顧客平均年齢71歳! シニア向けプラットフォームとして急成長「株式会社ハルメクホールディングス」 〜IPOから読み解く、デジタルシフト #5〜
2023/4/25
多くの企業が目標の一つとして掲げ、憧れ、夢を見る言葉、「上場」。これを達成した企業は資金調達の規模が大きくなり、さらなる挑戦ができるとともに、社会的に認められたという箔が付く。何百万社とある日本企業のなかで、上場企業は約3,800社。非常に狭き門を突破した、選ばれし企業たちだ。
本記事では、デジタルシフトを実現しながら新規上場を果たした企業に焦点を当てていく。今回は、シニア女性をターゲットとした事業を手がける「株式会社ハルメクホールディングス」を取り上げる。同社は、2023年3月23日に東証グロース市場に上場した。初値は1,981円で公開価格の1,720円を上回った。
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雑誌だけでなく、物販事業・コミュニティ事業も展開。「株式会社ハルメクホールディングス」とは
雑誌「ハルメク」や、その公式サイト「ハルメクWEB」では、シニア女性への「お役立ち情報」を提供している。ハルメクは2022年12月号で定期購読者数が50万人を超え、ハルメクWEBは2022年7月の月間アクセス数が約641万PVとなるなど、出版不況といわれるなかでも独自の地位を確立している。オリジナル商品はD2Cモデルで販売しながら、「ハルメク おみせ」という実店舗も8箇所で運営している。雑誌からWebサイトまで、実店舗からD2Cまでと、リアルとオンラインを組み合わせながら事業を拡大している。
2022年3月期の売上高は約252億3,000万円で、営業利益は約13億5,000万円だった。2023年3月期は第3四半期累計で売上高が約229億6,000万円、営業利益が約21億3,000万円となっている。
2030年には全女性の56%を占める、50歳以上がターゲット
また同社では、ユーザーの集客から育成、ファン化までを自社で行い、ロイヤリティの高い顧客が生まれていることも特徴的だ。雑誌やWebサイトで情報を発信し、その内容に関連した商品を開発・販売する。さらに、関連するイベントや講座を提供しコミュニティ化することで、それぞれの事業が連動しシナジーが生まれ、商品やサービスの利用率が上がるという戦略だ。実際に、3事業全ての利用経験があるユーザーの顧客単価は、1事業利用ユーザーの6倍以上、2事業利用ユーザーの1.5倍以上となっている。