Web会議ツールとして広く利用されるようになったZoomには、無料プランと有料プランがあります。無料プランで利用できる基本機能だけでも十分にビジネスに使えるため、普及したといえますが、有料プランに変更すると、どんなメリットがあるのでしょうか? また、有料プランに変更したほうが良いケースとはどのような場合なのでしょうか? 具体的な導入事例を紹介しながら、無料版と有料版の違いについて解説します。
無料版と有料版の違い|Zoomを有料で使用するメリット
無料版のZoomでも満足しているという人も多いかもしれません。Zoomを有料で使用すると、どんなメリットがあるのでしょうか?
グループ会議の時間が無制限になる
まず大きな違いは、無料版Zoomはミーティングに40分制限があり、長時間のミーティングには向きません。 有料版なら1対1ミーティングもグループミーティングも実質無制限(30時間/1回)で利用できます。なお、有料アカウントが必要なのはホストのみです。
頻繁に40分以上のZoom会議を行うなら、有料版を検討しても良いでしょう。
会議を録画したデータがクラウドに保存できる
Zoomではボタンひとつで、会議を録画することができます。あとから議事録を作ったり、参加できなかったスタッフに会議の様子を見てもらいたいときなどにはとても便利な機能です。こうした録画は無料版でも利用できますが、データの保存先をローカルしか選べません。そのため、会議をこなすほど、PCの空き容量を圧迫してしまうことになります。有料版ではクラウドにもデータを保存することができるようになり、空き容量の問題も解消でき、さらに社内で共有したいときにもデータが扱いやすいというメリットがあります。なお、プロプランやビジネスプランなら最大5GBまでクラウドにデータが保存でき、エンタープライズプランなら保存容量が無制限になります。
会議の参加可能人数が増える
無料版では会議の参加人数は100人までですが、有料版のビジネスプランであれば300人、エンタープライズプランでは500人まで参加することが可能です。とくに大人数で行う授業やセミナーでは参加人数を懸念することなく開催できるでしょう。
投票機能を使用できる
有料版になると、会議の参加者にアンケートや多数決を取ることができる投票機能が利用できるようになります。Zoomのホームページからサインインして、マイアカウントからマイミーティングというページに移動します。そこでアンケートを取りたい会議やセミナーのタイトルをクリックすると、「投票」を追加することができます。投票(アンケート)のタイトルや質問の文面を入力し、選択肢も設定しておくと、Zoomミーティング内にある「投票」ボタンを押すと、アンケートを参加者に表示することができます。講義やセミナーの感想を受け付けるといった使い方も可能です。
共同ホストを設定できる
無料版では会議のホストは1人までしか設定ができないのですが、有料版では複数の人をホストに任命し、共同ホストとして、さまざまな操作を行うことができます。とくに大人数で行う授業やセミナーでは一人で進行を行うのが難しいケースもあります。たとえば待機室に入ってきた参加者をメインルームに招き入れる入室許可も、参加者が増えれば、追いつかない可能性があります。そのほか、スムーズな進行を妨げる参加者が現れたときに強制退出させたり、不適切な発言をする参加者のマイクをミュートにするといった操作も複数のホストを設定しておくことで、滞りなく会議が行えるようになります。これも有料プランのメリットだといえます。
Slackなど各種ツールとAPI連携できる
リモートワークが増え、社内のメンバーと気軽なコミュニケーションを取るのが難しくなりました。電話するのも面倒で、メールでは送っても相手が気づかないこともあります。そこでビジネスチャットツールのSlackを活用する企業も増えています。そんなSlackなどのツールとZoomを有料版なら連携させることができます。たとえば、SlackからZoomミーティングを開始したり、ミーティングがスケジュールされている場合には、Slackから通知して、そのまま即参加することもできます。また、相手がZoomをインストールしていなくても、招待のURLをSlackから送信することでミーティングを開始するといった連携も可能です。こうしたSlackなどのツールと連携できるのも、有料プランのメリットです。
Zoomは基本プランの他に3つの有料プランから選べる
40分の時間制限を解除したい、録画データをクラウドに保存したいなど、より便利にZoomを使いたい人は有料プランがおすすめです。ただ、有料プランには月額やサービス内容の異なる3つのタイプが用意されています。どんな使い方をするかによって、最適な有料プランは異なるため、違いについて知っておいて損はありません。
基本プラン|無料で使用できるが各種制限あり
有料プランの詳細を説明する前に、無料の基本プランのおさらいです。無料プランでも、Zoomの使い勝手の良さは十分に体験できます。ミーティングも40分以内で終わるのなら、利便性の高さは有料版に引けをとりません。そのほか、画面共有やファイル共有といった機能も利用できます。ただ、録画に関してはローカルにしかデータを保存できないという制限があります。なお、ミーティングやセミナーに参加者として加わるのなら、常に無料です。
プロプラン|時間制限がなくなり各種機能が追加される
プロプランは通話可能時間は30時間(実質無制限)であり、ミーティングに参加できる人数の上限は100名です。録画データも無料版がローカルにしか保存できないのに対して、クラウドに最大5GBまで保存できるようになります。パソコンの空き容量を気にする必要もなくなり、録画したデータを共有する際にも便利です。
ビジネスプラン|企業ブランディングがZoomで可能になる
ビジネスプランはミーティングに参加できる人数の上限は1ミーティングあたり最大300名に増えます。クラウドに保存できる録画データの上限は最大5GBまでと、プロプランと変わりませんが、会議参加人数が最大300名までに増加します。そのほか企業のロゴを使用したミーティングルームを使用でき、管理者向けダッシュボードで利用管理ができるなど、Zoomを活用した企業のブランディングが可能になります。
エンタープライズプラン|制限なしの大企業向けプラン
最上位のプランが大企業向けにカスタマイズして使用するエンタープライズプランです。こちらは最大500名までがミーティングに参加することが可能で、またクラウドに保存できる録画データも無制限になるなどの特徴を持っています。
Zoomの無料プランから有料プランに変更する方法
Zoomは無料プランでも画面共有やファイル共有といった便利な機能が利用できます。ただ、使っていくうちに、とくに「グループ会議での時間無制限」や「録画データをクラウドに保存できる」というメリットに魅力を感じるようになります。そこで無料プランから有料プランへの切り替え方を解説します。まずはZoomのサイトにアクセスし、サインインを行い、ログインします。そして、右上にある「マイアカウント」をクリックすると、マイプロフィール画面が表示されます。そこで「アカウントをアップグレード」を選択すると、変更するプランが表示されるので、アップグレードしたい有料プランをクリックします。その後、クレジットカード情報の入力が求められるので、決済を行うと、有料アカウントとして利用できるようになります。
Zoomの有料プランの支払い方法
Zoomの有料プランでの支払い方法は主にクレジットカードを使います。現在、Visa、JCB、Mastercard、Discover、American Expressが利用できます。また、PayPalでも決済ができるため、紐づけた銀行口座からの引き落としも可能ということになります。
Zoomを有料アカウントに変更したほうが良いケース
Zoomは無料プランでもビジネスに利用できますが、有料プランに変えたほうが良いと考えられるのは、どんなケースなのでしょうか?有料プランに切り替えるタイミングについて考えていきましょう。
ケース1|会議の様子を録画保存することが多い
クライアントとの重要な打ち合わせを記録したり、出席できなかったメンバーに録画データを渡してあとから視聴してもらったり、Zoomのミーティングを録画しておくと何かと重宝します。無料プランでも録画機能が利用できるのはZoomの良いところですが、無料版ではローカルにしか保存ができません。そのため頻繁に録画をしていると、パソコンの空き容量を圧迫してしまいます。その点、有料プランのプロプランやビジネスプランなら、最大5GBまでクラウドにデータが保存できます。さらにエンタープライズプランでは保存容量は無制限のため、アーカイブとしてデータを残しておくことも可能です。録画データを保存して活用したいという人は有料版がおすすめです。
ケース2|100人以上での会議を行いたい
ちょっとしたミーティングやプレゼンに利用するだけなら、無料版でも十分かもしれません。ただ、商品発表会やセミナー、就職説明会など、100人以上の参加者を想定した会議を行うなら、有料会員への登録が必要になります。無料プランとプロプランではホストを含め100人までしか会議に参加できません。
Zoomの有料プランにお得に利用する方法
少しでもZoomの有料プランを安く、お得に利用したい人のために料金をディスカウントできるTipsをお教えします。
Zoomのオンラインクーポンを手に入れる
オンラインクーポンは、主に海外サイトでプロモーションのために配布されています。値引き額は時期によって変わりますが、購入する際にはオンラインクーポンを探してみるのもよいでしょう。
利用料金を年払いする
Zoomの支払いは月額がベースですが、年間契約も用意されており、1年分をまとめて支払うと、割安な料金で1年間Zoomの有料プランを利用できるようになります。
外貨建てで料金を支払う
世界中にユーザーがいるZoomでは、7種類の通貨での決済に対応しています。日本円、米ドル、豪ドル、ユーロ、英ポンド、カナダドルです。為替レートによって微妙に実質価格が変動しており、他の通貨での支払いに変更することで価格が安くなるケースがあります。
Zoomは1ヵ月だけ有料プランを利用できる?
Zoomは月額制のため、1ヶ月単位での単月契約も利用できます。そのため、必要なときだけ、購入して有料プランを利用することが可能です。長期休暇で利用日が少ない、あるいは出勤するのでウェブ会議の必要がないなど、あまりZoomを活用しない月があらかじめわかっていると利用しやすいと言えます。ただ、年払いで契約したほうが割安になるため、長期的に利用する人は使えません。
企業における有料版Zoomの導入事例
有料プランでZoomを活用している企業の事例を少しご紹介します。
事例1|社外との会議や採用面接で使用
新型コロナウイルスの感染拡大によって、ビジネスシーンにおいてオンラインを活用する例は各段に増えました。社外の取引先とのミーティングもZoomを活用してオンラインで実施することが少なくありません。また、、採用の現場でも従来は一度会社説明会を実施し、学生を一同に集めてプレゼンや質疑応答を行なっていました。しかし、今ではZoomを使ったオンライン上での会社説明会や採用面接を行うケースも増えています。
事例2|Zoom Roomsを活用して快適な接続を実現
Zoomの有料プランでのみ利用できる機能として、Zoom Roomsというものがあります。これは個人のパソコンやスマートフォンから会議にアクセスする通常のウェブ会議とは異なり、会議室に集まって、常設の端末からTV会議のような形でミーティングを行うものです。ひとつのオフィスから複数の人が参加して行う支社同士、あるいは取引先との会議のような用途で主に使用されます。テレビ会議専用の端末を用意することによって、会議の品質も落ちず、また毎回セットアップをする必要がないというメリットもあります。
用途に合わせてZoomの有料プランを検討しよう
Zoomは参加する人数や、どれくらいの頻度・時間で会議を行うのか、どんな用途で利用したいのかなど、諸条件によって最適なプランが異なります。無料プランでも十分に活用できますが、より便利に利用するのなら有料版も視野に入っていくでしょう。今後もリモートワークだけではなく、大人数を集めたリモートセミナーは一般的になっていくと考えられるため、何が最適なプランなのか一度検討してみてはいかがでしょうか?