【海外レポートから読み解く】2025年、AIはここまで進化する
2022/11/10
2022年7月に画像生成AI「Midjourney」がリリースされ、その後「Stable Diffusion」などのさまざまな画像生成AIが数多く登場するなど、大きな話題を呼びました。この数ヵ月の間、世界の人々のAIに対する捉え方は大きく変わったのではないでしょうか。
今後AIはどのような進化を遂げていくのか。今回は、国内外のAI事情に詳しい株式会社デジタルレシピ 代表取締役の伊藤 新之介氏に、海外のレポートから読み解くAIの進化について解説していただきました。
Contents
今、AIはどの程度進化しているのか
(1)AIの成長速度
例えば、2019年にリリースされた自然言語処理モデルGPT-2のパラメータ数が15億個であるのに対し、その翌年にリリースされた後継モデルのGPT-3は、その116倍の1,750億個というパラメータ数にまで成長しています。これまで「AIの実用化には、あと10年かかる」といわれてきましたが、この仮説は今後大きく覆っていくでしょう。
(2)AIがカバーする領域
今回は、海外で注目されている、さまざまな考察を例に、今後AIはどのくらいの速さで、どこに向かって進化していくのかを解説していきます。
文章生成AIは、2025年に平均的な人間の文章力を超える
• 画像
• 動画/3D/ゲーム
• コード
現在、文章生成の領域では、GPT-3を使ったライティングサービスが世界中で流行しています。記事やメールの文章ドラフト作成など幅広いシーンで活用され、広告のテキスト生成では一般的な広告運用者のパフォーマンスを上回った例もでてきているようです。
画像生成AIは、2025年にWebサイトや商品デザインが生成可能に
• 2023年に、プロダクトデザイン(Webサイトや商品のデザイン)のモックアップの制作が可能になる
• 2025年には、実用に耐えうるレベルのプロダクトデザインが可能になる
• 2030年には、プロのデザイナーに匹敵するプロダクトデザインが可能になる
つまり、どんなWebサイトをつくりたいか、どんな商品をつくりたいかをAIに語りかけるだけで、思った通りのデザインが一瞬で手に入るような時代がくるということです。この潮流はすでに始まっていて、Microsoftは2022年9月に、文章を入力するだけでさまざまなデザインを作成できる「Designer」と呼ばれるサービスの事前登録を開始しています。
動画生成AIは、2025年にドラフトレベルの動画生成が可能に
ただし、2025年にはドラフトレベルの動画生成が可能になるほか、2030年にはかなり飛躍し、動画を含めてゲームを生成するまでにAIが進化するとも予測されています。
2025年には、テキストだけでコード生成が可能に
• 2023年には、AIによる部分的なコードの生成が、さまざまなプログラミング言語で可能になる
• 2025年には、テキストを入れるだけでAIがコードを生成し、ほぼ完成した状態のサービスをつくることができる
• 2030年には、フルタイムで働くエンジニアを超える技術のサービスをゼロから生成することができる
また、Coatueが発表したAI 2022: The Explosionというレポートでは、2030年までに世の中のソースコードの大半をAIが生成し、エンジニアの大半もAIエンジニアになる、と予測されています。MicrosoftがすでにGPT-3を活用したコード補完サービス「Codex」をリリースするなど、AIによるコード生成技術の発展の兆しも見受けられます。
これから先のAI
これまで、AIに奪われる職業論のなかで語られていた、「AIに奪われない職業」の代表格であったクリエイティブな職業さえも、AIに奪われる兆しが見えつつある現状です。私たち人間に残される職業と、新しく生み出すべき職業は何なのか、改めて考え直す必要があるのではないでしょうか。
伊藤 新之介
株式会社デジタルレシピ 代表取締役
同志社大学生命医科学部医情報学科中退。同大学在学中に学習塾の立ち上げなどを行い、2013年株式会社ラフテックを創業。同社を株式会社ベクトルに売却後、2018年に株式会社デジタルレシピのCEOに就任。
国内で唯一のGPT-3を活用したビジネス向けライティングサービスであるAIライティングアシスタント Catchy(キャッチー)をリリース。
GPT-3を活用したマーケティングの効率化を研究中。