朝日新聞社、電車内のニュース作成を自動化 従来の90分が1分に短縮

株式会社朝日新聞社は、自然言語処理研究の成果を用いて、新幹線車内の電光掲示板などに表示される短文ニュースへの要約と見出しづけにかけていた時間を1日約90分からわずか1分に短縮することにこのほど成功したと発表した。過去の新聞記事を使って人工知能に学習させた「自動要約生成API(Application Programming Interface)」の機能を、実際の社内業務で実用化したという。

今回大幅に効率化できたのは、社内の編集業務の一つである、48文字以内の短文への要約と、その要約文についての10文字以内の見出し作成の業務。通常1日につき90分程度かかっていた文章作成の業務を、このAPIを利用することで1分以内まで短縮した。自動で生成された要約文は編集者の確認を経て、新幹線内の電光掲示板などに配信されている。
出典元:プレスリリース
このAPIは、記事本文を入力すると、様々なスタイルを持つ要約を数秒のうちに複数個生成することができる。過去30年分の朝日新聞記事のデータをもとに、学習データとしての処理効率を上げるためのフィルタリングなどをした上で、ディープラーニング(深層学習)により、記事本文に対する要約をなるべく正しく出力できるよう事前に学習させている。出力する要約の長さやスタイルをコントロールでき、ユーザーの指示に合わせて見出しを生成できることが特徴だとのことだ。

作業が効率化した編集担当者からは「手軽に短文がつくれるので、さまざまな編集業務に追われる中で『短文も作らなければ』というプレッシャーが少なくなりました」「手直しが必要なこともありますが、文章のベースができているので加筆修正がしやすいです」と好評だという。

■朝日新聞社の研究・開発担当組織

朝日新聞社では、新規事業の開発やAIをはじめとする先端メディア技術の研究にあたる社内組織であるメディアラボと、社内のシステム開発や業務イノベーションに向けたIT技術研究・開発、技術者の育成を担う情報技術本部が中心となり、AIを利用した新事業開発・業務改革を進めている。

・メディアラボ
メディア環境の激変に立ち向かい、自らの殻を突き破るための新組織として2013年6月に発足。5年、10年先を視野に事業刷新と成長をめざし、新たなメディアの創造を含む新商品・新事業の開発、最先端技術の研究に取り組む。

・情報技術本部
2015年、社内のIT技術者を統合して発足した組織。新聞製作や社内業務、「朝日新聞デジタル」のシステム開発、社内の業務革新を目的としたIT技術研究・開発、技術者育成などを担当する。
出典元:プレスリリース

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