AI活用

買取価格25〜35%アップ。ZOZOUSEDのAI活用で、アパレル業界はどう変わる!?

今や多くの人が利用するファッションECサイト「ZOZOTOWN」。このサイトをチェックしている際に、過去購入した商品について「いくらで売れる」か表示されることに気がついている人は多いのではないでしょうか。ZOZOTOWN内で常時60万点以上のブランド古着を取り扱う「ZOZOUSED」では、古着の買取と販売にAIを活用しているとのこと。ZOZOUSEDのAI活用は、ファッション業界およびリユース業界にどのような変化をもたらしているのでしょうか。 今回は、株式会社ZOZO マーケティング本部 USED事業部ディレクターの島村 龍也氏、USED事業部 データサイエンティストの佐々木 北都氏に、AIの活用事例やZOZOUSEDの今後の展望などについてお話を伺いました。

ざっくりまとめ

- ZOZOUSEDは2012年11月にサービスを開始。CROWN JEWELというオークションサイトが前身。

- ZOZOTOWNの膨大なデータを活用した下取りサービス、「買い替え割」「いつでも買い替え割」を提供。ZOZOUSEDサービス開始からの10年間で古着へのユーザーイメージの変化を実感。

- AI活用により、商品が売れる価格の的中率は1.5倍にアップ。ユーザーからの買取価格も25〜35%上昇。

- ユーザーが「ファッションを楽しむため」の選択肢を広げるべく、今後もAI活用などを通してサービスを成長させていく。

ZOZOTOWNというプラットフォームでのサービス展開により、「買取」の手法が変化

——ZOZOUSEDが事業を開始した背景を教えてください。

島村:ZOZOUSEDは2012年11月にサービスを開始し、昨年の11月で丸10年が経ちました。CROWN JEWELというオークションサイトを前身としてスタートしています。当時から我々は、二次流通はユーザーがファッションをより楽しむための手段として機能すると捉えていました。それをZOZOTOWNという大きなプラットフォームのなかで展開していくことが、ユーザーのファッションに対する選択肢を広げることになるのでは、と考えたことがZOZOTOWNでのサービス展開の背景ですね。

——事業展開を進めていくなかで、サービス形態の変遷はありましたか?

島村:サービス開始時は純粋な「買取サービス」からスタートしたのですが、2016年から「買い替え割」というユーザーが過去にZOZOTOWNで購入した商品を下取りし、下取り金額分をその場で値引きするサービスの展開を始めました。さらに2019年には買い替え割の新機能として「いつでも買い替え割」を開始しています。こちらは、過去にZOZOTOWNで購入した商品がいくらで売れるか(いくら分のZOZOポイントに交換できるか)が表示され、売る商品を選択することで、以降新たに商品を購入するときにそのポイント分が値引きされてお得に買い物できる、という仕組みです。2019年からは通常の買取サービスを終了し、この買い替え割にサービスを一本化しています。

ユーザーのリユース業界に対するイメージにも変化が

——新品を扱うZOZOTOWNと、ターゲットを分けているのでしょうか?

島村:あくまでZOZOTOWNというプラットフォームのなかでファッションに対する価値を提供していくことが目的なので、新品と古着で明確にターゲットを分けてはいません。ZOZOTOWNのターゲットはZOZOUSEDのターゲットでもあります。「今は新品では売っていないアイテムを古着で見つけたい」「少々高くても新品が欲しい」「可愛いものをとにかくお得にたくさん欲しい」など、ユーザーが抱えるニーズはさまざまで、それに対応していくためには、一つのプラットフォームに新品も古着も、幅広く存在していることが望ましいと考えています。

——ZOZOでリユース事業を開始したことをきっかけに、ユーザーが抱くリユース業界に対するイメージの変化を感じることはありますか?

島村:これまで、古着というと「ヴィンテージ古着のような少しハードルの高いもの」「新品を買う予算が足りないときに選ぶもの」というイメージを持っている人が多かったように思います。ですが最近はそのイメージがどんどん薄くなり、より多くの人にとって日常的に取り入れやすいものになってきています。ZOZOがリユース業界に足を踏み入れたことや、買い替え割サービスを開始したことが、そうした変化に少しは寄与したのではないか、と考えています。

いつの時代も使えるお金に限りがありますが、一方で現代は消費しているコンテンツがどんどん増えている状況です。ファッションだけにお金をかけられないけれども、ニーズは満たしたいと考えたときに「可愛かったら古着だっていいのでは?」という考えを多くの人が持つようになったという実感がありますね。

佐々木:弊社で行っているアンケート調査でも、ユーザーの変化を見ることができます。「以前は古着をECで購入することに抵抗があったけれど、ZOZOTOWNなら信頼できると思ったので一度利用してみたら満足のいく買い物ができた。それ以降はECで古着を購入することに抵抗はない」という意見がありました。これはZOZOでリユース事業を開始したことによって得られたイメージ変化ですね。
他にも、「日常的にサステナビリティを意識するようになった」「捨てるのではなく、必要としているユーザーの手元に渡るのはいいサイクルだと思う」というような、リユースの社会的意義に目線を向けた声も多いです。このような声を見ても、ユーザーの意識は確実に変化しているなと感じます。

AI活用で、ZOZOUSEDでの買取価格が25〜35%アップ

——ZOZOUSEDのAI活用事例を教えてください。

佐々木:現状、AIを活用している代表的な事例は「販売価格予測モデル」「即売れ判別モデル」「ウェザーMD」の三つです。まず、販売価格予測モデルは、先にお話しした買い替え割の買取価格やZOZOUSEDでの出品価格の算出などに活用しています。ZOZOTOWNやZOZOUSEDでの過去の取扱情報や販売実績をもとに、その服を出品した際に「いくらで売れるか?」を高精度に予測して、そこからZOZOUSEDでの出品価格や買い替え割での買取価格に反映するというものです。

これにより、的中率(実際にZOZOUSEDで商品が売れた価格に予測価格が的中した確率)がAI導入前の1.5倍になりましたし、値付けの精度が上がったことでユーザーからの買取価格が25〜35%アップしています。販売価格予測モデルの活用によって、我々の利益を損なうことなくユーザーへ買取価格で還元できています。また、値付けできる対象商品が広がったことで、取り扱う品数が増え、規模的な成長も実現できています。

——即売れ判別モデルとはどのようなものでしょうか?

販売価格予測モデルが買取や出品よりも前のタイミングで値付けを行う一次値付けの機能と位置づけると、即売れ判別モデルは出品直前のタイミングでその時々の最適な価格を設定する二次値付けの機能です。商品を買い取ってから出品までのわずかな期間でも需要の変動が生じることがあるため、出品して即日売れる確率を商品ごとに予測して、出品直前に価格調整をしています。これにより、商品の消化速度は鈍化せずに販売価格や買取価格のアップに寄与しています。

——ウェザーMDとはどのような機能ですか?

佐々木:これはマーチャンダイジング(※)のうち出品計画に活用しています。冬ならダウンやコート、夏ならノースリーブといった季節性の強い商品に対し、気象情報や過去の販売実績、出品実績から、その時期の需要を予測して出品時期や数量を最適化します。ウェザーMDの活用によって、予測対象商品の売れ残り率を4%削減できました。

※マーチャンダイジング:商品・サービスの販売方法や価格設定などに関する活動や計画、管理のこと。

——AIの導入は、ユーザー体験にも影響しているのでしょうか?

佐々木:販売価格予測モデルの導入によって買取価格のアップや下取り対象商品の拡大が可能になったので、ユーザーは自分が今持っている服がいくらで売れるのかをより正確に知ることができます。このように自分のクローゼット資産が可視化されることで、商品購入時の心理的なハードルが下がったり、支払いの選択肢のひとつとしてもよりお得に使いやすいサービスになっていると思います。ウェザーMDに関しては、ニーズが高まる時期に適切な商品が出品されることによって、ユーザーが欲しい商品に出会いやすくなっていることがメリットではないでしょうか。

—古着の性質上、クレームなどが発生する場合もあるのではと思います。この対応にAIを役立てている部分はありますか?

島村:クレームなどに繋がりやすい品質に対するAI活用は、現状はまだ大きく進んでいないのが正直なところです。必要に応じてデータや機械学習機能を活用している部分はあるものの、時にはしっかりと人の目を入れることが重要な部分もあると考えています。なるべく人を介在させないことはコスト改善にはつながりますが、必要なコストをかけずに結果としてユーザーの満足度を低下させるような体験を生み出してしまってはリピートは望めません。そうなってしまうと長い目で見た場合に、削減したコスト以上の不利益となってしまう可能性もあるため、品質改善に関しての取り組みは中長期的目線で考えるべきだと思っています。ユーザーと企業双方にとって、どこにAIを活用して、どこに人の目を介在させるのが最も適切なのかを判断し、ユーザーからいただいた意見を真摯に受けとめ、改善を進めていこうと考えています。

根底にあるのは「ファッションを楽しんでもらいたい」という想い

——サービス開始から10年が経ち、ZOZOTOWNユーザーひいては消費者全体のニーズや価値観の変化をどのように感じていますか?

島村:当初は、一般消費者にとって「売る」ことが馴染みのない行動であるという認識でサービスをスタートしました。ゆえに「売る」ことをどれだけ想起し、行動してもらえるようにするか、という部分に大きくリソースを割いてきました。買い替え割では、「服がいくらで売れるか」を事前にユーザーに提示することで「売る」ことの心理的ハードルを下げ、さらに「売る」と「買う」を一体化させることで、ユーザーがあまり意識していなくても自然と服の購買サイクルに「売る」ことが組み込まれていくような仕組みになっています。買い替え割を利用してくれているユーザーが増える過程を見たり、フリマアプリが普及している様子を見たりすると、ZOZOTOWNユーザーに限らず現代の消費者のなかにも「売る」という行動が自然に根付いてきていると感じますね。

——消費者行動にも変化はありましたか?

島村:「売る」ことが選択肢として当たり前になったことで、「いくらで売れるだろうから、実質はこのくらいの値段で買える」という考え方に基づいた購買行動が広がってきていると思います。この感覚はリユース業界のサービス提供者には以前から馴染みがあったのですが、それが一般消費者にも広がってきたという印象ですね。我々が以前から抱いていた「『売る』ことがファッションをもっと楽しむための手段になる」という考えや提供しているサービスは、ユーザーにとっても価値のあるものと感じてもらえているんだと、自分たちのサービスに対する誇りがより強くなっています。

——最後に、ZOZOUSEDの今後の展望を教えてください。

島村:ブランド様がオフィシャルに出している一次流通と、リユースの二次流通が一つのプラットフォームのなかで機能しているというZOZOTOWNの現状は非常に稀有です。この特長と消費者のリユースに対する意識変化を、ZOZOにしかできないような取り組みに昇華させ、新たな価値を提供していきたいです。

佐々木:AI活用の展望でいえば、今後は服などの「もの」だけではなく「人」にも焦点を当てていきたいと考えています。その人にとって最適な商品や価格、最適なタイミングでのプロモーションなどを提案する「人×もの」という軸で、ユーザー一人ひとりにとってより良いサービスになるよう、精度の高いAIを実装していきたいですね。

島村:現在、ZOZO全体として「ファッションを『買う』ならZOZO」にとどまらず「ファッションの『こと』ならZOZO」と想起していただけるよう、ファッションのプラットフォーマーとしての役割を広げていきたいと考えています。ZOZOUSEDや買い替え割はまさにその取り組みにフィットしたサービスだと思っています。今後もより多くのユーザーに、ZOZOUSEDでファッションを楽しむ体験を届けられるよう、ZOZOならではの膨大なデータやAIを活用しながら、地道に泥臭く、サービスを成長させていきたいですね。「ファッションを楽しんでもらいたい」という今までどおりの軸をブレさせずに、ユーザーへの価値提供に邁進していきます。
島村 龍也
株式会社ZOZO マーケティング本部 USED事業部ディレクター

2008年青山学院大学卒業後、2010年に株式会社クラウンジュエルに入社し、物流、バイヤー、MD、PMなど幅広く経験。2019年の株式会社ZOZOへの吸収合併以降は、USED事業部のディレクターとしてZOZOUSED事業全体を統括している。
佐々木 北都
株式会社ZOZO マーケティング本部 USED事業部 データサイエンティスト

2012年青山学院大学大学院修了。2017年に株式会社クラウンジュエルに入社し、機械学習モデルを用いた価格予測などを担当。2019年の株式会社ZOZOへの吸収合併以降は、USED事業部のデータサイエンティストとして機械学習のビジネス実装を行っている。

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