、ビジネス用のメール、職務経歴書の生成機能を提供する。今後、ELYZAはホワイトカラーが持つ「書く」業務を生成型の文章執筆AIでサポートしていきたいと考えているという。「書く」「まとめる」「読む」「答える」などの多様なホワイトカラー業務を大規模言語AIでサポートすることにより、全国民のホワイトカラー業務10%以上をAIへ代替できる可能性があるのではないかと想定しているとのことだ。
AIによる文章執筆の例は以下。
■社内検証で東大生に比べ執筆時間は56分の1。流暢性は同水準という結果
ELYZA Pencilによる文章生成の速度や精度評価を行うために、以下の観点でAIと人間(東大生)の執筆について比較検証を行った。
・検証概要
選定したキーワードを用いて「東大生3名」と「ELYZA Pencil」で文章を生成
ニュース記事・職務経歴書・メールの執筆の平均スコアを比較
「速度」「流暢性」「正確性」「キーワード含有率」の観点で評価
・評価結果
「速度」の比較
ELYZA Pencilの執筆平均速度は「6.4秒(※)」で、東大生の作業時間の56分の1
※ニュース記事、メール文、職務経歴書を10回ずつ作成した際の平均所要時間
「流暢性」の比較
ELYZA Pencilは東大生とほぼ同じ水準で執筆できることがわかった
「正確性」の比較
正確性を示す事実と異なる記載をした率では、東大生が「20%」、ELYZA Pencilが「27%」となった
「キーワード含有率」の比較
東大生が「100%」、ELYZA Pencilが「94%」であった
東大生とELYZA Pencilの「速度」「流暢性」「正確性」「キーワード含有率」の比較
ELYZA Pencilは「正確性」「キーワード含有率」については東大生に負けるものの、「速度」は56分の1と圧倒的なスピード差をつけ、「流暢性」では同等水準の結果となったとのことだ。
■背景
3年前まではAIによる自然な文の生成は難しい状況にあったという。その後、大規模言語AI「BERT」が2018年10月に登場し状況が変わり、英語では大規模言語AIをベースに人間並みの文の生成をはじめとした、読解・要約・翻訳などができるモデルが登場しつつある。このように大規模言語AIでは大きく技術が進んでおり、最新技術を扱える技術力・ノウハウと大量のテキストデータを掛け合わせることで、主にホワイトカラー領域における大幅な業務効率化ができる可能性がある。しかし、他のAI技術と同様に、海外と比較して日本では大規模言語AIの理解が遅れており、結果として実用化も遅れているという。今回の文章執筆AIはあくまでも大規模言語AIで起きている大きな変化の一部だが、そのパラダイムシフトをより多くの人に体験・理解してもらうことで、日本における大規模言語AIを活用したホワイトカラー業務のDXを少しでも前に進めることができればという思いで公開したとのことだ。