昨今、国際的イニシアチブであるRE100(Renewable Enegy100%)をはじめ、脱炭素やカーボンニュートラルの動きに賛同する企業が増加し、事業活動で消費するエネルギーを再生可能エネルギーで調達する動きが広がっている。また、森林保護活動などの取り組みを排出権として購入することで排出量を相殺し「実質ゼロ」としたLNGの取引も始まっている。こうしたCO2排出量がゼロもしくは実質ゼロの電力・燃料を利用する企業は急増しつつあり、今後は年平均成長率60%で成長し2025年までには年間契約件数約180万件に達すると見込まれているという。投資家、協業先、消費者からこうした環境への配慮が評価される時代となり、企業規模や業種を問わずCO2ゼロ電力を採用する企業が大幅に増加すると見込まれているとのことだ。
既にCO2ゼロ電力・燃料を導入した企業へのヒアリング調査の結果では、従来の情報発信ではCO2ゼロ電力を使用していることが「効果的に伝わらない」と感じている企業が約6割に達したという。こうした課題を解消すべく同社は、協業先・利用者の購買行動によるCO2排出削減への貢献量を算出するサービスの提供を開始する。これは、利用者のそれぞれの購買行動がどれだけ排出削減に貢献するかを明確にし、効果的な発信を可能にすることで、協業先・利用者の購買意欲を高めるものとのことだ。
CO2ゼロ電力・燃料を導⼊し、その効果としてのCO2排出削減量を算定する多くの場合は、CO2ゼロ電力が導入されなかった場合の排出量「BaU(成り⾏き)排出量」との差を排出削減量として計算する。しかし、利用者視点で見た場合、CO2ゼロ電力を導入している企業と導入していない企業を比較して購買意思決定を行うことになるため、この場合の削減量は、他社製品・サービスのリファレンス排出量との差として定義すべきであると考えているという。同社は、企業の事業内容や競合他社の製品・サービスに合わせ、カスタマイズした方法論を構築するとのことだ。該当する事業分野における他社の現状の環境負荷や利用者の商品・サービスの利用状況等の情報を参考に、外部環境の要素を洗い出す。こうした複数の変化要因を組み合わせ、起こり得るシナリオを複数示し、多様な視点から複数のモデルを構築し、各シナリオの詳細に合わせた排出削減量を算出するとのことだ。
消費者は、CO2ゼロ電力・燃料を活用する企業の製品・サービスを購入することで、購入分に相当する排出削減に貢献できる。環境に配慮した事業活動を行う企業を支援することは、自然エネルギーの普及や地球温暖化の防止への貢献に繋がるため、こうした行動に対して証明書を発行してその貢献を見える化することで、利用者の心理にインパクトを与え、行動変化を促すことができるとのことだ。