アストロスケールの商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」、打上げに成功

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングスの子会社で人工衛星システムの製造・開発・運用を担う株式会社アストロスケール(以下、アストロスケール)は、同社の商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ、Active Debris Removal by Astroscale-Japan の略)」が2月18日深夜(日本時間)にニュージーランドのマヒア半島にあるRocket Labの第1発射施設(Launch Complex 1)より打ち上げられ、軌道投入に成功したことを発表した。

ADRAS-Jを搭載したRocket Labのロケット「Electron(エレクトロン)」は23時52分(日本時間)に打上げが行われ、計画通り飛行、その後、高度約600kmにて衛星を分離し、衛星から受信した信号により正常に通信ができることを確認したとのことだ。

アストロスケールは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2※1)フェーズⅠの契約相手方として選定、契約を受けて、ADRAS-Jを開発。ADRAS-JはRocket Labのロケット「Electron(エレクトロン)」による打上げ・軌道投入後、非協力物体である日本のロケット上段への接近・近傍運用を実証し、長期にわたり放置されたデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行う。本ミッションは、実際のデブリへの安全な接近を行い、デブリの状況を明確に調査する世界初※2の試み。これはデブリ除去を含む軌道上サービスにおいて不可欠な要素である。

本ミッションは、ADRAS-J搭載機器のチェック等を行う初期運用フェーズに移行しており、これを完了した後、ランデブや近接接近、近傍運用等の技術実証に挑む予定。本ミッションで接近・調査の対象となるデブリは、2009年に打ち上げられたH2Aロケットの上段(全長約11m、直径約4m、重量約3トン)。これは非協力物体※3であり、位置情報を発信していないため正確な位置情報を取得することが不可能であるため、ADRAS-Jは地上からの観測データや搭載センサを駆使して接近を行う。

※1 CRD2:Commercial Removal of Debris Demonstration の略称
※2 過去に同様のミッションが実施されたか否かを同社にて調査(2023年)
※3 非協力物体:接近や捕獲・ドッキング等を実施されるための能力・機器を有さない物体のこと

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