フジテレビ、AIを活用し動画コンテンツ内に広告情報を付与する「iCADs」を本格始動

株式会社フジテレビジョンは、2022年6月17日から無料配信されるFODオリジナルドラマ「30禁 それは30歳未満お断りの恋。」において、AI技術を用いたプレイスメント「iCADs」を本格的に始動すると発表した。

「iCADs」は、「in Contents Ads」の略称で、動画コンテンツ本編内に広告情報を付与するAVOD(広告情報付き無料動画配信)の新しい形で、短期間でコンテンツ内に広告情報や商品情報を合成・再構築し、元の番組とは異なるコンテンツとして配信するサービスだ。

これは、フジテレビがイギリス・ロンドンを拠点とするデジタル・プレイスメントの専門会社MIRRIAD社と共同で開発した配信コンテンツ向け広告情報サービスで、視聴ユーザーが配信コンテンツ視聴中に、インストリーム広告によって中断されることのない快適な視聴体験や、情報付与による新たな楽しみ方の提供を目的としている。

これまでフジテレビでは2022年2月にSDGs関連ドラマ「木のストロー」の無料見逃し配信において、「iCADs」の実証実験を実施しており、今回の本格始動では、株式会社ミュゼプラチナムの動画広告や交通広告、ポスターをコンテンツ本編内に合成・再構築し、TVerとGYAO!でiCADs版を配信する。

第三話では、建物の壁面に元々貼られていなかったポスターを合成した。シーンに合わせてポスターが自然に映り込む仕様を採用するなど、各話で「iCADs」を駆使したプレイスメントを見ることができる。TVer、GYAO!では、「iCADs」版を、FODでは通常版を配信するため、プレイスメント前とプレイスメント後を比較して楽しむことも可能だ。
出典元:プレスリリース
出典元:プレスリリース
通常のAVODは、動画の前後や途中にインストリーム広告が入る構造となっているが、「iCADs」では動画本編に看板などの広告情報や商品情報を合成することで、ゆくゆくはコンテンツが途切れることなく一気に視聴可能なAVODや、コンテンツとインストリーム広告のスムースな連携も可能になると想定しているという。

映画や配信コンテンツなどでは、映像内に商品情報などを露出させ、その商品情報の認知度やブランドイメージの向上を図る、プロダクトプレイスメントという広告手法が存在するが、収録の際に実際に商品などを設置する方法が一般的であり、商品情報の露出チェックとコンテンツ制作進行のバッティング、露出量のコントロールの難しさ、また後年の削除の難しさなど、留意すべき注意点が多数存在しているという。近年のデジタル合成処理技術の進歩により、ある程度の解決策は生み出されているものの、費用や期間などの課題が残っている。「iCADs」では、AI技術の活用により、これらの作業を数日間で行うことができる上、カメラの動き・背景・露出時間などを自動解析することで最適なプレイスメントを提案することが可能となった。

また、将来的には視聴ユーザーの属性に応じて配信コンテンツ内の広告情報を出し分けるなど、「視聴ユーザー属性に対応した動画内広告」の実現を目指し、検証を進める予定とのことだ。

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