IDと限定番号をブロックチェーン上に刻んだ写真がフランス・パリのアート展へ出展決定

株式会社セル・カンパニーは、写真家小串周三氏が2023年3月にフランス・パリのLINDA FARRELL GALERIEで開催されるアート展にて出展が決定したと発表した。

作品はファインアートフォトグラフィーであり、エディションナンバー(限定番号)を付与して、30枚限定で制作されるうちの一つだ。限定番号をブロックチェーン上に刻んで作品と相互参照する事で第三者による複製をより困難にし、各個体の付加価値を向上させる。また、ブロックチェーン上に作者のメッセージを刻む事で、半永久的に消えないデジタル空間に作者の作品に対する意図を残すことができる。

■写真×ブロックチェーンのDXに取り組む背景

昨今、写真は最もデジタル化の恩恵を受けた分野の一つだという。機器の技術革新が進んだことで容易に写真撮影でき、複製も容易になった。商業写真は高品質な写真素材がネット上で安価に容易に共有され、社会全体の発展に寄与している。また、ファインアートの分野はSNSなどに舞台が移され、多くの人々が無償でデジタルアートに触れる恩恵を受けられるようになった。その一方で、複製や共有が容易な写真があふれる現在においては、個々の作品の希釈化が進んでいるという。商業写真においても需要を上回る大量の撮影写真が供給されるようになった。しかし写真家という専業の立場としては作品が埋もれ、相対的価値が低くなり、アート作品の提供やクリエイティブによる対価性を維持する困難さが増しているという。デジタルアートと現物アートの両分野に新しい切り込みで挑戦すること、これは専業写真家にとって写真作品の付加価値を取り戻すための切実な挑戦であると言えるとのことだ。なお同作品は、2021年11月にAlbertとぶどう株式会社と共同で、パブリックブロックチェーン上に半永久的に存在し続けるフルオンチェーン書き込み技術を開発したNFT-Driveを用いて、現物アート作品よりも先にNFT作品として発行した新しい試みにも取り組んでいる。

■作品紹介

アレクサンドル・ブロークはロシアを代表するシンボリズム(象徴主義)作家である。ブロークが生きたロシア革命時代、国民の言論が封殺される社会は、今も遜色なく繰り返される。ブロークの部屋は今も現存し、この作品の背景は小串氏が現地取材で撮影したものであり、ブロークの部屋に佇む、現代に生きる一人の若い女性が、自己のルーツが絡み合う中で社会に対して物言いにくい風刺を織り交ぜた作品であるとのことだ。
出典元:プレスリリース

■数量管理とブロックチェーン

写真作品は複製が比較的容易ではあるものの、作者は写真作品そのものだけでなく、紙質、余白、額縁、エディション数量など全体にも気を配る。そうしたファインアートとしての付加価値を、複製困難性を最大限に高めることで芸術財産としてより安心して所有できることを期待しているという。ブロックチェーンは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続し、取引記録を暗号技術を使って分散的に処理・記録するデータベースの一種で、(1)ネットワークの一部に不具合が生じてもシステムを維持でき、(2)なりすましが困難でデータ改ざんがほぼ不可能という特徴がある。ブロックチェーン上に作品のエディションナンバーやICタグのユニークIDを書き込み、作品と相互参照する事で複製をより困難にし、より確かな唯一の作品である事を明確にすることにより、付加価値を向上させる。
出典元:プレスリリース

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