リモートワークで導入すべきツールの種類とは?注意点も知っておこう

リモートワークでは、独自のシステムだけでなく、外部チャットやWEB会議システムなど多くのツールが利用できます。具体的なリモートワークツールの特徴について知るとともに、リモートワーク導入の注意点も知っておきましょう。

世界中に広まった感染症により外出や面会が制限され、自宅から遠隔で仕事を行う「リモートワーク」が普及しています。複数人での面談や通勤での感染対策として効果的であり、日本政府も企業に対してリモートワークの導入を推奨しています。

しかしながら、今までリモートワークの経験がない企業にとっては、現状の業務をどのようにリモートワーク化できるのかアイデアに困っているかもしれません。中には、「オフィスを離れて仕事をしても、今まで通り仕事が進むのか」と不安を持つ経営者もいるのではないでしょうか。

この背景として、リモートワーク導入にあたり、具体的にどのようなツールを使用できるのか知らないことが挙げられます。

近年は、さまざまなツールを用いることで、遠隔での会議だけではなくプロジェクトの進捗確認など、業務の効率化が進んでいます。さまざまなかつツールを活用してリモートワークを推進できるよう、ここでは、リモートワークを進める際におすすめのツールを紹介します。

リモートワークで導入すべきツールの種類とは?

リモートワークで活用したいツールの種類として、次の5つが挙げられます。

・ビジネスチャットツール
・WEB会議ツール
・リモートアクセスツール
・勤怠管理ツール
・バーチャルオフィスツール

以下では、リモートワークで導入すべきツールの具体例を紹介します。

ビジネスチャットツール

リモートワークにおいてまず重要なのが「ビジネスチャットツール」です。ビジネスチャットツールとは、1対1のチャットはもちろん、チームごとにグループを用意し、チャット形式でメッセージをやり取りするツールのことです。

リモートワークでは、オフィスのように同僚の様子が分かるわけではありません。ちょっとした依頼事項や質問も、自宅からでは声をかけづらいというデメリットがあります。このような場合、ビジネスチャットツールを利用すれば、相手のオンライン・オフライン状態を見ることができ、離席情報が確認できます。メールよりも素早いレスポンスが期待できることより、社内コミュニケーションの新しいあり方として注目されています。

以下では、ビジネスチャットツールの具体例を3つご紹介します。

Slack

アメリカのSlack Technology社が提供する「Slack」は、世界シェアNo.1のビジネスチャットツールです。GoogleドライブやDropboxなど、外部のWEBサービスと連携させることができます。そのため、企業や個人ごとにカスタマイズしたチャット環境をつくりやすいのがメリットです。

Slackでは、プロジェクトや顧客別などで自由に「チャンネル」というグループチャットを設定すると、後から参加した人でも履歴を見ることができたり、チャット内での検索ができたりと、つかい勝手が良いのが評判です。メールだけの引継ぎよりもスムーズに必要な情報をキャッチアップできるといった便利さもあり、アメリカではメールからSlackに移行した会社が多いともいわれています。

ChatWork

Chatwork株式会社が提供するクラウド型ビジネスチャットツールが「ChatWork」です。導入企業24万社を超え、メッセージのやりとりに限らずタスク管理やファイル共有、ビデオ通話などもできます。IDを交換すれば、社外の人ともやり取りができるため、営業ツールとして使用している企業も少なくありません。

ChatWorkのポイントとしては、依頼されたタスクをTo-Doとして管理ができることです。自分用に作成したタスク、または相手から割り振られたタスクを完了させると、チャットに通知され、相手に知らせることができます。自分のやるべきことの把握や、誰かに業務を依頼をしたときの進捗確認に役立つでしょう。

LINE WORKS

SNSのLINEが、ビジネス向けチャットツールとして提供しているのが「LINE WORKS」です。多くの人がつかい慣れているLINEの画面や機能を残しているため、つかいこなすまでに時間がかかりにくいのが魅力です。カレンダー、掲示板、アドレス帳、アンケートなど機能が充実しており、そのつかいやすさが幅広い年代に受け入れられているようです。

LINE WORKSでは、LINEと同じように「既読」表示機能があります。相手が確認したのかどうかチェックできるため、この既読機能を活用すれば、スムーズに仕事を進められるようになるでしょう。

WEB会議ツール

WEB会議システムを利用すれば、オフィスから離れた場所にいても複数人で会議を進めることができます。パソコンやタブレット・スマートフォンなど、好みの端末を使って会議に参加できるのも魅力です。

WEB会議ツールは、ダウンロードするだけで導入を開始できるものが多く、導入のしやすさやコストの低さが魅力的です。以下では、WEB会議におすすめのツールを3つご紹介します。

Zoomミーティング

「Zoomミーティング」はアメリカから始まったクラウド型のビデオチャットサービスです。同時接続可能人数が1,000人と、大きな会議でも活用されています。参加者はアカウント登録が必要なく、誰でも簡単にWEB会議が始められるのが魅力です。

また、Zoomミーティングは、接続の安定性に定評があり、ストレスなく会議を進めやすいのも良いところです。多くの企業が利用しているため、Zoomミーティングをつかっていれば社外の取引先との面談もオンライン上でスムーズにおこなえるでしょう。

Skype

「Skype」は、ビデオチャットツールとしての歴史や実績が長いのが特徴です。Skypeユーザー同士であれば無制限で無料通話ができるため、コストを抑えてコミュニケーションもできます。1対1でのグループ通話においても、クリアな音声とHDビデオが提供されているので、良好な環境でWEB会議を進められるでしょう。

また、Office365を契約している場合には、Skypeのビジネスプランを利用することもできます。Microsoft Officeを採用している企業は多いため、企業のシステムとうまく連携させながらリモートワークを導入できるでしょう。

V-CUBE ミーティング

「V-CUBEミーティング」は、国内で13年連続シェアNo.1を獲得しているのが特徴です。操作・運用まで一貫したサポート体制が用意されているので、リモートワーク導入に慣れていない企業でも取り入れやすいでしょう。参加者のIPアドレスを制限をできるので、不正アクセスも防ぐことができます。

また、品質の高いの映像・音声技術を採用していることから、長時間の会議でもストレスを感じにくいのも魅力です。途中で会話や映像が途切れる心配も少ないので、しっかりと会議に集中できるでしょう。

リモートアクセスツール

リモートワークでは「リモートワークアクセスツール」をつかって、遠隔地から社内のソフトウェアやデータにアクセスできるようにしておくことも大切です。リモートアクセスツールをつかえば、自宅から社内用の電子メールを送受信したり、社内アプリケーションソフトを利用したりと、社内にいるときと同じように仕事を進められるでしょう。

ただし、ビジネスでリモートアクセスをおこなう場合は、社内のパソコンを一般回線につなぐことでハッキングされたり情報漏えいしたりするリスクが大きくなります。そのため、信頼のできるリモートアクセスツールを利用して、セキュリティを高めることが必要となります。

以下では、リモートアクセスツールのサービス例を紹介します。

TeamViewer

ドイツ企業が提供する「Team Viewer」は、全世界で40万以上の企業や個人に利用されているツールです。国際基準であるISO/IEC 27001認証を取得しているため、社内情報を守りながら業務をおこなえるでしょう。WindowsやMacだけではなく、AndroidやChrome OSといったスマートフォンにも対応しており、接続できるツールが多いのも魅力です。

また、Team Viewerを活用すると、従業員のパソコンやスマートフォンの不具合に対して、社内のIT部門が遠隔操作で対応することもできます。社内サポートを充実させれば、リモートワークをスムーズに進められるでしょう。

MagicConnect

「MagicConnect」はNTTテクノクロスが提供するリモートアクセスツールで、1万社以上の企業が採用しているのが特徴です。ユーザーとオフィスのパソコンを接続する1対1構成に加え、複数ユーザがWindowsサーバに同時接続するN対1構成など、さまざまな接続方法が利用できます。

また、パソコンにプログラムをインストールするだけなので、セットアップは3分ほどで完了するという手軽さも良いところです。USBを使うだけでリモート化できるサービスもあるので、複雑な操作をすることなく手軽にリモートワークを導入できるでしょう。

勤怠管理ツール

リモートワークでは、社員の勤怠管理方法の変更が必要になる場合もあります。「勤怠管理ツール」を利用すれば、WEBブラウザやスマートフォンアプリから勤怠情報を入力できます。これにより、社員は従来のタイムカードよりも手軽に打刻でき、管理者は集計を効率的におこなるようになるでしょう。

以下では、おすすめの勤怠管理ツールを2つ紹介します。

ジョブカン勤怠管理

「ジョブカン勤怠管理」は、5万社以上に採用されているクラウド型勤怠管理システムです。フレックスなどの勤務体制や、所属・雇用形態ごとに細かく設定でき、ICカードやGPSなどあらゆる打刻方法に対応しています。休暇の申請もクラウド上でおこなうため、承認状況の確認や休暇実績をデータで管理できます。

また、シフト制の職場においても、社員の勤務日希望をクラウド上に吸い上げシフト作成をおこなえます。作成したシフトはデータとして公開され、パソコンやスマートフォンから確認することが可能です。初期費用やサポート費用がかからないため、導入のハードルが低いのも良いところです。

人事労務 freee

給与計算、勤怠管理、労務管理といった人事業務がひとつで行える「人事労務 freee」も多数の導入実績があります。勤怠管理だけではなく、マイナンバーや保険手続・年末調整といった複雑な労務にも対応しています。個人事業主から中小企業を中心に、労務にかける手間とコストを削減したい企業に支持されています。

金融機関レベルの強固なセキュリティがあり、最新の状態を自動でバックアップするので、 パソコンの故障などの万が一のトラブルに対応しやすいのも良いところです。

バーチャルオフィスツール

「バーチャルオフィスツール」は、WEB上に仮想オフィスを構築し、実際にオフィスに出勤する感覚でリモートワークをおこなうツールです。実際にオフィスで働いているかのような感覚で社内メンバーとコミュニケーションを取れるのがメリットです。

「ビジネスチャットツール」では、オフィスで交わされているようなちょっとした雑談までは文字にしづらいかもしれません。しかし、バーチャルオフィスなら気負うことなく、遠くの席にいる同僚に話しかけたり、ちょっとした疑問をシェアできたりできます。このような小さなきっかけがビジネスの新たなアイデアの創出につながるケースもあるため、さらなる活用が期待されています。

以下では、おすすめのバーチャルオフィスツールを紹介します。

SpatialChat

「SpatialChat」は、空間と距離の概念をWEB会議に取り入れることで、オンライン上で「近くの人としゃべる」を可能にしたツールです。会話したい人同士が画面上のアイコンを近づけることにより、お互いの声が聞こえるという現実世界では当たり前の現象を仮想空間で再現しているのです。バーチャルオフィスに自分のアイコンを置き、移動させることで興味のある会話が聞こえてこれば参加し、離れることもできます。
たとえば、集中したいときは離れて会話が聞こえないようにして、休憩や意見交換をしたいときは移動して雑談する方法が考えられます。自宅というひとつの場所にいながら疑似的に場所を移動することで気分転換できるため、孤独感を抑えてリモートワークを続けられるかもしれません。

roundz

ラウンズ株式会社が提供する「roundz」は、「ちょっと」話をすることに特化したバーチャルオフィスツールです。カメラ機能をつかわずプライバシーを守りながら会話できるのが特徴になっています。パソコン上でステータスを確認することで、相手のタイミングにあわせて素早くボイスチャットができるため、服装を整えるなど見た目をを気にせず気軽にコミュニケーションできます。

また、「roundz」は常駐型のデスクトップアプリなので、会話を始める際に電話やチャットで事前連絡する煩わしさを抑えることもできます。割り当てたキーを押すだけで簡単・気軽にグループ会話を始められるのが良いところです。

リモートワークツールを使う際の注意点とは?

スムーズにリモートワークを進めるためには、注意点も知っておかなければなりません。実際に導入してから課題に直面してしまうと、業務を円滑に進められなくなってしまうこともあるので、あらかじめ備えておきたいものです。

以下では、リモートワークツールをつかう際の注意点を3つ紹介します。

セキュリティ対策を充実させる

リモートワークでは、オフィス環境から離れるため、以下のようなセキュリティリスクが考えられます。

・パソコンの紛失、パスワードの漏洩
・ウイルスやマルウェアの感染
・悪意を持った第三者にネットワークに侵入される

これらの対策として、セキュリティ対策を充実させなければなりません。ハード面では、使用するリモートワークツールのセキュリティ面の確認や、セキュリティソフトの強化をおこなうことが大切です。それと同時に、個々の社員が情報やITセキュリティに対する知識・意識を高めるソフト面での対策も必要です。

従業員が納得したうえで導入する

リモートワークが続くと、「1人での在宅勤務が続き、孤立感ややりがいのなさを感じる」や「新入社員や中途採用者が会社の雰囲気をつかめない」と感じることがあるかもしれません。他の社員と顔をあわせないまま仕事を進めるのがストレスになるリスクがあるため、社員のケアが必要になります。

リモートワークで業務効率化が期待できるとはいえ、従業員が納得していなければスムーズに仕事を進められません。リモートワーク導入する際は、従業員に丁寧な説明をしたうえで準備を進めることが大切です。

円滑なコミュニケーションができるようにする

オフィスでは、雑談などでチームの連携を高めることができます。しかし、リモートワークでは報・連・相が少なくなったり、チームの連帯感が薄れたりすることで、コミュニケーションエラーが発生するかもしれません。

従業員がうまくツールを活用して適切なコミュニケーションを取れるように、特に導入当初はつかい方のサポートを重点的におこなうのがおすすめです。

まとめ

ここでは、リモートワークで活用できるツールを紹介するとともに、利用する際の注意点についても説明しました。リモートワークは、働き方改革の一環として今後ますます推進されていくでしょう。ここで説明した内容を参考にして、企業に適したリモートワークツールを取り入れられるようにしておきましょう。

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