NEC X、災害時の初動対応要員向けリアルタイム位置測位ソリューションを提供するスタートアップを新たに設立

NECは、子会社で、新事業の創出を推進するNEC X, Inc.が、火災などの災害や事故現場における初動対応要員向けリアルタイム位置測位ソリューションを提供するスタートアップ「NavigateIO Inc.」を設立したと発表した。同社は、NEC Xの事業創出プログラムを通じて設立された6社目のスタートアップとなる。

米国において、火事の件数は減少する一方、死者は過去10年で24%増加しており、年間約88,000人の消防士が負傷しているという。NavigateIOは、NEC北米研究所が開発したUWB(Ultra Wide Band)を用いた屋内位置測位の特許技術を活用して開発された初の商用ソリューションで、GPSが届かない、かつ、位置情報を取得するためのインフラが予め設置されていない場所でも、モバイルビーコンを装着した対応要員の位置情報を確認することができる。現場到着時にアンカービーコンを設置するだけで、複数の対応要員の現在位置がリアルタイムにタブレット端末に表示されるため、緊急時に指令官が初動隊員を視覚的かつ正確に追跡・把握することが可能となる。
出典元:プレスリリース
NavigateIOは米国にある4地区の消防署と実証実験を行っており、その結果、救助時間の60%短縮に成功。また、建物火災時の屋内位置の把握のみならず、山火事周辺の状況把握や、警察・SWAT等の隊員の位置把握などにも有効であることがわかったという。

NavigateIOは、NEC Xの事業創出プログラム卒業に加え、2022年4月にはカナダの大手電気通信事業者TELUSが提供するTELUS Community Safety & Wellness Acceleratorプログラムを、また、同年5月にはAlchemist Acceleratorのプログラムを卒業している。また、NIST(米国立標準技術研究所)主催のFirst Responder Smart Tracking Challengeにおいて、「事前のインフラ設置なしでさまざまな建物での初動対応の屋内位置測定および1メートル以内の精度での追跡」という与えられた課題に成功し、2022年3月発表のフェーズ1、同年5月発表のフェーズ2において、Top Tier Awardsを受賞している。
出典元:プレスリリース
NEC Xの新事業創出プログラムでは、ビジネスとテクノロジーに精通した客員起業家(以下、EIR)に技術や研究者を紹介し、EIRは各々のビジネスアイデアを提案する。その中で優れたものやマッチングが成立したものが、顧客発見や顧客実証などのプロセスを経て事業化される。NEC Xは、2018年の設立以来、本プログラムを通じて5つのスタートアップ企業をスピンアウトさせており、NavigateIOが6社目となる。

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