エドテックの普及で起こる教育の変化とは?代表的なサービス例も紹介
2021/3/8
ITテクノロジーを教育に活かすエドテックが学習環境を大きく変える、と注目を浴びています。時間・場所を問わず、自分に合った学習要領で学ぶことにより得られる学びの変化を理解しておきましょう。エドテックの代表的サービスもご紹介します。
Contents
エドテックが普及することは、タブレットを使った授業が増えるだけではありません。テクノロジーと教育の掛け算が、子供たちや教師にどのような影響があるのかを具体的に知っておく必要があります。そこで今回は、エドテックについて詳しく解説するとともに、代表的なエドテックのサービスもご紹介します。
まずはエドテックについて知っておこう
教室でパソコンを使ったり、タブレットが配布されたり、あなたが子供の頃には考えられなかったような「学ぶ姿」がいまの教育現場にはあるのです。まずは、このエドテックの概要について詳しく説明します。
そもそもエドテックとは?
・生徒向け学習支援システム
・教師向け授業支援システム
・英会話などをインターネット上で学ぶサービス
このように、IT技術を活用して教育現場に革命を起こすようなシステムが、今後さらに発展していくと考えられています。
エドテックの市場規模
また、エドテックの広がりは日本だけではなく、世界中に波及しています。もともとエドテックが発祥したのはアメリカであり、最先端のテクノロジーを積極的に取り入れています。アメリカを追うように、中国でもエドテックに力を入れるようになりました。新興IT企業が多い中国では、いまやスタートアップ投資額はアメリカを抜き、20.3億ドル(約2,030億円)といわれています。
参考資料:https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/it_solution/2018/06/ITSF180605.pdf
エドテックとeラーニングとの違い
エドテックとeラーニングの違いは、以下の3つが挙げられます。
・エドテックは双方向性、eラーニングは一方向性の学び
・エドテックには匿名性がある
・エドテックの方が、eラーニングよりコストを抑えやすい
エドテックは、時間や場所を問わずに双方向のコミュニケーションができるのが大きな特徴だといえます。教師が生徒に教材を提供するeラーニングよりも質の高い学習ができる可能性が高いことから、今後はエドテックの導入がさらに進んでいくでしょう。
エドテックの普及で期待できる変化とは?
IT技術の力で時間や場所を気にせずに学習することができるということは、人々の学習環境にどのような影響があるのでしょうか?ここからは、エドテックが普及することによって期待できる変化についてご説明します。
オンラインで質の高い講義を受けられる
また、欧米ではMOOC(Massive Open Online Course)という、スタンフォード大学やハーバード大学といった一流大学が設立した学習コースを受講できるようになっています。もちろん、アメリカに住んでいなくとも、インターネットさえあれば世界中の学生と同じように学ぶことが可能です。
オーダーメイドの学習が可能になる
過去の学校教育でも、成績別クラス分けなど個人の学習理解度にあわせた教育はされてきましたが、より深く個人にフォーカスできるのがアダプティブラーニングのメリットです。学校だけではなく、忙しい社員を抱える企業の人材育成にも活用が期待されています。
教師の働き方が変わる
エドテックの導入が進めば、教師の負担を減らせると期待されています。たとえば、課題の提出を管理するソフトをつかい、効率的に未提出者をチェックすることなどが挙げられます。動画を使えば、より分かりやすい説明を生徒に与えることもできるでしょう。このように、エドテックは教育を受ける側だけでなく、教える側にも大きなメリットを与えると期待されています。
教師や生徒のコミュニケーションの質が高まる
また、教師だけが利用するSNSを利用すれば、SNSを通じて教育へ対する意見交換や教材・資料の共有をおこなうことができます。学校を越えた教師同士のコミュニケーションの場にもなるため、教育品質や教師の教える技術の向上につながるでしょう。
VRで疑似体験学習ができるようになる
このVR技術を学習領域に活用すると、以下のような疑似体験が可能となります。
・歴史的建造物や月といった、現実では訪問しづらい場所へのバーチャルトリップ
・人体や建造物の構造など、普段は見ることのできないものをさまざまな角度から学習
・災害に対する避難訓練、建築現場などの危険講習をより現実感を持って体験
特に、災害時などで「頭が真っ白になってしまった」ということがないよう、事前に体験することで回避できる確率を上げることができるのは、人々の安全な暮らしを維持するために重要な学習方法でしょう。
多様な学び方が可能になる
ゲーミフィケーションとは、ゲームが持つ人を楽しませるノウハウを、ゲーム以外の領域で活かすことです。たとえば、ゲームのようにミッションをクリアしたり、レベルを上げたり、そのゲームを続けたくなる要素を学習にも取り入れることで、学習者を飽きさせない工夫を施します。
ランキングやチャットなどのコミュニケーション要素も加わることで、学習者がもっと学びたいと思わせてくれるのも魅力です。ゲーミフィケーションは、楽しんで学習することを目的とした新しい学び方のひとつだといえるでしょう。
効率的な学習管理ができるようになる
LMS(Learning Management System)を利用すれば、インターネット上で教材を配信・回収でき、生徒の学習履歴も確認することが可能です。生徒一人ひとりの学習状況を一元的に管理できるため、学び方が多様化する時代になっても効率的な指導を続けられるでしょう。
エドテックの代表的なサービスを紹介
今後の教育がどのように変化していくのかをイメージできるよう、以下では代表的なエドテックサービスを9つ紹介します。
atama+
生徒のデータは講師にもリアルタイムに共有され、生徒の状況を客観的に把握することが可能です。多くの学習塾で採用されており、高い評価を得ています。
Udacity
Google、Facebook、IBMなどの世界的企業が協力してつくられたコースがたくさんあるので、学習を通して実務に役立つスキルを身に着けることも可能です。会社外で学ぶ時間や機会が少ない社会人に好評のサービスです。
Qubena
専用ペンを使えば、タブレットへの書き込みやコンパスや定規の使用も可能です。実際に、小中学校への導入事例もあり、授業中の演習や宿題にも活用されています。
スタディサプリ
大学受験に必要な5教科18科目の授業動画が、基礎から応用まで自分のレベルにあわせて選択できるため、塾や予備校に通うよりも苦手に特化して学習することが可能です。知名度も高く、これまでの受講者も110万人と膨大なデータを有しているのが特徴です。
資格スクエア
脳科学・AIなどの技術と、合格者のデータを駆使し、最短合格に向けて効率の良い学習カリキュラムを入手することができるのが特徴です。スマートフォンからもアクセスできるため、通勤時間など空いた時間で何度も学習ができるようになっています。
Udemy
学びたい人だけではなく、自分の持つスキルを教えたい人が独自のコースを開設でき、学びたいと教えたいを結びつけるユニークなサービスとなっています。
すらら
Edmode
教室で授業をおこなう場合、全員の意見を発表したり確認するのは簡単ではありません。しかし、Edmode上で意見を出せば、クラスに共有され教師は今まで埋もれていた生徒の疑問点を見つけ出すことが可能です。教師は生徒全員の理解度を上げるのに役立つとともに、生徒も発言しやすい環境になると期待されています。
SENSEI NOTE
忙しい教師や新任の教師は、職員室で孤独になりがちです。このような教師同士のつながりを頼ることで、教師の働く環境を改善していくきっかけになるでしょう。
まとめ
自分の好きな時間、好きな場所で、学習者にあった内容を学ぶことのできるエドテックによって、地域間の教育格差がなくなり、自ら学ぶ環境に身を置くことができると期待されています。教師の働き方改善や社会人からの生涯学習など、一生をかけて向き合うこともできるでしょう。ここで説明した内容やサービスを参考にして、今後の学び方を考えてみましょう。