テレワークで、ワークライフバランスはどう変わる?保つために重要なポイント
2020/11/2
コロナ渦で一気に普及したテレワーク。一部の業種しか導入が難しかったり、業務の一部に支障をきたしたりするなど様々なデメリットもありますが、通勤時間の削減などによって余暇時間が増えるなど多くのメリットもあります。
テレワークでワークライフバランスはどう変わるのでしょうか?
Contents
テレワークとは?
テレワークの種類
次に「モバイルワーク」。一日のうちに場所を転々としたり、移動しながら業務処理をしたりするスタイルです。タブレットやスマートフォンの普及、屋外でのインターネット環境の整備などによってこうした働き方も難しく無くなっています。
最後に、「施設利用型テレワーク」。コワーキングスペースや会社で契約するサテライトオフィスなど、オフィスとは異なる場所へ赴き、業務をこなすスタイルです。家族が日中家にいるなど、在宅勤務が難しい家庭環境などや、余暇時間の外出予定に合わせ、目的地の近隣のコワーキングスペースで仕事をするなど、利用目的は様々です。
ワークライフバランスとは?
様々な解釈がなされていますが、「仕事と生活をきっちりと分ける」という誤った考え方で認識されているケースも少なくありません。仕事と生活は互いに相反するものではなく、明確な比率で分けられるものでもありません。生活の充実によって仕事もはかどり、それによって私生活にうるおいが生まれる。この好循環が成り立つ状態こそが、ワークライフバランスが取れている状態なのです。
政府によるワークライフバランスの定義とは?
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
具体的には、以下のような社会を目指すべきと定義されています。
(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。
(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間や、自己啓発や地域活動に参加するための時間などが持てる豊かな生活ができる。
(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。
テレワークで、ワークライフバランスはどのように変化したのか?
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの組織行動研究所が、2020年3月に行った「テレワーク緊急実態調査」によると、テレワーク環境下で、ワーク・ライフ・バランスはどう変化したかについて、1番多かったのは「変化しない」タイプで40.3%、次いで多かったのは「ライフの質のみ向上」するタイプで21.0%でした。
大多数に変化はないものの、テレワークが私生活の充実を促す可能性があることを示唆しています。
ワークライフバランスを重視することで得られるメリット
優秀な人材の確保
また、実態として社員が働きやすくなることで、優秀な社員が定着し、長く活躍してくれるようにもなるでしょう。
従業員のエンゲージメントの向上
多様な人材の活躍
テレワークと掛け合わせることで、これまで雇用できなかったような地方に住む優秀な人材を獲得することもできるでしょう。
業務効率の向上
残業削減への取り組みが業務効率を向上させ、労働生産性を高めることにつながると期待されます。
テレワークで起こる問題点
隠れ残業による長時間労働
テレワークによるコミュニケーション量の低下を補おうと、オンラインミーティングが増えたり、ビジネスチャットで大量のメッセージを送り合ったりすることで、かえってコミュニケーション量が増え、日中に業務に当てられる時間が減っているという声も聞かれます。そうした結果、残業時間が増えているのですが、マネージャーは、部下が実際にいつまで働いているのか見えなくなってしまっているため、これを管理・是正することが難しくなっているのです。
オンとオフの区別がつかなくなる
自宅に仕事用のスペースがなく、生活するスペースと共用する形で仕事をしていると、仕事への集中度も低下しかねません。
成果主義/セルフマネジメントの必要性
というのもジョブ型雇用の方が、成果を可視化しやすいからです。テレワークが一般的になると、単純な労働量だけでは、社員を評価できなくなります。明確な成果があってはじめて評価される。ある意味成果主義への移行が始まっているといえるのです。
個々人にも、成果を達成するためのセルフマネジメント能力が求められていくことでしょう。
テレワークで「ワークライフバランス」を保つために重要なこと
勤怠管理システムの導入
また、従業員がその日にどんな作業をしていたか記録できる機能も不可欠。外勤の営業マンであればGPSなどの活用も考えられます。
労働時間制の見直し
フレックスタイム制とは、1週当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、労働者が始業と終業の時刻を決められる制度です。
朝が忙しい家庭は、始業を遅らせ、終業もその分遅くするといった柔軟な働き方ができるようになります。従業員が労働時間を調整しやすいため、テレワークに合った制度だといえでしょう。
しかし、始業・終業の時刻を労働者の決定に委ねていなければならず、コアタイム(必ず業務をしている時間)以外に、会議出席を義務付けるようなことができない点には注意が必要です。
みなし労働時間制(裁量労働制)
裁量労働制とは、労働時間と成果・業績が必ずしも連動しないような職種で適用され、あらかじめ労使間で定めた時間分を労働時間とみなして賃金を払う形態です。残業してもしなくても、一定の残業代が支払われるような仕組みとして認知されています。
裁量労働制でテレワークを実施する場合こそ、従業員が働きすぎていないか気を払わなくてはいけません。従業員の健康確保の観点から、勤務状況を把握し、適正な労働時間管理を行う責務を、会社は負っています。
―事業場外みなし労働時間制
「会社以外で仕事をする場合に、所定の時間労働したとみなす制度」のことをいいます。つまり会社の外で働く場合、どれだけ働いても一定時間の労働時間とみなされる制度です。ただし、事業場外みなし労働時間制の特徴は、「業務上通常必要とされる時間」も労働時間なること。つまり、会社の所定労働時間が8時間とされていても、通常10時間かかる業務であれば、10時間をみなし労働時間としなければなりません。
テレワークにおいて、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難であるというためには、以下の要件をいずれも満たす必要があります。
テレワークを行わず労働時間中、事業場内にいる場合などは、事業場外みなし労働時間制の適用はありません。
360℃評価の導入
社員の納得感も高いとされるこの評価制度では、テレワークの本格化によって、上司と部下、あるいは従業員間の関係性が変化している今こそ適した評価制度のひとつだといえます。