Hmcomm、成田国際空港と音による設備異常検知の実証実験を開始
2024/11/27
~FAST-Dモニタリングエディションを空調設備の予知保全に活用~
Hmcommは、成田国際空港が取り組む設備管理業務の効率化に関する課題を解決するために、Hmcommの保有する異常音検知に関するノウハウの活用と、遠隔での録音が行えるアプリケーションである「FAST-Dモニタリングエディション」を活用した実証実験を提案してきた。成田空港の主催するアクセラレータープログラム「Narita Airport OPEN INNOVATION PROGRAM 2023」に採択されたことがきっかけとなり、2023年12月から音による空港内空調設備の異常検知に関する検証を行っていた。
今回の結果から今後も設備管理業務の高度化につながる技術であると考え、実証実験を開始することとなった。
今後は、設備のモニタリングデータ収集に加えて、異常検出時の対応業務フローの明確化やアプリケーションの拡充・高度化を目的とし、評価利用を通じながら現場作業者の意見を取り入れてアプリケーションの改良に取り組むことで、スマートメンテナンスおよび保全業務のDX化に取り組む。
これによって、①設備保全業務の省力化・効率化 ②音データを基にした異常早期発見の実現 ③安定した品質での設備メンテナンスの実現 につながると考えている。
■メンテナンス業務に関する社会課題
現場担当者の悩みごとのトップとして現場作業員の不足があるが、現場作業員の採用に対しては89.7%の担当者が「集まりにくい」と回答していることから、慢性的な人手不足を解消することが非常に難しいことが分かる。ほかにも、60歳以上の作業員比率は約37.2%以上となっており定年退職の対応が必要となるが、約77.2%の担当者からは「現場従業員の若返りが図りにくい」という悲観的な回答が出ており、抜本的な改善までは時間を要することがうかがえる。(※1)
作業員の離職率は18.7%あることから、人手不足に関する課題は採用の難しさだけでなく、人材が十分に定着しないことも課題として残っている。5人に1人が離職することからも、感覚的な知識や経験が重要視される業務であるにもかかわらず、教育に関するコストで大きなロスが生じていることがうかがえる。(※2)
外国人技能実習生のビルメンテナンス業務への受け入れは、72.2%の企業が前向きに検討中であることから、文化社会的背景などを含めてこれまで以上に多様な価値観を持った業務チームが構成されることがうかがえる。「音」に関する点検項目は抽象的な表現がほとんどである反面、メンテナンス品質維持のためには、数値情報を基にした定量的なコミュニケーションを取る必要が増していくことが予想される。(※3)
(※1):公益社団法人全国ビルメンテナンス協会発行 ビルメンテナンス情報年鑑 2023 (第53回実態調査報告書)より抜粋
(※2):厚生労働省 令和3年雇用動向調査結果の概要より抜粋
(※3):公益社団法人全国ビルメンテナンス協会発行 ビルメンテナンス情報年鑑 2020 (第50回実態調査報告書) -月商1億円以上の事業所における 在留資格「特定技能」を有する外国人の受け入れ意向(「受け入れを前提に検討している」「周辺状況を調査検討中である」の計)
■FAST-Dモニタリングエディションにて提供できる基本機能
・遠隔での点検効率アップ
現場の状況を24時間365日監視し、好きなタイミングで結果を確認できる。SIMルータ等のネットワーク機器と組み合わせることで、普段立入が難しい場所や遠い場所も関係なく、複数場所を音によって同時に監視できる。
・簡単に増台や撤去が可能
初期費用が最小限に抑えられることから、作業員を採用するよりも柔軟な業務対応が可能である。設置や設定はすべて現場作業者が対応でき、現場側のペースで導入を進めることができる。
②分析データを基にした情報共有
・分析データの可視化
AIスコアの移り変わりを時系列ごとの数値情報で確認でき、AIが「いつもと違う」を検出した項目について、音の情報を目で見える形でチームメンバーに共有できる。データを見ながら正しく情報共有できることから、異常状態に関する暗黙知(ノウハウ)を定量的に示すことや時系列比較に役立てることができる。
・コミュニケーションの効率化
AIスコアが高いものについては、録音データをダウンロードできるため、故障が24時間365日いつ発生しても、実際の音声データを活用して関係者に説明できる。