メタバース覇権を握る、最有力候補!? フォートナイトを運営する「Epic Games」 〜海外ユニコーンウォッチ #6〜
2022/2/8
「ユニコーン企業」――企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてはFacebookやTwitterも、そう称されていた。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は人気オンラインゲーム「フォートナイト」を運営する「Epic Games(エピック ゲームズ)」を紹介する。
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大人気オンラインゲーム「フォートナイト」の運営企業、Epic Games
フォートナイトは、オンライン上で戦うシューティングゲームで、世界で3億5,000万以上のアカウント数を誇る。ゲームのプレイは無料で、キャラクターの服装やジェスチャーなどを変化させるアイテムに対して、課金ができる仕組みだ。課金したからといってゲーム内で強くなる訳ではない。しかし、ゲーム内で使用するキャラクターの見た目や動きは、ユーザーのアイデンティティとも紐付き、課金へのインセンティブになっている。フォートナイト上でコミュニティを形成する人たちも少なくないため、オリジナリティを出すために課金する人も一定数存在する。一方で、フォートナイトは小学生にも人気があるため、課金額やフォートナイト上でのコミュニケーションに関して問題視する声もある。
Epic Gamesは、フォートナイトをはじめとするゲーム開発事業に加え、ゲームエンジンやゲームストアを提供するプラットフォーム企業という側面もある。同社のゲームエンジン「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」は、多くのユーザーを抱え、2022年初頭には「Unreal Engine 5」のリリースを予定している。この「Unreal Engine」で開発されたゲームをEpic Gamesのゲームストアで販売すると、ゲームエンジンの使用料が免除される。このように、Epic Gamesの提供するサービスが有機的に結びつくことで経済的な効果を発揮している。
Epic Gamesは2021年4月、評価額287億ドルで、10億ドルの資金調達を行ったと発表した。この内2億ドルはソニーグループからの出資だ。ソニーグループは、2020年7月にもEpic Gamesへの2.5億ドルの出資を発表しており、ゲームのみに限らずデジタルエンターテインメントの領域で連携を強化している。
Epic Gamesも注力する「メタバース」
実際にフォートナイトでは、オンライン上にユーザーが集まり同じ時間を共有している。経済活動の側面でも、現実社会での消費よりも、フォートナイト上でのデジタルデータに価値を感じ、課金するユーザーもいることだろう。このように、フォートナイト内でのユーザーの行動は、メタバースという新たな社会の確立に向けた歩みが垣間見える。
Epic Gamesのメタバース進出はフォートナイトだけではない。2021年、同社はとてもリアルなデジタルヒューマンを簡単に作成するアプリケーション「MetaHuman Creator」を発表し、早期利用の受付を開始した。さらに、同年7月には3Dコンテンツ共有プラットフォーム「Sketchfab」を買収。その際、「Epic GamesとSketchfabが協力することで、3D、AR、そしてVRコンテンツをより利用しやすくし、クリエイターエコシステムを成長させることができる。それが、オープンに相互通信でつながり合えるメタバースにとって重要だ」という趣旨の内容を発表した。これらのようなメタバース構築を推進する動きは、2022年以降もさらに活発になると見込まれている。