レノボ、2020年以降の「10大テクノロジートレンド予測」を発表 5G・VRなどが浸透した社会を予想
2019/12/25
レノボは、コーポレートCOOのジャンフランコ・ランチが、デバイステクノロジーの知見をもとに予想した2020年以降のテクノロジートレンドを発表した。
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技術予測 1「2020年は5Gの年になる」
企業は5Gによるプライベートネットワーク(ローカル5G)を製造拠点に構築し、従業員の生産性向上、生産設備の効率的運用、そして収益力の強化を図ることができるようになる。医療分野では医師がロボット装置を操作して遠隔地にいる患者を手術することができるようになり、また日常のビジネスではリモート会議に自分のホログラムを出席させることができるようになるかもしれないと予測した。また、5Gに対応したデバイスは急速に広まり始めるが、5Gのネットワーク、キャリアおよびインフラの普及が進むまでは、消費者は明確なメリットをあまり感じないだろうとのことだ。
5G時代のPCは、モバイル環境でも常にネットワークにつながっている状態になる。バッテリー駆動時間が大幅に伸びるとともに、音声やペンでの入力が当たり前になるという。スマホやタブレットなどの小型デバイスには不向きな、大画面やキーボード入力が必要となる業務や「重い」コラボレーションアプリなどの処理はPCの独壇場であり、ネットワークのエッジ側にいるユーザーの生産性を高める、信頼できるツールであり続けるとのことだ。
技術予測 2「折りたたみデバイスがモバイル機器の革命をもたらす」
市場の競争環境が激しさを増す中で、企業のトップ層にとって従業員のワーク・ライフ・インテグレーション(仕事とプライベートのバランスを最適にできる働き方)は経営課題の一つだ。企業のグローバル化が進みテレワークや出張の機会が増える中、従業員は業務をスピードアップ、効率化・簡素化するテクノロジーを求めており、それには使いやすく、(文字通り重荷にならない)携帯性にも優れた機器が必要となる。折りたたみデバイスのような新しいスマートテクノロジーが、そうしたニーズを満たしていくという。
技術予測 3「CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上をAIが支える」
一方、人間が作っている以上、AIに意図せず望ましくないバイアス(偏向)がかかっている可能性がある。このため、2020年以降、導入しようとしているAIが例えば反社会的な判断を下したりしないかをチェックするために、企業はAIの利用を統制・監査する専門部署を設置することになるという。また、AIをマーケティングのバズワードとして使用する企業がもてはやされる時は過ぎ、AIを活用して社会に貢献しようとする企業が注目されるようになるという。
技術予測 4「プライバシー保護のよしあしが企業の評価基準になる」
2020年以降、企業はプライバシー保護を重視し遵守することでブランドや製品を差別化することができるようになるという。そのためにテクノロジー企業には、プライバシーを確実に保護できる、セキュリティの高いソフトウェアやデバイスの開発・製造が求められる。同時に、あらゆる企業(GDPRが適用される市場に限らず)は、収集するデータとその使い方に対して、これまで以上に透明性を高める必要がある。
技術予測 5「新技術によるワークスタイルの革新が続く」
技術予測 6「テレワークの安全性をエンドポイント・セキュリティが支える」
企業間の相互接続が進み、システムが有するデータの量と価値が増すにつれ、不正侵入を受けた場合の損害は大きくなっている。また、ITインフラが変化する中で各種セキュリティ製品間の役割分担がはっきりしなくなり、セキュリティホールへの不安が高まっている。テレワークが一般的になるにつれて、不正アクセスやマルウェアの活動をエンドポイントで予測、防止、検知する機能が、被害を受けた部分の切り離しやシステム修復のために不可欠になった。このために、デバイスの地理的位置やアクセス時刻、普段と違う操作などを総合的に判断するコンテキスト・ベースのAIエンドポイント・セキュリティ対策の導入が進んでいくという。
技術予測 7「スマートビジネスがクラウドからエッジに回帰する」
エッジへの移行は、機械学習とAIに代表される複雑で高度なアプリケーションの分野でまず進んでいる。200億以上の膨大な数のモノがインターネットにつながると予測される2020年、レイテンシ(遅延)の短縮とクラウド内にあるコアサーバの負荷軽減を目的に、データアナリティクスおよびAIアプリケーションのクラウドコンピューティングからエッジコンピューティングへの回帰が進展し、スマートビジネスの実現に大きな役割を果たすとのことだ。
技術予測 8「医療の地域間格差をスマートテクノロジーが解消する」
ここでもスマートテクノロジーが大きな役割を果たす。すでに普及している医療用IoT機器に加えて、医療用モバイルIoT機器とサービスのネットワークが広がることで、患者の居住地にかかわらず定期的なモニタリング・診察・治療が可能になり、一人ひとりの患者に合わせたケアを提供することが容易になるという。こうした動きに合わせ、米国メディケアおよびメディケイドサービスセンターは、医療関係者が遠隔からのバーチャルヘルスケアソリューションを導入できるように、2019年に法制を整備した。
技術予測 9「教育にAR/VRが浸透する」
さらに、こうしたテクノロジーは地域や言語を問わず導入できるため、グローバルな教育の機会均等に貢献するという。また、教師が生徒一人ひとりの学習進度を把握することが容易になり、各自の学習ペースに合せた、パーソナライズしたカリキュラムでの指導ができるようになるとも予測している。