AIで胃・大腸がんをスクリーニング 診断の効率化に期待
2020/2/4
2020年1月30日、広島大学の有廣光司教授, 加藤慶ならびにメドメイン株式会社の飯塚 統, Fahdi Kanavati, Michael Rambeau, 常木 雅之(責任著者)による、「胃・大腸における上皮性腫瘍の病理組織学的分類を可能にするAIモデルの開発」に関する論文がNature Publishing Group刊行の「Scientific Reports」より出版された。
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(原文)Deep learning models for histopathological classification of gastric and colonic epithelial tumors(和訳:胃・大腸における上皮性腫瘍の病理組織学的分類を可能にするAIモデルの開発)
論文リンク:https://www.nature.com/articles/s41598-020-58467-9
■高まるAIによる病理画像解析への期待
ただし、これらの診断を行う「病理医」は国内外において慢性的に不足しており、病理医が1人で診断を担っている医療機関も多く、労働負荷は非常に大きくなっている。そして、多くの医療現場で病理診断を他院や検査センターに依頼している現状がある。
そのような状況からも患者へのより効率的で迅速な病理診断が実現できるワークフローの整備が望まれており、病理組織学的判定のスクリーニングが可能になるAI開発には世界中の医療従事者から大きな期待が寄せられているという。
■AIによる病理画像解析のきわめて高い精度
開発には、スーパーコンピュータシステムが用いられ、試験データによる検証の結果、機械学習の精度の評価に用いられる指標「AUC」がいずれも0.96以上(1に近いほど判別能が高い)という、きわめて高い精度(病理専門医の正答率に肉薄した精度)を得るに至ったとのことだ。
このように病理画像のAI解析による判定結果の精度は高く、病理組織標本レベルで判定結果が得られることからも、実際の病理診断の現場において、スクリーニングに使用することで診断の効率化・労働負荷の減少など、実用可能なレベルに到達している点が本論文の中では述べられている。