自動運転とはどんな技術?6つのレベルや開発状況について説明します
2020/11/9
世界中で開発が進んでいる自動運転。自動運転は6つのレベルに分かれており、それぞれ機能が違うだけでなくドライバーの責任範囲も異なります。ここでは、自動運転技術の概要や自動運転レベルごとの特徴や違い、自動車メーカーの開発状況を説明します。
Contents
そんな自動運転ですが、そもそも自動運転とはどのようなことを言うのか、自動運転レベルによってどのような特徴や違いがあるのか、自動車メーカーごとの自動運転の開発状況を知らない人は意外と多いもの。自動運転技術が社会にどのように普及していくのかを知るためには、自動車運転に関して幅広い知識を持っておくことが大切です。
そこで今回は、自動車運転の仕組みや6つのレベル、日本や海外の自動車メーカーにおける自動運転技術の現状について、詳しく説明します。
そもそも自動運転とは?
ここからは、自動運転の仕組みや開発の歴史、自動運転のレベルがどのように定義されているのかということについて、詳しく説明します。
機械が自律的に自動車を運転する仕組み
それは、自動運転にも、人とシステムが一体となって車を運転するものや、人間の操作に頼らずシステムのみで車を動かすものなど、幅広い技術があることが要因となっています。そのため、一言で「自動運転」といっても、人によっては認識が異なるケースがあるため注意が必要です。
自動運転の歴史は長い
その後も世界中で自動運転の開発が行われ、2017年にはGoogleが「ロボットタクシー」の公道走行実験を行ったり、2018年には「Waymo」が自動運転車配車サービス「Waymo One」を提供開始するなど、自動運転の一般化に向けた取り組みは現在も続いています。
自動運転車の開発は、自動車会社だけでなくIT企業やベンチャー企業など、さまざまなジャンルの企業が開発競争を行っています。また、最近はAIや5Gを活用した自動運転技術の開発にも注目が集まっています。
自動運転のレベルはSAEを参考にしている
レベルの分け方は、米国自動車技術者協会(SAE)が定めたレベルを用いています。SAEは、自動車全般や航空機、鉄道や航空宇宙用ビークルなどを対象として、人間に役立つモビリティ技術を促進している団体です。自動車の馬力や自動車用オイル分類の標準化など、さまざまな分野での標準化活動を行っているだけでなく、機関誌の発行やイベントの開催、技術者の育成などを行っているのが特徴です。
以前は米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が定めた自動運転レベルを採用していた時期もありましたが、日米で認識が異なるのはよくないとされ、現在はSAEの自動運転レベルに統一されています。
自動運転の6つのレベルとは?
自動運転レベルは、自動車はどれくらいの自動運転性能を持っているのかを把握するだけではありません。万が一自動運転車が事故を起こしたときに、自動車運転レベルに応じて保険の対象範囲を決めるための基準にもなっているのです。
そのため、今後普及するであろう自動運転車を利用する際に、どのレベルの自動運転車なのか、レベルごとにどのような違いがあるのかを知っておくことが大切です。ここからは、自動運転レベルごとの特徴について説明します。
自動運転レベル0
急ブレーキ時のタイヤの固定と解除を自動的に繰り返すABS(アンチロック・ブレーキシステム)や、死角検知、前車走行通知やソナーセンサーによる衝突回避通知といった技術が搭載されている車は、自動運転レベルが上がると思うかもしれません。ですが、これらの仕組みは運転操作に関与しないことから、自動運転レベル1以上に該当しないのです。
自動運転レベル1
例えば、高速道路において前方車両を設定したら、その車の速度や車間距離に応じて自動的に自動車を加減速するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が自動運転レベル1に該当します。ほかにも、車線からはみ出さないようにハンドル操作を行う機能である「LKAS」や、駐車の一部を支援してくれるシステムなども、自動運転レベル1に該当します。
自動運転レベル2
ちなみに、現在公道を走行している自動車の中では、自動運転レベル2のものが最高水準となっています。すでに自動運転レベル2の要件を満たす自動車が各自動車メーカーから販売されているので、実際に自動運転レベル2の自動車を体験したことがあるという人は多いかもしれません。
自動運転レベル2までの自動車を使用する際の注意点は、事故を起こした場合の過失責任をすべてドライバーが負うこと。自動運転レベル2であっても、その機能があくまでドライバー主体の運転を「サポート」しているものであることを知っておきましょう。
自動運転レベル3
しかし、システムに委ねて自動運転をしている場合、ドライバーはスマートフォンでコンテンツを楽しんだり、車載ディスプレーを操作・閲覧することが認められます。それによって今まで以上に移動中の時間を有効活用できるようになったり、移動のストレスを軽減できるようになるでしょう。
2020年4月からは、自動運転レベル3の公道走行を認める、「道路交通法」と「道路運送車両法」が施工されたため、今後日本の公道で自動運転レベル3の自動車が走る日は近いでしょう。ただし、万が一事故が発生した場合は、事故の発生状況や保険会社の規定によってはドライバーに責任が発生してしまう可能性もあるので、保険会社ごとの規定をよく確認しておく必要があります。
自動運転レベル4
特定条件下での自動運転という点では、自動運転レベル3と同じように思えるかもしれません。しかし、自動運転レベル3は、システムが自動運転を継続できないと判断した場合にドライバーが運転を引き継がなければなりません。いざというときに運転しなければならないという意識を持っておかなければならないため、自動運転レベル3と4では走行中の過ごし方に大きな違いが出るでしょう。
自動運転レベル5
しかし、自動運転レベル5を実現するためには、法整備や事故発生時の法的責任、交通環境の整備といったさまざまな課題があります。自動運転技術の開発だけでは実現できない部分もたくさんあるため、今後どのように自動運転が普及していくのかを注視しておきましょう。
日本の自動車メーカーにおける自動運転
ここからは、日本の自動車メーカーにおける自動運転技術の開発状況について、詳しく説明します。
トヨタ自動車
独自のAI技術も活用することで、今まで以上にドライバーへの支援を充実させることも目指しており、より安全で確実な運転を可能にするだろうと言われています。それに加えてレクサスの強みである快適な乗り心地と静粛性も重視されているため、より上質な移動時間を過ごせるようになるでしょう。
日産自動車
最近は高速道路の同一車線内でハンズオフが可能な「プロパイロット 2.0」が搭載されている車種が話題。ナビゲーションシステムで目的地を設定することで、高速道路の本線と合流するとナビと連動したルートの走行支援を開始してくれます。ドライバーが周囲の状況や自車の状況を常に監視できる条件になっていれば、ハンズオフで走行を支援してくれるのでより快適な移動ができるでしょう。
ホンダ
自動運転レベル3の機能を搭載した「レジェンド」には、一定条件下の高速道路であればドライバーが周囲の環境から目を離して自動車を走行させられる「アイズオフ技術」が採用されているのが特徴。米ゼネラル・モーターズ(GM)との連携も深めており、自動運転レベル4の開発にも出資していることから、今後の自動運転技術の進歩が期待されています。
海外の自動車メーカーにおける自動運転
ここからは、海外の自動車メーカーにおける自動運転について、詳しく説明します。
テスラ
また、これらの車両には、将来的に完全自動運転が利用できるようになったときでも必要な機能を提供できるよう、最新のハードウェアが標準装備されています。ソフトウェアのアップデートにより常に最新の機能で運転をサポートしてもらえるとともに、法改正などの社会情勢の変化にスムーズに対応できるのも魅力です。
ボルボ
この技術を活かした自動運転技術の開発により、ボルボ初の完全自動運転車が実現されるのではないかと言われています。
メルセデスベンツ
「DRIVE PILOT」を作動させて自動車を走らせていれば、周囲の環境から目を離してスマートフォンを操作することもできるので、より快適な移動時間を過ごせるようになると期待されています。ただし、あくまで自動運転レベル3なので、環境の変化などによってシステムが自動運転を維持できなくなった場合は、ドライバーがすぐに運転を変わらなりません。
日本では自動運転に関する法整備が遅れているのが課題
また、自動運転レベル4や5になると、自動車だけでなくインフラの整備も必要になるので、より法整備を整えるのは難しくなります。自動車メーカーによっては自動運転レベル4や5の自動車開発を進めているところもあるので、よりよい交通社会を築き人々の移動の負担を削減するためには、スムーズな法整備が求められます。
自動運転の仕組みを知ったうえで自動運転技術の普及状況を注視しよう
ここで説明した内容を参考にして、自動運転の仕組みを知ったうえで自動運転技術の普及状況を注視し、時代の変化にスムーズに対応できるようにしておきましょう。