VR技術を活用した施工管理者向け教育システム「VRiel」が販売開始

株式会社積木製作は建設現場等で使用することができる配筋教育システム「VRiel」の販売を開始したと発表した。本システムは株式会社大林組と2016年に共同開発したシステムを販売用にアップデートしたものになる。

■開発経緯

大林組では、建設現場における鉄筋配置の不具合防止など管理技術の伝承を目的とした体験型研修を行っている。一般的な構造図ではすべての鉄筋の配置を表すことは難しく、細かい仕様は標準配筋図を参照する。そのため、施工管理の基本として、標準配筋図を頭に入れる必要があるとともに、工事現場を見て不具合箇所に気付く感性が必要となるという。これらを身に付けるために、自社施設内に、実際に鉄筋や型枠を組んだ教育用の躯体モックアップを構築し、鉄筋配置の不具合箇所を探す体験型研修を実施しているが、この研修は、体感度は高いものの不具合箇所が固定されているため、同じ受講者が繰り返し受講するには不向きだった。また、定期的にモックアップを作り替えたり、受講者が実習施設のある場所に移動したりする必要があるなど、コストと時間がかかっていたとのことだ。

研修センターでの訓練風景
出典元:プレスリリース
そこで2016年「VRiel」の開発を積木製作に依頼し、完成させた。空間、距離、時間の問題を解決し、手軽にどこでも体験型研修を実施できるようになった。

■特徴

1.どこでも手軽に使用することが可能
開発当時はパソコンを必要とするHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用していたが、今回スタンドアロン型のHMDに対応した。より手軽にどこでも使用できるシステムとなった。2m四方のスペースさえあれば体験が可能となっている。受講者はHMDを装着し、VR上に表れる教育用躯体の不具合箇所を探す。

オフィス内での研修風景
出典元:プレスリリース
2.多様なバリエーションの教育が実施できる
「VRiel」は、プログラムを変更するだけで不具合箇所を変更したり、追加したりすることができる。不具合箇所をランダムに組み替えることで難易度を調節し、同一の受講者が何度でも研修を受けることが可能だ。また大林組は、早くからBIM(Building Information Modeling)の活用にも力を入れてきたという。「VRiel」の素材としてBIMデータを活用することで、鉄筋などの躯体、仕上げ、設備などの品質管理のほか、安全管理などさまざまな教育ツールを容易に作成することができ、教育内容の充実を図ることができる。

3.正解モデル、不正解モデルの両方を視覚的に確認できる
実物のモックアップと異なり、不具合個所について正解モデルと不正解モデルとをVR上で瞬時に切り替えられることから、受講者は視覚的に何が間違いか、本来どうあるべきかを知ることができる。
出典元:プレスリリース
4.実際に身体を動かしてVR上を動き回り、不具合に気付く感性を身に付けることができる
受講者はVR上を移動したり、首を動かして視界を上下左右に動かしたり、工事現場と同様に身体を動かすことができる。また、施工管理に必要な図面や基準図、計測用のコンベックスなどはすべてVR上で確認、使用することができる。実際の工事現場と同様の環境で学習することにより、不具合に気付く感性を身に付けることができる。

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