開発にあたり、両社は実証実験で、本アルゴリズムがTCFD開示準備の業務効率化に貢献することを確認している。本アルゴリズムは、取引先データと行政が発行しているハザードデータをひとつのマップ上に自動で配置し、水害発生時の取引先の物理リスクを算出するもので、分析結果は、2022年7月29日発行予定のほくほくFGの統合報告書において活用される。
気候変動は世界に経済的リスクをもたらす重要な問題であることから、TCFD開示への関心が高まっている。日本においても、2022年4月より東京証券取引所のプライム市場への上場企業はTCFD開示が義務付けられるようになり、気候関連リスクに対する企業への影響や戦略に注目が集まっている。なお、気候変動に関する社会問題解決への取り組みは、上場企業に留まらず多くの関連企業を巻き込んだ流れへと加速しており、輸送を行う物流企業や気候変動の対策に融資を行う金融機関を含め業種を越えたクロスインダストリーでの対策が求められている。このような中、気候関連リスクでも優先度が高い水害リスクの計測を正確かつ効率的に実施する取り組みを富士通とほくほくFGで実施した。
実証実験は2021年11月~2022年3月に北陸銀行および北海道銀行の不動産担保を対象として、富士通のIT技術とほくほくFGのリスク管理実務の知見により、取引先の所在地をハザードマップへプロットする処理をシステム化したことにより、ほくほくFGにおける業務負担が約850時間削減され、TCFD開示の準備の効率化に繋がったという。また、水害リスクを計測するアルゴリズムが正しく機能することも確認したとのことだ。