ソフトバンクと日立、製造現場のDXを推進するサービスの提供に向けて協業を開始

株式会社日立製作所(以下、日立)は、ソフトバンク株式会社と、製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するサービスの提供に向けて協業を開始したと発表した。

両社はこの協業により、製造現場における作業員の動作や生産設備の稼働データなどの4Mデータを収集・蓄積・分析して生産状況を可視化するサービス(以下、製造現場可視化サービス)を提供する。この製造現場可視化サービスによって、生産ロスの要因を速やかに特定可能にすることで、製造現場における生産性の向上を支援する。まず、試験導入する製造業の顧客を募集し、検証を行った上で、2023年度内をめどにソフトバンクが提供を開始する予定だ。

製造現場可視化サービスの提供において、ソフトバンクは、今後提供予定の「プライベート5G」などのネットワークサービスや、クラウドサービスを活用して、4Mデータを蓄積するためのネットワークインフラ基盤を構築する。製造現場可視化サービスはマルチクラウドに対応している他、海外の工場のデータも専用ネットワーク経由で収集できるため、国内外の工場のデータを柔軟かつセキュアな環境で確認することが可能だ。また、日立は、4MデータをIoTやAI(人工知能)を活用して収集・分析するソリューションを提供し、生産状況を可視化する。両社は、ソフトバンクが持つネットワークやクラウドに関する知見と、日立が製造業として培ってきた実績やノウハウを生かして、製造業のDX推進における計画立案からサービスの導入までをワンストップでサポートする。

■協業の背景と概要

昨今、製造業においては、労働者不足が深刻な課題となっている他、国内外の市場での競争激化などを受けて、製造現場におけるさらなる生産性の向上が求められている。生産性の向上には、作業員や材料の不足、設備の故障、工程の滞留や不良品発生といった生産ロスにつながる要因を特定して改善していくことが重要だ。生産ロスの要因を特定するためには、現場の4Mデータを収集・蓄積・分析して、製造現場の状況をリアルタイムに可視化する必要がある。しかし、多くの製造現場は、デジタル化されておらずデータの取得・活用が難しいのが現状だという。

こうした中、ソフトバンクと日立は、各製造現場のニーズや課題に合わせて柔軟に導入できるサービスの提供に向けて、2021年からサービス構成や提供方法について検討を進めてきた。今回、基本的なサービス構成などが定まったことから、製造現場のさらなるDX推進を目的に、5G(第5世代移動通信システム)やIoT、AI、マルチクラウドなどを活用した製造現場可視化サービスの提供に向けて協業を開始したとのことだ。

■製造現場可視化サービスの特長

(1)4Mデータを収集してリアルタイムに分析、可視化
現場に設置したエッジカメラやIoTセンサーによって4Mデータを収集し、クラウド上に蓄積して分析することで、リアルタイムに生産状況を可視化することができる。設備の稼働率や生産ロスの発生状況、4Mデータの分析結果などを管理画面からいつでも確認できるため、作業員の不足や設備の故障、工程の滞留といった生産ロスの要因を速やかに特定し、改善につなげることが可能だ。なお、製造する商品によって製造工程が異なるため、サービスの導入においては何のデータをどのような手法で取得するかという課題があるが、日立が培ってきた自社の製造DXのノウハウを生かし、各製造現場に最適な4Mデータの収集方法を提供する。

(2)DXの計画立案からサービスの導入までをサポート
製造業のDXの推進には、現場のノウハウに加え、さまざまなニーズや課題の優先付けと、課題を解決するための先進的な技術の活用などが必要だ。ソフトバンクと日立は、両社が持つIT(情報技術)とOT(Operational Technology:制御・運用技術)に関するノウハウなどを生かして、DXの計画立案に向けた各製造現場のニーズや課題の整理から、課題解決の手法や技術の検討、最適な形態でのサービスの導入までをワンストップでサポートする。

(3)国内外の工場のデータを柔軟かつセキュアに収集・蓄積
ソフトバンクは、法人向けの5Gマネージドサービス「プライベート5G」などのネットワークサービスや、各種クラウドサービスを活用して、4Mデータを蓄積するためのネットワークインフラ基盤を構築する。マルチクラウドに対応しており、顧客の環境に応じて最適なクラウドサービスを選択できる他、国内のみならず、海外の工場のデータを専用ネットワーク経由で収集できるため、国内外に複数の工場を持つ企業も、各工場の生産状況を柔軟かつセキュアな環境で確認することが可能だ。

サービス構成のイメージ
出典元:プレスリリース

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