三井化学は、本研修を通じて2025年度末までに、化学プラントの複雑な現象に対するデータ解析や、プラントの状態を予測するモデル構築などができる生産技術系データサイエンティストを国内主要5工場すべてに配置する計画だ。
三井化学は、高効率で安全・安定した工場の実現に向けて、工場のデジタル化と先進技術の導入を積極的に推進している。同社は今後の工場エンジニアに求められるスキルを、過去の経験や理論に基づいた限定的な解析だけではなく、様々な機器や生産工程から得られるビッグデータによる多面的かつ深い解析ができる能力と考えているという。そのためのデータ解析には、生産技術に関する知識とデータ解析に関わる能力の両方が必要だ。また、同社は、主要5工場毎に生産品目や取扱装置・設備が異なるため、各工場に精通したデータサイエンティストを継続的に育成・配置することが必要と考えているとのことだ。
三井化学と日本IBMは、2015年から、データ解析が可能な工場エンジニアの育成において協業している。その中で、日本IBMは、製造業におけるデータ分析の実績とデジタル人材育成のノウハウを活かし、三井化学の生産技術分野における業務に必要なスキルの整理、育成施策の検討、研修の実施を通じて、三井化学の社内研修を支援してきた。さらにその後も、三井化学が社内講師により継続的に人材育成するための仕組みづくり、および高度なデータ解析ができる人材の育成プログラムなどを構築している。
本プログラムの構成は、基礎・応用・データサイエンティスト育成の大きく3段階とし、知識やスキルの保有を評価するだけでなく、「できることベース」で更にレベルを6段階で定義し、ビジネスの貢献度合いも合わせて評価する。更に、本プログラムの研修・認定は、アルゴリズム、統計・分析、データ倫理、プロジェクトマネジメントなどをOJTとOFF-JTを組み合わせて実施する。なお、レベル1のデータアナリスト基礎教育は生産技術系エンジニア全員(約250名)を受講対象とし、既に120名の教育を完了しているとのことだ。