Today's PICK UP

レノボ、2020年以降の「10大テクノロジートレンド予測」を発表 5G・VRなどが浸透した社会を予想

レノボは、コーポレートCOOのジャンフランコ・ランチが、デバイステクノロジーの知見をもとに予想した2020年以降のテクノロジートレンドを発表した。

技術予測 1「2020年は5Gの年になる」

5Gの通信速度は、最大で毎秒10ギガビットとなり、4Gと比べると100倍以上の速さになる。5GテクノロジーによりSFのような世界が現実のものとなってくるという。5Gがもたらす変化をすべて予測することは不可能だが、生活が大きく変わり新しいビジネスが生まれるということだという。

企業は5Gによるプライベートネットワーク(ローカル5G)を製造拠点に構築し、従業員の生産性向上、生産設備の効率的運用、そして収益力の強化を図ることができるようになる。医療分野では医師がロボット装置を操作して遠隔地にいる患者を手術することができるようになり、また日常のビジネスではリモート会議に自分のホログラムを出席させることができるようになるかもしれないと予測した。また、5Gに対応したデバイスは急速に広まり始めるが、5Gのネットワーク、キャリアおよびインフラの普及が進むまでは、消費者は明確なメリットをあまり感じないだろうとのことだ。

5G時代のPCは、モバイル環境でも常にネットワークにつながっている状態になる。バッテリー駆動時間が大幅に伸びるとともに、音声やペンでの入力が当たり前になるという。スマホやタブレットなどの小型デバイスには不向きな、大画面やキーボード入力が必要となる業務や「重い」コラボレーションアプリなどの処理はPCの独壇場であり、ネットワークのエッジ側にいるユーザーの生産性を高める、信頼できるツールであり続けるとのことだ。

技術予測 2「折りたたみデバイスがモバイル機器の革命をもたらす」

2020年、トレンドへの感度が高い最先端ユーザーが注目する中で、折りたたみ可能なデバイスが登場する。画面を折りたたむことができれば、モバイルデバイスの形状がさらに多彩になるとともに、大画面化が可能になる。つまり、スマートフォンの携帯性を保ちながら、ノートPCの生産性と作業しやすさをあわせ持つデバイスが誕生する。

市場の競争環境が激しさを増す中で、企業のトップ層にとって従業員のワーク・ライフ・インテグレーション(仕事とプライベートのバランスを最適にできる働き方)は経営課題の一つだ。企業のグローバル化が進みテレワークや出張の機会が増える中、従業員は業務をスピードアップ、効率化・簡素化するテクノロジーを求めており、それには使いやすく、(文字通り重荷にならない)携帯性にも優れた機器が必要となる。折りたたみデバイスのような新しいスマートテクノロジーが、そうしたニーズを満たしていくという。

技術予測 3「CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上をAIが支える」

モノからコトへ消費者の関心が移る中、製品そのものより顧客体験(カスタマーエクスペリエンス、CX)がますます重要になっている。そしてすぐれた体験さえ得られるなら、顧客はその裏で動いているしかけや技術のことは気にしないという。2020年には、AIへの過大な期待と不安が収まるとともに、AIはもはや最新テクノロジーとして脚光を浴びる存在ではなくなり、日常的なサービスを陰で支える存在になるとのことだ。たとえば、2024年までに世界中の高級ホテルの60%以上が、よりよい顧客体験を提供するためにAIを活用した対面型のスマートアシスタントを導入するとIDCは予測している。

一方、人間が作っている以上、AIに意図せず望ましくないバイアス(偏向)がかかっている可能性がある。このため、2020年以降、導入しようとしているAIが例えば反社会的な判断を下したりしないかをチェックするために、企業はAIの利用を統制・監査する専門部署を設置することになるという。また、AIをマーケティングのバズワードとして使用する企業がもてはやされる時は過ぎ、AIを活用して社会に貢献しようとする企業が注目されるようになるという。

技術予測 4「プライバシー保護のよしあしが企業の評価基準になる」

スマート電球、スマートドアベル、スマートカー…さまざまなモノにセンサーが付き、スマートデバイスとしてネットワークに接続されることで、生活の利便性は確実に高まっている。一方、あらゆるモノがネットに接続されていくにつれセキュリティとプライバシーのリスクが高まっていることも事実だ。例えばWorld Economic Forumによる2019年の調査によると、消費者の57%は収集された個人データを企業がどのように扱っているかに不信を抱いている。

2020年以降、企業はプライバシー保護を重視し遵守することでブランドや製品を差別化することができるようになるという。そのためにテクノロジー企業には、プライバシーを確実に保護できる、セキュリティの高いソフトウェアやデバイスの開発・製造が求められる。同時に、あらゆる企業(GDPRが適用される市場に限らず)は、収集するデータとその使い方に対して、これまで以上に透明性を高める必要がある。

技術予測 5「新技術によるワークスタイルの革新が続く」

ワークフローの最適化、労働時間の短縮、密接なコミュニケーションなど、性能向上を続ける各種の機器を人間はうまく使いこなし、成果を上げてきた。2020年も、この流れは続くだろうという。AIがリモート会議システムに導入され、自動接続はもとより、その場での議事録作成や翻訳までこなすようになるなど、新しいテクノロジーが新しい仕事のすすめ方を次々に生み出している。これからは、コラボレーションの新たな手法を考え出すことが、新しいビジネスの創造そのものになるかもしれないとのことだ。

技術予測 6「テレワークの安全性をエンドポイント・セキュリティが支える」

オフィスの外で仕事をすることが増え、また優秀な人材を確保する目的もあり、いつでもどこにいても仕事ができるフレキシブルな働き方が普及する中、テレワークのセキュリティ確保のためにITの新しい視点が必要だ。それは、ネットワークのエンドポイントであるデバイスがどこにあってもその状態を常にモニタリングでき、必要に応じて対策が打てる環境の実現だ。もちろん適切なアクセス権限の設定、認証情報の管理も重要だという。

企業間の相互接続が進み、システムが有するデータの量と価値が増すにつれ、不正侵入を受けた場合の損害は大きくなっている。また、ITインフラが変化する中で各種セキュリティ製品間の役割分担がはっきりしなくなり、セキュリティホールへの不安が高まっている。テレワークが一般的になるにつれて、不正アクセスやマルウェアの活動をエンドポイントで予測、防止、検知する機能が、被害を受けた部分の切り離しやシステム修復のために不可欠になった。このために、デバイスの地理的位置やアクセス時刻、普段と違う操作などを総合的に判断するコンテキスト・ベースのAIエンドポイント・セキュリティ対策の導入が進んでいくという。

技術予測 7「スマートビジネスがクラウドからエッジに回帰する」

ネットワークサービスの主役が従来のデータセンターからクラウドに置き換わりつつある一方、ネットワークの末端、ユーザー側にあるエッジデバイスが、クラウドとお互いを補完するITインフラとなり、さまざまなビジネス領域で利用されイノベーションの新たな基盤となるという。

エッジへの移行は、機械学習とAIに代表される複雑で高度なアプリケーションの分野でまず進んでいる。200億以上の膨大な数のモノがインターネットにつながると予測される2020年、レイテンシ(遅延)の短縮とクラウド内にあるコアサーバの負荷軽減を目的に、データアナリティクスおよびAIアプリケーションのクラウドコンピューティングからエッジコンピューティングへの回帰が進展し、スマートビジネスの実現に大きな役割を果たすとのことだ。

技術予測 8「医療の地域間格差をスマートテクノロジーが解消する」

在宅の患者が身につけたウェアラブル端末や家庭に設置された各種のモニタ―機器をネットに接続し、医師による診断や介護者による健康状態チェックがリモートから行える、バーチャルなヘルスケア環境が実現するという。言うなれば患者体験(ペイシャント・エクスペリエンス)の変革が実現するとのことだ。

ここでもスマートテクノロジーが大きな役割を果たす。すでに普及している医療用IoT機器に加えて、医療用モバイルIoT機器とサービスのネットワークが広がることで、患者の居住地にかかわらず定期的なモニタリング・診察・治療が可能になり、一人ひとりの患者に合わせたケアを提供することが容易になるという。こうした動きに合わせ、米国メディケアおよびメディケイドサービスセンターは、医療関係者が遠隔からのバーチャルヘルスケアソリューションを導入できるように、2019年に法制を整備した。

技術予測 9「教育にAR/VRが浸透する」

学生にとって、野外活動、観光、文化交流などの体験を通じた学びは貴重だ。そうした機会に拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用して没入感のある体験をすることで、鮮烈、鮮明な記憶が残る。米国の高等教育機関の60%が2021年までに授業でVRを使用するようになるとガートナーは予測している。没入体験は学びの最強のツールだ。教室にいながらもAR/VRを通じ世界中を旅して地理を学び、バーチャル空間内で科学実験を行い、通常では訪れることができない史跡を巡ることもできるようになるとのことだ。

さらに、こうしたテクノロジーは地域や言語を問わず導入できるため、グローバルな教育の機会均等に貢献するという。また、教師が生徒一人ひとりの学習進度を把握することが容易になり、各自の学習ペースに合せた、パーソナライズしたカリキュラムでの指導ができるようになるとも予測している。

技術予測 10「クラウドゲーミングが広がる」

2020年、いつでもどこにいてもゲームを楽しめるようになりたいう消費者ニーズの高まりにあわせて、クラウドゲーミングの普及が進むという。家庭用ゲーム機や高性能のゲームPCが手元にないとき、これまでのようにスマートフォンやタブレットだけでなく、モバイルPCもゲーミング用プラットフォームの選択肢になる。またクラウドゲーミングはプロゲーマーだけでなく一般ユーザーにも広がりをみせ、低価格で高パフォーマンスのハードウェア製品へのニーズが高まるとのことだ。

人気記事

TVer 取締役とテレ東名物Pが語る、テレビと配信の未来【前編】 YouTubeもNetflixも、テレビの敵ではない?

TVer 取締役とテレ東名物Pが語る、テレビと配信の未来【前編】 YouTubeもNetflixも、テレビの敵ではない?

テレビが「お茶の間の王様」とされていたのも今は昔。2021年5月にNHK放送文化研究所が発表した「10代、20代の半数がほぼテレビを見ない」という調査結果は大きな話題を呼びました。そんなテレビの今を「中の人」たちはどのように受け止めているのでしょうか。そこでお話を伺うのが、民放公式テレビポータル「TVer」の取締役事業本部長である蜷川 新治郎氏とテレビ東京のクリエイティブプロデューサーを務める伊藤 隆行氏。前編では、コネクテッドTVの登場によって起きた変化や、YouTubeやNetflixといった競合コンテンツとの向き合い方についてお届けします。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

なぜ日本企業のDXはうまくいかないのか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO 石角友愛氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が、要因を徹底解説

なぜ日本企業のDXはうまくいかないのか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO 石角友愛氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が、要因を徹底解説

緊急事態宣言の度重なる延長、オリンピック開催是非の議論と、依然混沌とした状況が続く日本とは裏腹に、シリコンバレーではワクチンの複数回摂取が進み、市民がマスクなしで屋外を出歩く風景が見られ始めているそうです。コロナ禍と呼ばれる約1年半の間、アメリカのメガテック企業、ベンチャー企業はどのような進化を遂げたのか。DXを迫られる日本企業は何を学ぶべきなのか。『いまこそ知りたいDX戦略』、『“経験ゼロ”から始めるAI時代の新キャリアデザイン』の著者であり、パロアルトインサイトCEO、AIビジネスデザイナーの石角友愛さんをゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

「銀行は将来、もはや銀行である必要がない」デジタル時代の金融に求められるものとは。SMBCグループ谷崎CDIO×東大・松尾教授×デジタルホールディングス 鉢嶺

「銀行は将来、もはや銀行である必要がない」デジタル時代の金融に求められるものとは。SMBCグループ谷崎CDIO×東大・松尾教授×デジタルホールディングス 鉢嶺

コロナ禍を経て、全世界のあらゆる産業においてその必要性がますます高まっているDX。DXとは、単なるITツールの活用ではなく、ビジネスそのものを変革することであり、産業構造をも変えていくほどの力と可能性があります。そして、全ての日本企業が、環境の変化を的確に捉え、業界の枠を超え、積極的に自らを変革していく必要があります。 今回は、AIの第一人者であり東京大学大学院教授である松尾 豊氏にご協力いただき、デジタルホールディングス代表取締役会長 鉢嶺 登氏と共に、金融業界大手の中でいち早くデジタル化に着手した三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)の谷崎 勝教CDIO(Chief Digital Innovation Officer)にお話を伺います。DXの必要性を社内でどう伝え、どのように人材育成を進めてきたのか、また金融・銀行業界はDXによってどう変わっていくのか。デジタルならではのメリットとは。SMBCグループの取り組みに迫ります。

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

Clubhouseをはじめ、新勢力が次々と参入し、拡大を見せる音声コンテンツ市場。その中で、民放開始から70年の歴史に「大変革」を巻き起こしているのが“ラジオ”です。放送エリアの壁を取り払う、リアルタイムでなくても番組を聴けるようにするといった機能で、ラジオをデジタル時代に即したサービスに生まれ変わらせたのは、PCやスマートフォンなどで番組を配信する『radiko(ラジコ)』。今回は、株式会社radiko 代表取締役社長の青木 貴博氏に、現在までのデジタルシフトの歩みと将来の展望について、お話を伺いました。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタルネイティブ企業が金融業に参入し、キャッシュレス化が加速するなか、アコムが描く未来戦略とは

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタルネイティブ企業が金融業に参入し、キャッシュレス化が加速するなか、アコムが描く未来戦略とは

2021年6月23日開催のアコム株式会社の株主総会および総会終了後の取締役会において、木下政孝氏が新社長に就任しました。1993年に業界で初めて自動契約機「むじんくん」を導入し、2016年に「イノベーション企画室」を設立するなど、金融業界でも積極的に新しい取り組みやデジタルシフトを推進してきたアコム。新社長である木下氏は今どんな想いで会社のトップに立つのか。激動のコロナ禍を経た上で見えた、デジタルでは担えない、人の役割とは何なのか。立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタル時代においても求められる「お客さま第一義」とは何か

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタル時代においても求められる「お客さま第一義」とは何か

2021年6月23日開催のアコム株式会社の株主総会および総会終了後の取締役会において、木下政孝氏が新社長に就任しました。1993年に業界で初めて自動契約機「むじんくん」を導入し、2016年に「イノベーション企画室」を設立するなど、金融業界でも積極的に新しい取り組みやデジタルシフトを推進してきたアコム。新社長である木下氏は今どんな想いで会社のトップに立つのか。激動のコロナ禍を経た上で見えた、デジタルでは担えない、人の役割とは何なのか。立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。