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スマート自治体とはどんな行政システム?実現に向けた施策も紹介

生産年齢人口の減少を背景に、総務省では少ない人員で変わらぬ住民サービスを提供できるよう事務処理のデジタル化や自動化の検討をはじめています。こうした新しい自治体の仕組みはスマート自治体と呼ばれており、実現に向けた施策を紹介していきます。
少子高齢化の影響による、生産年齢人口(15歳から64歳まで)の減少は企業だけの問題ではありません。総務省でも高齢者人口がピークを迎えると言われる2040年前後をターゲットにした次世代の自治体行政のあり方を検討しはじめています。とくに地方自治体では企業と比べ、各種申請や情報の管理など、デジタル化が遅れている側面があります。そのため、デジタル化を推進しながら、AIやRPAを活用することで、職員の事務処理を自動化することも視野に入れています。さらに標準化された共通基盤を使って効率的にサービスを提供することを目指しており、こうした新しい自治体像のことをスマート自治体と呼んでいます。ここではスマート自治体の概要に触れながら、実現に向けた施策も紹介していきます。

そもそもスマート自治体とは?

スマート自治体とは、AIやRPAツールなどを活用することで、職員が行っている事務処理を自動化したり、標準化された共通基盤を用いて効率的にサービスを提供する次世代の自治体像のことを指します。2040年には65歳以上の人口がピークを迎え、毎年100万人近い人口が減少することが予想されていますが、総務省ではこうした超高齢社会になっても、いまと変わらぬ住民サービスを地方自治体が提供できるのか、危機感を持っています。そこで自治体戦略2040構想研究会を立ち上げ、従来の半分程度の職員でも自治体が本来担うべき機能を発揮できる仕組みを作るため、検討を続けています。その鍵となるのが、スマート自治体です。

スマート自治体の実現が求められる背景

2040年ごろにやってくるであろう超高齢社会で地方自治体はどのように住民サービスを提供していくのか? そんな先を見据えた議論がはじまっています。スマート自治体と呼ばれる新しい自治体像が求められる背景を解説します。

自治体でも労働力の低下が深刻化している

世界の多くの国々で少子高齢化が進行していますが、なかでも日本は世界トップクラスに高い高齢化率となっています。現在の日本の総人口は1億2577万人(令和2年11月1日現在)で、2008年の1億2808万人をピークに減少に転じています。2040年頃に高齢者人口がピークを迎え、2048年には人口が1億人を割り込むという予想もあります。さらに2060年になると、国民のおよそ2.5人に1人が65歳以上の高齢者になるという予想もあり、労働力の中心である生産年齢人口(15歳から64歳まで)が大幅に減少することが確実視されています。

生産年齢人口は1995年に8726万人でしたが、2015年には7728万人に減少し、2040年に6000万人を割り込むと言われています。これほど生産年齢人口が落ち込めば、企業はもちろん、地方自治体でも労働力の確保が大きな課題となるでしょう。したがって、地方自治体は限られた人員で自治体業務を運営しなければならなくなっていきますが、現在、紙での申請や手続きが大半でデジタル化が大きく遅れています。そこでスマート自治体への転換が求められているわけです。

行政の財政負担が悪化している

すでに自治体によっては財政負担が大きく、健全な運営を続けるのが困難になっているところがあります。今後、さらに高齢者の人口が増え、労働力が不足していけば、税収が落ち込む一方で社会保障費やインフラ修繕費は増加していきます。行政の財政がますます逼迫するとみられており、少ない人材で事務処理をこなす体制が築けないか、いまから検討がはじまっているのが現状です。

住民や企業が不便さを感じている

民間事業ではインターネットを活用した申し込みや、手続きが主流になっていますが、自治体の行政サービスでは紙での申請が中心です。そのため手続きに時間がかかることも多く、不便さを感じている住民や企業が多いのが現状です。手続きをデジタル化し、スピーディな処理ができるスマート自治体への期待が高まっています。

スマート自治体研究会が示す目指すべき姿とは?

2018年9月開催されている「地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会」は、通称、「スマート自治体研究会」と呼ばれています。このスマート自治体研究会で提示されている地方自治体が目指すべき姿を取り上げます。

人口減少に対応できる行政サービスの維持

デジタル技術を積極的に活用して、人口減少が深刻化しても、自治体は持続可能な形で行政サービスを提供し続けることを目標にしています。スマート自治体が実現すれば、医療や福祉、教育、子育て、防災、そしてインフラなど、現在の住民福祉の水準も維持されます。

職員を事務作業から解放する

自治体では紙での申請が中心で、職員は書類をシステムに入力する作業を膨大に抱えており、大きな事務負担になっています。AIや自動化ツールのRPAを活用することで、職員でなければできない、より価値のある業務に注力できるような仕組みへの転換を促します。

ベテラン職員の経験をAIに取り込む

生産年齢人口の減少と同時に、高齢者が年々増えていきます。それは経験豊富なベテラン社員のリタイアが増えていくことでもあります。そんな彼らの経験をAIに取り込むことができれば、団体の規模・能力や職員の経験年数に関わらず、誰でもミスなく事務処理を行えるようになります。

スマート自治体を実現するための3つの原則

地方自治体など行政機関では、過度に継続性が重視されており、システムや業務の流れが硬直化している面があります。しかし、スマート自治体を実現するためには、これまでの現在の仕事の仕方や流れを抜本的に見直すことが必要となります。とくに以下の3つの原則が欠かせません。

行政手続の電子化

インターネットが普及した現代では、あらゆることがネットワーク上で処理できるにもかかわらず、行政手続きの大半はいまも紙です。とくに地方自治体では交通手段も限られており、住民にとっては窓口に来ること自体が負担になっています。また、職員にとっても、紙で提出された書類をシステムに入力する作業が膨大にあり、大きな負担になっています。AIやRPAなど情報通信技術を使った作業の効率化も、デジタル化が前提になります。

行政が利用するアプリを利用方式にする

自治体では1960年代から情報システムの導入がはじまりましたが、現在の行政アプリケーションは自前調達式なため、調達仕様書の作成や、システムの業者選定・契約締結、システム設計、庁内関係課や他団体との調整など、多くの手続きが介在していました。全国的なサービスを利用すれば、自治体職員の事務負担は大きく軽減することができます。

自治体もベンダーもICT活用に注力する

自治体もベンダーも、システムの構築・保守管理といった守りの分野はできるだけ効率化した上で、AI・RPA等のICT活用といった攻めの分野へ集中して人的・財政的資源を投資すべきです。

スマート自治体を実現するために必要な施策とは?

では、スマート自治体を実現するためにどんな施策が必要となるでしょうか? 実現に向けたロードマップを考えます。

業務プロセスを標準化する

提供しているサービスが同じでも、自治体によって業務のプロセスは独自に進化してきたため、統一されていません。そこで人口規模や組織等で類似する自治体間で業務プロセスを比較した上で、抜本的な見直しやリデザインを行い、業務プロセスを標準化する必要があります。

システムを標準化する

自治体で活用されているシステムは標準化されていません。1960年代に情報システムの導入がはじまりましたが、それぞれの地域で多くのカスタマイズが加えられたことによって、標準化の妨げになっていると言われています。そこで自治体はシステムの更新時期を踏まえながら、速やかに標準的なシステムへの移行を終わらせ、遅くとも2020年代には、複数のベンダが全国的なサービスとしてシステムのアプリケーションを提供することを目標にしています。

ICTを積極的に活用する

RPAやAIといった情報通信技術の採用は、最も自治体で遅れている分野です。そのため、数値予測やニーズの予測にAIを活用し、住民や企業が行政サービスを便利に利用できるよう検討が進められています。また、パソコンへの入力作業など膨大な事務処理を抱えており、RPAを積極的に導入した自動化も提言されています。

電子化やペーパーレス化を促進する

現在、政府・自治体での大半の手続きは紙媒体になっています。それがデータの連携を妨げている面があります。また、業務が増える理由にもなっています。そのため電子化やペーパーレス化に抜本的に取り組む必要があります。同時にデータの形式を標準化させる必要があります。

入力する項目や様式を統一する

自治体によって申請や手続きで入力すべき項目や様式が統一されていない点が、横断的なデータの連携を妨げています。そのため住民や企業からの申請は、省令などによって標準様式・帳票を設定する必要があります。同時に住民や企業に対する通知・交付もシステムの標準を検討・設定する際にあわせて、様式や帳票の標準化を進めることが求められています。

セキュリティ対策を充実させる

マイナンバーの利用時など、全国の自治体や行政機関が情報のやりとりをする場合、ネットワークとの接続が不可欠になりますが、その際には情報セキュリティポリシーを遵守など、セキュリティをいままで以上に高める必要があります。同時に個人情報保護条例についても、オンライン結合制限を見直す必要性が指摘されています。

スマート自治体を運営する人材を確保する

スマート自治体への移行には専門性の高い人材の確保が欠かせません。そのため外部人材をCIOやCIO補佐官に任用するほか、単独で登用することが難しい場合には複数団体での兼務を前提とした登用が必要になります。また自治体の職員も高いITリテラシーが要求されるため、その都度、研修を行っていくことも大切です。

スマート自治体の必要性や方策を知っておこう

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